第5話 宣戦布告
「勇者ユウスケ様、食事を持ってきたよ。」
暴風のジュリアンが俺に食事を持ってきてくれた。
青髪ショートのジュリアンは、ハニーと違って何故かタメ口だ。
まあ、ボーイッシュな感じだから、
何となく、口調は似合っているのだが。
しかし、おかしい。
何で、いつから俺は勇者になったのだろう。
滅茶苦茶、恥ずかしいのだが。
運んでくれた食事は、バナナとみかん
穀物を潰した料理だ。
「ありがとうございます。」
俺は、青髪のジュリアンにお礼を言った。
なるほど、なるほど
食に関しては、こんな感じなのか。
それはそれで良い。
しかし、何で、俺が勇者?
「あのー。何で俺が勇者なんですか?」
俺はジュリアンに聞いてみた。
「エレナ隊長から聞いたんだよ。
エレナ隊長が勇者を探して長い旅をしてきた話
そして、みつけたのがユウスケ様だって。」
ジュリアンが教えてくれた。
「エレナ隊長、少し、お話があります」
俺はそう言って、ソワソワしているエレナの元に。
「お前、ずいぶんと自分がカッコ良い感じになってないか?」
エレナに小声で言ってやった。
「だいたい合ってると思うよ。」
エレナは自分の記憶を改ざんできるらしい。
「それに、勇者様だよ。勇者様。
この星の人、勇者なんて言葉、知らないよ。
それなのに、ユウスケは。
恥ずかしがっちゃって。クスクス」
エレナが楽しそうに笑いやがった。
なので、俺は笑顔でエレナにゲンコツした。
やっと、これまで出来なかったことが出来た。
「エレナ隊長、胸の方はどうだすか?
毎日毎日、育つように、かかさずに揉んでいたんだすよ?」
赤髪ロングのアンが植物に水を毎日あげてるみたいな感じで言う。
アンは少し訛りが入っている。
肌が褐色で神秘的な容姿とは、あわない口調だが声が可愛いので
慣れれば、余計に神秘さを感じさせる。
「うん。なんとなく大きくなった気がする
ありがとう。アン。」
タンコブのついた頭と、胸を触りながらエレナは返事した。
「大きくなるわけないだすよ。エレナ隊長。
逆に萎んでいるって。アハハハハ。」
赤髪のアンが爆笑しながら、エレナと会話している。
こいつらの会話を聞いていると頭がおかしくなってくる。
「早速ですが作戦会議をお願いします。エレナ隊長」
金髪のハニーがエレナにお願いをしている。
俺はさりげなく作戦会議の話を盗み聞きする。
「今回のテーマは
私が第1中隊の奴らをどうやったら、下僕にすることが出来るかと
いうことです。
エレナ隊長、何か良い作戦をお願いします」
ハニーが真剣な顔をしてエレナに聞いていた。
いったいなんの作戦なんだ?
第1中隊の奴等を下僕にする?
金髪のハニーは、エレナと違ってまともだと思っていたのだが。
「そうね。まずは私が第1中隊を爆発でぶっ飛ばします。
そこで瀕死になった奴らをハニーが手当てをして・・・」
おいおい、すごく強引な作戦だな。
というか味方をぶっ飛ばしてどうするんだ?
「エレナ隊長。完璧です。早速、今から」
おいおい、戦争はどうなったんだ?
というか何の作戦会議なんだ?
「あのう。戦争というのはどういった状況なんですか」
俺は、ハニーに質問した。
「戦争、あーはいはい。やっています。やっています。
頑張っていますよ」
ハニーが軽い感じで答えてくれる。
「ほら、監視虫が飛びまくっているでしょう?」
ハニーが蚊を殺すようにパンと虫を叩き潰した・
どうやら極小監視ドローンのようだ。
そうか、洞窟内は監視されていたいのか?
