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【コミカライズ連載開始】婚約破棄された聖女はのんびり働きたい ~突然皆様に求婚されてもお断りです!~  作者: かのん


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14話

 先ほどまでは穏やかな日だったのになと私は思いながら、四人の座る席とは少し離れたカウンターに座り、四人の方を見つめる。


 レオナルド殿下は三人のことを睨みつけており、その瞳はいらだった様子であった。


 私は一体何があったのだろうかと思いながら小さく息をつく。


 ちらりとセオ様へと視線を向けると、四人に紅茶を出し、それから私の所には私のお気に入りの紅茶を入れて持ってきてくれた。


「……ラフィーナ様、私からもう来ないように、話しをしましょうか?」


 心配そうにそう小声で言われたけれど、私は首を横に振った。


「これまで、ちゃんと三人にお断りをしなかった私が悪いのです。それに気になる発言もありましたし、話を聞いてからもう来ないように伝えます」


「……わかりました」


 私はゆっくりと紅茶を一口飲んでから、四人へと視線を向けて口を開いた。


「先ほどのノエル様の件と、婚約破棄についてのレオナルド殿下が突然怒鳴り込んできた理由を教えてください」


 私の言葉に、レオナルド殿下が口を開いた。


「……ラフィーナ。お前、この者達に言い寄られているのか?」


「え? ……それは」


「ハッ! やっぱりな! ……くそが。私はあれから調べたのだ。何故この三名が私とラフィーナとの婚約破棄を止めなかったのか。そしたら、予想外の真実が分かったよ」


「え?」


 首をかしげる私に、三人は慌てた様子で口を開く。


「ちょっと待ってください」


「そうだ。言いがかりは辞めてもらいたい」


「それに、そのことについては僕達からラフィーナちゃんに説明をさせて」


「黙れ黙れ! 調べてみればお前達の魂胆などすぐに分かったぞ。お前達は自分達がラフィーナを手に入れたいために、ノエルに協力をしたのだろう。ノエルに話を聞いた。彼女はすぐに楽しそうに話し始めたぞ! 自分の為に協力してくれたと!」


「ちょっと待ってください!」


「俺達は別に不正をしたわけではない」


「そうだよ。僕達はあくまでも二人の恋を応援しただけで」


「ははは! 応援しただけ!? 聖女の地位を得やすいように他の聖女候補に辞退するよう強要したり、不正に手を貸すことがか!?」


「え……」


 三人は私から視線を反らす。その姿を見て、私は驚きながらレオナルド殿下の言葉を聞く。


「しかも、ノエルの能力が高く見えるようにも力を貸したそうだな……くそ。私は、私はただのバカではないか! ノエルの能力が低いと知っていれば……真実の愛だと、思ったとしても身を引いたものを」


 その言葉に、今度は三人が言い返した。


「そんなことはないでしょう! 貴方は運命の愛だ! 何があっても貫くとおっしゃった!」


「ノエル以外とは結婚できないと嘆いていたじゃないか」


「僕達はラフィーナちゃんに対して真剣なんだ。もう殿下は関係ないのだから黙っていてよ!」


 その光景を見つめながら、なんと自分勝手な人達なのだろうかと、私は静かに息をつく。


 つまり、ノエル様がレオナルド殿下に選ばれやすいように協力するために、聖女の地位を不正に得られるように協力し、そしてその能力が高く見えるようにも協力したということか。


 その理由は、レオナルド殿下と私の婚約が破棄されるように。破棄されれば、私は婚約者という立場ではなくなるから。


 自分勝手で、身勝手な理由。


 私は言い争う四人を見つめていたのだけれど、ふと私の横にいたセオ様の方を見ると、セオ様は眉間にしわを深く寄せ、それからこぶしをきつく握りしめていた。


 私は、セオ様のその手に触れると、びくっとセオ様は驚いた顔でこちらを見た。


 私は笑みをセオ様へと向けると、そっと手を離してから口を開いた。


「皆様の言い分は分かりました。つまりレオナルド殿下は婚約破棄されるよう仕組まれたことに腹を立てているのですね」


「そうだ! こいつらはお前に求愛するために私をはめたんだ!」


「なるほど。そして皆様は、婚約破棄へ持っていくためにノエル様に協力したのですね?」


「……そういうわけでは……ただ、ラフィーナ様を思うと、婚約破棄する方が幸せだと思いました」


「協力と言っても少しだけだ。ノエル様を選んだのはレオナルド殿下だろう?」


「自業自得なのにどうして僕達を悪者にするの? 僕はラフィーナちゃんが好きなだけなのに! 好きな人を自由にして何が悪いの!?」


 並べられた言葉たちに、私はため息をついた時、セオ様が怒鳴り声をあげた。


「聞いていれば、子どものように何を言っているのですか。貴方達は……貴方達はラフィーナ様のことを、何だと思っているのですか!」


 聞いたことのないセオ様の声に、皆が驚いた表情を浮かべている。


 今までどんなに屈辱的なことをレオナルド殿下から言われても、素知らぬ顔で気にするそぶりすらしていない様子だったセオ様が感情的になり、声を荒げる。


「ラフィーナ様は物ではありません。聞くに堪えないほど、今自分達がどれほど子ども染みたことをしているか、自覚されていないのですか?」


 その言葉に、四人は顔を面倒くさそうにゆがめる。


 その仕草を見つめながら、私はため息をつくと立ち上がり、笑顔を四人に向けた。


 これ以上はもう限界である。


 そして私には、私を守ろうとしてくれるセオ様がいるので、落ち着いて話をすることが出来る。


「皆様、もうここには来ないでください」


 はっきりと、私はまずそう告げた。



日中はもう外歩きたくないですね(/ω\)

夜になると少しだけ涼しくなって、お散歩すると心地よいです。帰ってきたころには汗だくですが。

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