ヤバいじゃないか。
「エレナ隊長が生き返ったの見られたかもだす。
ヤバいだすかもね。ハハハハハ」
アンも監視ドローンをパンと叩き潰しながら話す。
笑い事ではない気がするのだが
「エレナ大丈夫なのか?」
俺は、心配になってエレナの方を向いた。
「まず、私が第2中隊を爆発でぶっ飛ばす。
そしたらジュリアンが・・・・・」
エレナ隊長は作戦会議中のようです。
金髪ロングストレート、青い瞳の上品な感じのハニー
ウエーブ赤髪ロングヘア、赤い瞳、褐色の肌で神秘的なアン
青髪ショートヘア、青い瞳でボーイッシュなジュリアン
して、黒髪ロング、黒い瞳で馬鹿っぽいエレナ
それぞれ、個性的だが、みんなアホだ。
俺はあれから数日、洞窟の中で生活している。
美女4人との洞窟生活は、幸せそうであるが
地獄のような日々である
俺のこの洞窟での役割は、こいつらの枕になるくらい。
俺の胸やお腹は、ちょうど枕として良い高さらしいのだ。
しかし、俺にとっては地獄でしかないのだ。
俺の胸やお腹のあたりを枕にしているのだが
こいつらの髪や体の匂いがヤバいのである。
俺の星なら、
シャンプーや石鹸の匂いとかでやられてしまうのだが
それとは違うフェロモンのような、違うような
とにかく、俺の心に刺激過ぎる匂いなのである。
しかも、
俺は大の字になって、身動き取れない状態で
寝ているのだから、毎日、寝不足だ。
監視ドローンは洞窟の中を蚊のように飛び回っている
どんな技術なんだろう?
小さいとはいえ、エネルギーは?
叩き潰しても、いつのまにか出現してくるのできりがない。
監視はされているが、何もされない。
みんな無事だ。
逆に味方の第1中隊や第2中隊は無事であろうか?。
何かあほらしいし、大丈夫そうなので、
とっとと自分の星に帰りたかったが、帰れなかった。
精神エネルギーをエレナに取られてしまっていたのだ。
この星についたとき、エレナが俺の体から盗んでいったようだ。
デビルオオカミの危機はエレナのせいだったのだ。
しかし、いつのまにそんな姑息な技を覚えたのか?
俺でも出来ない。
そのため、エレナは前より相当強くなったようである。
森のデビルオオカミはエレナの姿を見るだけで逃げていくらしい。
4人は相変わらずだ。
毎日、敵の資源採掘場に遊びに行っている。
敵の資源採掘場にはバリアが張られているとのことだった。
漫画のような技術である。
エレナの爆発能力もバリアに遮られて届かない。
物質で精神エネルギーを遮ることが出来るのが不思議だ。
何かしらの波長が同じなのかもしれない。
ぶっ飛びのハニーは体を浮かせて俺にミカンをとってくれるが、
この能力では戦いでは役に立たないだろう。
竜巻のアンは、俺の洗濯物を能力で洗ってくれるが、
やはりこの能力では役に立たない。
暴風のジュリアンは、俺の濡れた髪を風でかわかしてくれるが
絶対に役に立たない。
確かにエレナの能力が、今では一番すごい気がする
しかし、これでは絶対に敵には勝てない。
他の部隊もこんな感じなのだろうか?
敵も資源が取れれば良いので、相手にしていない感じだ。
採掘と関係ないところで勝手に生活していろみたいな。
「キャハハハハ」
洞窟の外から4人の笑い声が聞こえてくる。
帰ってきたのだろう。
「おかえり。今日は、僕が夕飯の支度をしてみました。」
俺は、4人に夕飯を促した。
まあ、やることがないし、ご飯がまずいので
自分で作ることにしたのだ。
ここの洞窟にはろくなものがない。
しかし、森や平原を探索していると米や大豆らしいものが
生息していた。
海もあるらしいので塩も作れる。
まあ、いろいろと俺の星と同じようなことは出来そうだが
調味料は今すぐに出来ない。
ということで、今はとりあえず、俺の星から持ってきた調味料で
料理を作ってみた。
「エッ?勇者ユウスケ様が?
何ですか?この、美味しそうな匂いは。」
ハニーたちが足早に寄ってきた。
「本日のディナーは、
ジャンボ猪ステーキ、俺の星のステーキソースを添えてです。」
俺は料理長の気分で言った。
まあ、味は、けっこう旨い。
ジャンボ猪は、俺の星の豚肉をワイルドに
した感じなのだ。
「いただきます。」
俺たちは、声を揃えて言うと
すごいスピードで4人娘がガブリと。
「はあー。勇者ユウスケ様。美味しいです。
何ですかこの肉の柔らかさは。」
「さすが勇者様というだけあるだす。。
野菜も生でなく、茹でているとは。
驚きだす。」
「勇者とは料理が凄い人という意味だったんだね。
おかわり、お願い。」
「そうよ。みんな。私に感謝して」
4人の会話が聞こえてくるが相手にしない。
勇者ネタは、もう、飽きた。
「それで、革命軍の仲間たちに会えたのか」
俺はエレナに聞いた。
「うん。革命軍の一部を爆破しようと探したんだけど、
革命軍はとっくに解散していたらしくて、
残っているのは私達だけみたい」
エレナが簡単に言った。
ハニーやジュリアンと話していた作戦を
本当に実行しようとしていたのか。
ヤバすぎるだろコイツら。
「解散していたのは、
私達も長いこと知りませんでしたよ。
せっかく下僕にしようとしていたのに。」
ハニーも補足説明する。
何か、凄いことを簡単に言っている感じがするけど。
まあ、被害者が出なくて良かった。
「つまり、戦争は終わったということ?」
俺はエレナに聞いてみた。
「話を聞いていたの?
終わっていないわよ。モグモグ」
エレナが口に食べ物を詰め込んで返事をする。
「えっ?」
「うん?」
俺とほっぺが膨らんだエレナは顔を見合わせる。
言葉がなくても、こいつの考えていることは理解できそう。
「あっ、わかった。
エレナ達だけ戦争状態なんだ」
俺は、こいつらが馬鹿なことを思い出したのである。
うんうん。と首を上下に振る4人
食べ物が口にいっぱいに入って話せないようだ。
まあ、こいつらの戦争ごっこだけになったのか。
それなら良しとするべきか。
戦争で人が死ぬほど嫌なことはない
俺の星でも、俺が生まれる前に大きな戦争があった。
A国とB国が戦争するにおいても
どちらの国もグローバル企業の手の平のうえだったとか。
互いに正義とかいうありもしない言葉で戦うのだ。
マスコミがグローバル企業から情報を収集して、その情報を流す。
マスコミも、当然に、それが正しい情報だと信じているのだ。
その情報を知識人や政治家が援護して世の中の空気を作っていく。
知識人や政治家もグローバル企業の情報を正しい学問として学んでいる
から当たり前だ。
自分たちは、嘘はついていないし戦争になるとも思っていない。
しかし実際はグローバル企業の情報操作に操られているだけ。
人間の心理学も知り尽くしている。
庶民がグローバル企業と知恵やお金の力で戦っても勝てないのだ。
精神で勝つしか・・・・・・
まあ、クオンさんの話ではあるが。
「この洞窟から出て、皆の集落には行かないの?」
俺は食事をしながら4人に聞いてみた。
「私たちが皆の集落に行く?
意味が解らない。
戦争状態なんだよ。」
エレナが言うと、4人もうんうんと頷く。
「だって、バリアがあるんじゃどうしようもないし、
敵だって、こちらを攻撃しないんだったら、もう。」
俺は、お馬鹿4人組に言ってみた。
「そうかもしれない。
でも、それで済まないかもしれない」
エレナが珍しく食べる手を休め真面目な顔をしている。
「済まないかもしれない?
何が?」
俺は、再度エレナに聞いた。
「よくわからないけど、何か不安しかないの」
エレナが珍しくシビアな顔をしている。
「そうなんです。
私もわからないけど不安なんです。
理屈じゃなくて」
金髪のハニーも。
「わからないだすけど、こんなことされては駄目な気が」
赤髪のアンも。
「そうだよ。星が怒っている感じがするんだよ。」
青髪のジュリアンも。
確かにそうかもしれない。
星の資源が無くなり続ければ、何かが起きても不思議ではない。
石油などの資源を同じ星の中で利用する分には循環するが・・・・
4人馬鹿娘は、実はお利巧さんなのか?
「他の人たちはどう思っているのかな?」
俺はエレナに聞いてみた。
「うーん。何がやばくなるのが
わからないからみたいな・・・・・
今のところ大丈夫だからみたいな感じかな」
エレナが答えた。
「そう、それに、敵が優しいみたいです。
農産物や建築資材を提供してくれたり、
道路や水路とか、建物まで作ってくれて。
自分達に出来ないことばかりで、
敵を神様扱いしている人も増えてきたとか」
ハニーも続けて説明してくれた。
今は、みんな、目の前のことしか見えていないのであろう。
今が良ければ良いという感じだ。
急激な物質文明の進歩は危険が伴うかもしれない。
欲が芽生え、近い将来、仲間同士で戦うことになる可能性だって。
その中で、何故か、4人娘は感覚だけで危機を感じているのか?
星の資源を取り巻くった場合、星の崩壊などもあるのだろうか?
レイマンさんや晴彦さんから教わった知識で真面目に考えてみる。
星の重量は、星の重力に直接影響する。
もし、星の重さが減少すると
星の自転速度も変化する可能性があるか?
そうすると、気候や生態系にも影響が大きいかも
大気の圧力や密度にも影響が。
そうすると放射線レベルが上昇して生物に影響が・・・
星の軌道も・・・
ヤバいじゃん。
確かに、影響がない程度なら大丈夫だけど
大規模にやられたらヤバイじゃん。
どうしよう。
この4人馬鹿娘に言っても理解不能だろうし
あくまで可能性の話で、みんなを怖がらせても仕方ないし。
「明日は、俺もついていって良い?」
俺は4人に聞いた。
もう、エネルギーも回復し、俺の星に帰れるのだが
何か心配なのである。
あまりにも、危険だったら、俺の星に帰っちまおう。
「いいよ」
簡単にOKをもらった。
まあ、断られる理由もないのだけど。
翌日の朝、俺が目を覚ますと、いつものとおり
4人が俺を枕にして寝ている。
最初は辛かったが、今はもう慣れた。
今では、こいつらのヨダレの方が気になっている。
俺は、そっと起きて、朝食と弁当の用意をする。
料理は、一人暮らしでたまに作っていたので、それほど苦ではない。
そして、自分の為だけに作る料理と
人の為につくる料理では、やる気が違う。
朝食は、サラダがメインだ。
野菜に、ジャンボ猪肉を刻んでカリカリに焼いたのを混ぜる。
ドレッシングは塩コショウ、酢、オリーブオイル、果実などを混ぜて
出来上がり。
インスタントコーヒーもあるので、お湯を沸かして入れてあげる。
後は弁当だ。
ジャンボ猪肉を包丁で切って焼く。
そこに、醤油、酒、みりん、砂糖、生姜らしきものをなじませて
焚火で焼く。
お皿に茹でた野菜を添えて、
なんちゃって、ジャンボ猪の生姜焼きだ。
なんちゃってお米を、土器で炊き上げてご飯も完成。
しかし、俺は重大なことに気づいた。
弁当の容器がない。
俺としたことが。
仕方ない。
俺は、洞窟の外に出て、良さそうな木を見つける。
でかい竹みたいなのがが生えている。
「これだな、竹節が5本だとすると、あそこか。」
俺は、そう呟いて、刀で切るかのイメージを俺がすると
竹が丁度良い長さに切れた。
節ごとに5等分に切って、更に各々横に2当分・・・・
中を少し削って、川で洗って・・・・・・・・・・・
弁当箱の出来上がりだ。
「おはようございます。」
4人は、同時に起きてきた。
「おはよう。朝ごはんの用意してありますよ。
顔と手を洗ってから、・・・・・」
俺が、お母さんのようなセリフを言い終える前に。
「いただきます」
4人は一斉にガッツリと食べ始めた。
「うん、おいしいです。酸味と野菜の・・・・」
「そうだすな、ジャンボ猪肉の食感が・・・・・」
「野菜は美容に良いんだよ・・・・・」
「もっと食べたいよね・・・・・」
「そうですわね、勇者ユウスケ様は、ケチなのかしら・・・」
「貧乏性なのだすよ・・・・・・」
「食事をオシャレにして、モテようとか・・・」
「なんか、体がほてってきたような・・・変な薬でも・・」
何か、言いたい放題である。
まあ、美味しいと言われると嬉しい気持ちに
なるので良しとするか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俺達5人は弁当を持って敵の資源採掘場に来ている。
まあ、ピクニックだ。
歩いて来る途中、デビルオオカミと何回も出会うがエレナを見て
みんな逃げていく。
そう、エレナを知らない野獣は夕飯になってしまうのだ。
「このバリアがなければね。
私がドカンドカンするんだけど」
エレナがバリアの近くて嘆いている。
確かに、こいつなら出来るかもしれない。
「こんなに近づいて大丈夫なのか」
俺はエレナに聞いてみた。
蚊のような監視ドローンが俺たちの周りを飛んでいる。
「大丈夫だよ。
いつも、あの監視アンドロイドに石をぶん投げているし」
青髪のジュリアンがなんでもないように話す。
石を監視アンドロイドにぶん投げる?
どこの時代の戦争なんだ。
「そうだす。まあ、全然効かないだすけど。」
赤髪のアンは、諦めている感じだ。
しかし、敵は、無害なタヌキが出てきたくらいで
全く相手にしていない感じだ。
「まあ、私が一番命中率が高いですけどね。」
金髪のハニーって、こういうのが凄いんだ。
監視アンドロイドがバリアの外を巡回している。
俺は、石を拾ってバリアの方に投げてみる。
ポトッ。石はバリアらしきエレアの外で落ちた。
バリアの中には入らない。
なるほど。こりゃすごい。
「大したことないですね。勇者ユウスケ様、フッ」
金髪のハニーがそう言って、鼻で笑いながら拳くらいの石を拾った。
ブンッ
ハニーの投げた石は高速で
100メートルくらい先の監視アンドロイドに命中した。
しかし、ポトッ。
石がアンドロイドの足元に落ちた。
監視アンドロイドにもバリアが張られているのだろう。
アンドロイドは何事もないようで気にもしない。
「おー」
パチパチパチ
しかし、ほかの3人は、当たっただけなのに
ハニーの投球に感心している。
何か俺が負けた感じで悔しい。
「じゃあ、俺も本気を出してみよう。」
俺はそう言って
大きな岩を精神エネルギーでぶん投げてみた。
ゴシュー
ドン、グシャッ
うん。逃げよう。
監視アンドロイドは、俺の投げた岩とバリアに挟まれ破壊された。
俺は監視ドローンに「ゴメンナサイ」をしてから
4人を連れて一緒にテレポーテーションで森の中に移動した。
テレポーテーションした場所には
監視ドローンは、いないようだ。
資源採掘場に歩いて向かう途中、
この広場に監視ドローンがいないことは確認済みだ。
つまり、逃げ場所を確認しておいたのだ。
エレナ以外の娘たちが口をあんぐり空けている。
監視アンドロイドを破壊したうえにテレポーテーション
したからかもしれない。
「ユウスケ、やるじゃない。敵に宣戦布告ね」
エレナが最高の笑顔で話しかけてくる。
「では、エレナさん。
僕はそろそろ自分の星に帰らなくては」
俺はエレナに別れを告げた。
「そんな。ひどい、別れるなんて。
わたしは、遊びだったの。
ひどい。
体だけが目当てだったのね」
エレナが泣きまねの上手な女優になりました。
体も何も、何もしていません。
どちらかというと遊ばれていたのは俺の方ですけど。
「ひどいです、勇者ユウスケ様。
エレナ隊長が可哀そうです。」
金髪のハニーは、話せるようになったようである。
「どんなプレイもエレナ隊長は我慢してきたと、
言っていただすよ。それなのに」
赤髪のアンも。
「あそこは大したことが無いくせに」
青髪のジュリアンも。
何なんだ。この話の展開は。
エレナは俺のことをどんな風に言っているんだ?
「いや、ジョーダンだよ。
ちゃんと責任はとるよ。エレナ。」
俺は、自分のやったことで皆に迷惑をかけて、
逃げるような男ではない。
「いえ、別にユウスケと結婚とかは
絶対にないんですけど」
エレナが何故か俺のことを完全拒否している。
いや、その責任ではない。
なんで、俺がエレナに振られたみたいになってんだ。
「しかし、勇者ユウスケ様、凄いのですね。
あそこは、それほどでもないと聞いていたのに」
ハニーが褒めているのか貶しているのかわからない。。
「でも、勇者ユウスケ様は、バレなければ何しても良い
と思っているタイプらしいだすよ。」
アンがわけのわからないことをいている。
「そうそう、勇者ユウスケ様は、女性から下着を盗むためだけに
修行しているとか」
ジュリアンも会話に混ざってきた。
この3人娘は、俺のことについて話し合っている。
相手にしていられない。
とりあえず、頭を整理しないと。
そのために、テレポーテーションしたのだから。
まず、俺は敵の監視アンドロイドを壊してしまった。
それは、敵からすれば敵対行為
そして、敵は、監視カメラで俺が犯人だとわかっている。
うん。相手からすると俺が宣戦布告したように見える。
チクショー
この星の人間は敵からして人畜無害だから放置されている。
しかし、俺は有害だと判断されるだろう。
俺の星より遥かに文明が進んでいる敵様に勝てるわけがない。
しかも、エレナ達を巻き込むわけにもいかない。
「俺が死んだら、エレナみたいに死体を保存しといてくれるかな?」
俺はエレナ達に聞いてみた。
死ぬ覚悟でなくては何もできない。
でも、皆に会えなくなるのは嫌だ。
我儘だけど仕方ない。
正直な気持ちだ。
「うーん。私は出来ないから、みんなお願いね」
エレナが3人娘にお願いする。
「エレナは出来ないんだ。」
俺はエレナに聞いた。
「だって、私も死ぬかもしれないじゃん」
エレナがとぼけた顔で俺に言う。
こいつは意味の分からないこと事ばかり言う。
それは、俺と一緒に戦いにいくということなのか?
「じゃあ、ユウスケ隊長、行きますか」
エレナが元気な声で言ってくる。
「ユウスケ隊長、エレナ、御武運を」
3人の娘たちが跪く。
やばい、なんか凄くカッコ良い。
いつのまにか、
俺は隊長に、エレナは降格になったようだ。
「あっ。ちょっと待って。
まだ行けない。その前に、やらなくてはならないことが。」
言い出しっぺのエレナが、この流れを止めた。
「お弁当食べないと」
エレナは本当に呑気だ。
「やばいですね。この料理」
「うんうん、美味しいだす。」
「どうやったら、こんな味になるんだ?」
俺たちはお弁当を食べながら作戦会議を開いた。
正直、敵の攻撃を待っていると被害が大きくなる。
そのため、戦場は資源採掘場にする。
1番の目標は、俺が死ぬことだ。
相手に危険人物が死んだと思わせるのだ。
問題は、生き返りが出来るかだ。
まあ、可能であれば、少しくらい資源採掘場の破壊をしてみよう。
俺が資源採掘場に再度、現われれば敵の攻撃隊が
やってくるだろう。
敵の攻撃隊アンドロイドにも、バリアがあるそうだ。
相手はレーザで攻撃してくるらしい。
おそらく、俺は簡単に死ぬだろう。
エレナも危険だと思われれば殺されるかもしれない。
そのあと、3人娘が死体を回収してくれるそうだが。
不安しかない。
大丈夫であろうか?
生き返りに自信はないが、エレナが出来るのだ。
大丈夫だろうと思い込む。
というか、何故か、こいつらが何とかしてくれるだろう
という安心感がある。
「よし、ユウスケ隊長、元気に死に行きましょう」
何か、エレナのセリフが嫌だ。
エレナの掛け声とともに俺とエレナはテレポーテーションで
資源採掘場の前に移動した。
「これ、さわったらヤバいのか」
俺は、バリアのあたりを指してエレナに聞いた。
「ビビビッってしびれて弾かれるわよ」
さすがエレナ、触ったことがあるんだ。
俺も試しに触ってみる。
ビビビッと手が弾かれた。
なるほど、なるほど、ふむふむ。
さて、どうしたものか?
しかし、考えている暇はなさそうだ。
俺たちが着いた瞬間にどこからともなく
一瞬で、黒く輝いた素材で出来た人間型のアンドロイドが、
100メートル先くらいに1体、現われた。
当然だ。
俺の星より文明が進んでいるのだ。
テレポーテーションくらい出来るのだろう。
しかし、何でエレナは俺の後ろに隠れているのだろう。
ここで簡単に死んで終わりにしても良いのだが
色々試してみたいことも有る。
可能性としては、ターゲ―ットは俺だけだろう。
だから、エレナに手を出さないとは思うのだが、
エレナも危険だと認識されれば攻撃されるだろう。
相手は、手のひらからレーザーを出すと聞いている。
案の定、すでに俺に手のひらで照準を合わせている。
俺は、精神エネルギーで
大きな岩を黒アンドロイドの正面に高速でぶん投げてみた。
黒アンドロイドはただ、横にギリギリで避けるだけ。
大きな岩は、遥か先の大木をへし折っただけ。
余計なエネルギーは使わない。
最適な行動を選択できるのであろう
「くそー。やっぱり効かないわ」
女の子が、くそとか言わないの。
エレナが後ろで騒いでいる。
俺を縦に後ろから
爆発させようとしているのであろう。
エレナの精神エネルギーも効かないのは、
やはり、バリアの影響だろう。
ロボット1体で何て強さだよ。
そんな数秒のやり取りのうちに
相手は容赦なくレーザーを数発撃ってくる。
当然、目には見えない。
そして・・・・・俺は・・・・
「ありゃ、出来ちゃったよ。」
俺は、呟く。
先ほどバリアを触って何となく、バリアのイメージが
わかってしまった。
波というかエネルギーの超振動。
なので、俺も自分の前にバリアのイメージをしてみたのだ。
「ねえ、相手何もしてこないね」
エレナには、何も見えていない。
相手が、両手で馬鹿みたいに
何発もレーザーを此方に撃っていることを。
黒アンドロイドは、レーザーを打ちながらこちらに
歩いて近づいてくる。
さて、どうしたものか?
「エレナ、少し離れていてくれ」
俺は、エレナに告げると、
バリアを自分の体の周りに張った。
これで、黒アンドロイドと防衛力は同じになったか?
いや、向こうの体は特殊な合金、俺はお肉。
駄目もとでやるだけやってみよう。
俺はテレポーテーションで黒アンドロイドの真後ろについた。
後ろから、能力を使って、首をひねってやろうと思ったのだ。
しかし、黒アンドロイドの反応が早い。
振り向きざまにエルボーを俺の顔面に食らわそうとしてくる。
俺は、後方にとんだ。
おいおい、
武道みたいなことも出来るのかよ。
俺と黒アンドロイドの距離はギリギリの間合い。
黒アンドロイドは、素早いスピードで間合いを詰めて
パンチや蹴りなどを俺にかましてくるが、
そのスピードやパワーが半端でない。
俺は、精神エネルギーも使いながら必死に受け流す。
ゴウゾウさんの極道流武道だ。
教わっていてよかった。
免許皆伝の俺が負けたら、ゴウゾウさんに怒られそう。
しかし、先ほどから黒アンドロイドに触れても
ビリビリしない。
これは、おれも同質のバリアを張っているからなのか?
黒アンドロイドは、攻撃を止めることがない。
俺は避ける一方だ。
俺が、間合いから離れようとしても、すぐに間合いを詰めてくる
疲れなど知らないようだ。
エネルギーが切れてくれれば良いが、
いつまでも、受け流すことは無理であろう。
俺は、防衛だけでは仕方ないと思い。
攻撃をしたいのだが隙がない。
相手の右パンチを左手で右に受け流すと同時に
右手の掌底打ちで黒アンドロイドの胸を打つ。
しかし、予測されたのか左手で防御された。
くそっ
組手では勝てないのか?
どうしたら?
そんなことを思いながらアンドロイドの攻撃を
防御を続けていると、
アンドロイドの足元の地面が爆発した。
エレナの助太刀だ。
アンドロイドも流石に意表をつかれたのか、
バランスを崩している。
俺は、そのチャンスを見逃さない。
右手に気をこめて、掌底を思い切り
アンドロイドの胸に打ち込んでやった。
黒アンドロイドは、50メートルくらい吹き飛んだ。
と思ったら。
ドカーン
爆発した。
「やったわ。やったよー。ユウスケ」
遠くで、エレナの声が聞こえる。
エレナもずっと爆発させようと攻撃していたのだろう。
俺の掌底でバリア装置が止まったのか?
胸のあたりにバリアの装置があったのかもしれない。
ヤッター
俺達の勝ちだぜ。
いや?
うん?
あれっ?
調子こいてしまった?
嬉しいような。
火に油を注いでしまったような。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
敵基地は、エレナの星の一番高い山の頂上に建設されている。
攻撃ガサれにくいという利点があるとともに
電波などを飛ばすのにも良いのだ。
「危険人物発見・至急対処」
監視AIが発動する。
「至急対処する・予測行動・最適対応を計算中」
防衛AIが連動して動く。
ここの基地は、敵の人間が3人しかいない
人間と言っても、遠隔操作アンドロイドだ。
遠隔操作とはいえ意思があるとも言える。
脳が自分の星にあるだけなのだ。
見た目は、人間と区別がつかない。
「珍しく、AIが発動したな。」
若々しく、金髪の長髪で美青年な男が言う。
敵の侵略団長、ゼルダである。
敵の侵略軍の中でもエリート中のエリートだ。
「はい、確認したところ危険人物は人間一人ですが
監視アンドロイドを破壊した人物のようです。」
黒毛短髪のゼルダの部下、ハイドが報告する。
「一応、AIが危険と認識したのだろう
油断は禁物だ。
何かあったら報告してくれ。
まあ、何も無いだろうけど」
ゼルダ侵略団長がハイドに命令する。
「はい、ずっとこの星に来て暇だったので
少しは、やってくれると楽しいのですが
ひとりですからね。ハハハ」
ハイドが苦笑いをしながらゼルダ侵略団長に言う。
「AI防衛は、黒アンドロイド1体を向かわせるようだな。」
ハイドは、防衛AIの行動をモニタで確認する。
「過剰な戦力だが、
うむ、念には念をということなのか。
AIの計算にまかせるしかない。」
ハイドはひとりごとを言う。
数分後
「再計算・再計算・予測再計算・予測不能・再計算・・チクショウ・・・」
防衛AIが騒ぎ出す。
AIも精神エネルギーについては情報不足のようだ。
「うそっ。人間でしょ、あれ?
ふっとんで爆発させた?」
ハイドが監視モニタを見ながら驚いている。
そう、俺とエレナが黒アンドロイドを倒したところを見ていたのだ。
瞬時に行動を起こすAIにしては計算に時間が経っている。
予測が不能で何度も計算しなおしているようである。
そして、防衛AIの結論は出たようだ。
「ゼルダ侵略団長に報告しなくちゃ。アワワワワ」
ハイドは、防衛AIの選択行為を見て驚き、慌てふためいた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俺は、どうせ、また、黒アンドロイドとかが瞬時で来ると
思っている。
しかし、少し、試せることはやって見ようと思い。
資源採掘場のバリアに近づいた。
俺の考えが正しければ、そう思い
バリアに触れる。
するとシャボン玉が割れるようにバリアが壊れた。
「やっぱり」
そして、俺とエレナは、バリアの内側に入り、さらに
資源採掘場の建物までテレポーテーションした。
実はバリアが張られていてもテレポーテーションで中に
移動できる可能性は高い。
しかし、バリアの仕組みがわからなければ危険だったのだ。
「ねえ。何したの?ユウスケ。ビックリなんですけど。」
エレナが俺に聞いてくる。
「バリアに逆の振動を少し与えただけだよ」
俺は簡単に言ってやった。
その瞬間。
ゴカーン
ドカーン
ドドドドド
バリアの中のものはバリアが張っていないらしい。
敷地内のあちらこちらが爆発している。
エレナがこれまでの我慢を発散するかのように
施設も作業ロボットも何もかも・・・
数分の出来事だ。
何か、敵がこれまで積み上げてきた努力が無残に・・
可哀そうになるくらい木っ端微塵だ。
しばらく採掘は出来ないだろう。
とてつもなくデカい倉庫はまだ爆発されていない。
「あそこの倉庫は爆発しないのか?」
俺は余計なことを言ってしまった。
「あれは最後のディナーよ。最大限でやるの」
エレナが悪魔のように見えてきた。
そして案の定。
俺たちの500メートルほど先に黒アンドロイドが。
200体ほど・・・・
まるで、その倉庫を守るかのように、
倉庫の前に横に並んで現れた。
全てが、こちらに両手の手のひらを向けている。
人生終わりました。
レーザーなら距離など関係ないのに、
先ほどより、遠くに位置しているのは
少しは、俺達を警戒しているのかもしれない。
そんなに警戒しなくても大丈夫です。
さすがに、あれだけの数と組手は無理ですから。
というか肉片も残らないほどに殺されるんじゃないか。
今からでも平和交渉できないかしら?
そんなことを俺が思っていると。
いきなり倉庫が大爆発した。
普通の爆発ではない、広大な資源採掘場すべてが吹き飛ぶほど。
倉庫には何が入っていたんだ?
俺は瞬時にテレポーテーションした。
さすがに、あそこにいては本当に肉片も残らなかった。
俺たちの目の前にいた黒アンドロイドも大爆発に巻き込まれ
ただろう。
バリアがあっても無事では済まない気がする。
黒アンドロイドは恐らく、俺のようにテレポーテーションは
出来なかったのではないだろうか?
基地から送ったり、戻らせたりするのは基地のエネルギーを
使ってると推測している。
あの体の大きさでは、テレポーテーションするエネルギー
を確保できないと思ったのだ。
「初戦は勝利ね。ユウスケ隊長」
顔が墨だらけのエレナが俺に微笑んできた。
俺たちがテレポーテーションしてきた場所は森の広場。
そう、3人娘のところだ。
「お疲れさまでした。ユウスケ隊長。
さすがでございます。」
3人娘が俺に跪いてい話す。
「チョチョイのチョイだったわ」
エレナが軽そうに言い切った。
事態を収めようとして行ったのに。
2人とも調子こいて
何故か事態を悪化させてしまった気がする。
「それで、これからの作戦は?ユウスケ隊長。」
ハニーが俺に伺いを立てる。
「どうしよう。」
俺は、それしか答えられなかった。
とりあえず、現状分析だ。
俺はひとりでテレポーテーションで資源採掘場に行ってみた。
すごいクレイタ―が出来ていて、黒い破片みたいなのが
バラバラに散乱していた。
本当に何を倉庫に入れていたんだろう?
うん、作戦は失敗だ。
火に油、いやガソリンを撒いちまった。




