表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/22

第16話 開戦は突然に

 「ユウスケ、悪いけど手伝ってよ。」


ジュリアンとアンは、アベオ国にスパイに行っていた。

手伝ってくれということは、何かしでかしてきたのであろうか?


俺達は夕飯をみんなで食べている。

ジュリアンは、トマトスパゲティだ

 

 「そうだす。ユウスケに何とかしてほしいだす。」


アンも一緒になって俺にお願いをする。

俺には、もう不安しかない。

因みにアンは、ペペロンチーノ。


 「嫌です。

  絶対に迷惑なお願いしかないと思っています。

  ですから嫌です。」


俺は、しっかりと断った。

俺はNOをいえる男なのである。


 「残念だな。

  奇麗な未亡人を助けたかったんだけどな。」


奇麗な未亡人?

ジュリアンが興味深いことを言ってくる。

うん、俺にとっての許容範囲だ。


 「フフ。

  話によっては強力を惜しまないよ。

  ジュリアン君」


とりあえず、話だけは聞いてやろう。

話だけは。

その後、ジュリアンとアンは

アペオ国のガサ集落の現状を

話してくれた。

聞かなければ、ほっとく話ではあるが・・・・・・・・・

聞いてしまった。


 「要は、子供達や母親と赤ちゃんを何とかしたいと

  いうことなんですね。」


ハニーがまとめてくれた。

因みに、ハニーは、トマトピザを食べながら聞いてい。

 

 「そうなんだ。

  助けたいんだけど、何をしたら良いかわからないんだ。

  とりあえず、子供達の命が先決なんだけど。」


ジュリアンが説明をしてくる。

確かに話を聞く限り優先順位は子供達の命だ。


 「何か、ウィルスとかで病気が流行っているわけではないのか?

  もし、流行っていたら流石にこの集落には入れられないぞ。」


俺は一番の懸念点を聞いてみた。


 「大丈夫だすよ。

  栄養失調と不衛生な環境によるものだと思うだすよ。

  だから、何とかしてほしいだす。」


アンも必死になった顔で俺に説明してくる。


 「わかったよ。

  長老たちと相談してみる、というか

  集落のリーダーたちとも会議しないと無理だぞ。

  そこで、了解を得られれば、やるだけのことをやるよ。」


 「わかっただす。

  では、今すぐに長老に相談に行けだす。」


 「そうだ。

  早く行け。ユウスケ」


なんなんだ。

この俺への扱いは。

全く、優しすぎる巫女様達には付き合いきれん。

そう思いながら、俺は急いでミートソーススパゲティを

食べて、長老たちの元に向かった。


長老達と集落のリーダーたちの了承は得た。

ガサ集落の人たちを短期間、保護することだ。

500人程度のこの集落に50人程度の人間が入ってくることは

結構、簡単なことではないのだ。

一挙に人口が1割も増えるのだから。

しかも、働けない人間が増えるのだ。


ということで、短期間の保護ということで了承をもらったのだ。


 「みなさん、これで全員ですか?」


俺は、ガサ集落の人たちに聞いた。

俺の隣には、アンとジュリアンが立っている。

どうやら、この集落で、この2人の信頼は厚いようだ。


 「大丈夫だよ。

  お兄ちゃん。

  みんないるよ。」


10歳くらいの女の子が笑顔で答えてくれた。

与作さんの子供の愛菜ちゃんくらいの子供だ。

痩せ細っているのに、笑顔がとても可愛らしく見える。


 「テレポーテーション」


俺は心の中で呟くと、ガサ集落のみんなを

エデン集落に連れてきた。


 「すごい、お兄ちゃん。

  お兄ちゃんの手品なの?」


なんか、お兄ちゃんという言葉が心地よい。


 「違うよ。巫女様達の力だよ。」


俺は、謙遜して言った。

心の中では、このお馬鹿な巫女様達には出来ないことを

俺は出来るという優越感をもっているから余裕があるのだ。

  

 「そうなんだ。

  うん、お兄ちゃん、カッコ良いよ。

  ありがとうね。

  私は、サヤカ。

  よろしくね。」


サヤカが笑顔で俺に言ってくれた。

髪の毛がボサボサで少し汚い感じの子だが、笑顔が素敵な女の子だ。

別に少女に興味はないが、すごく嬉しい。


 「まずは、温泉に入って下さい。

  その間に、食事の用意をしますので。」


俺がガサ集落の人たちに言うと、ジュリアンが温泉に案内してあげた。

当然、監視部隊の奴等も男のロマンを求めて動き出すが、

ハニーとアン、エレナに捕まってしまう。

逃げ切れたのは、ガルバだけのようだ。


子供達には4人の巫女様達が加護を与えて、少しは元気になっている。

後は、食事で体力と免疫力をつけるだけだ。

エデン集落なら衛生面では大丈夫であろうから、1ヶ月もすれば

何とか全員なるのではないだろうか。


しかし、赤ちゃんを含めて子供が40人ぐらい増えただけで

こんなにも、集落の雰囲気が変わるものなのか?

ガサ集落にいたときは暗かった子供達が、

何故かここでは明るくはしゃぎ始めている。

不思議と、このエデン集落も元気がでてくるようである。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ガサ集落の人たちがここに来て1か月程が経った。

子供達は、エデン集落の食事を毎日、ガツガツ食べたおかげで

みんな元気になったようだ。


お母さんたちも、ガツガツ食べたので

赤ちゃんにも栄養がいきわたり互いに元気そうだ。

少し、お母さんたちは太った気がするがドンマイだ。


サヤカは子供達のリーダー的存在だ。

一番年上なのだろう。

男の子も含めて、「お姉ちゃん」と慕われている。


ジュリアンは、定期的にガサ集落に行っては、

身を隠しながら、ケシ花畑を吹き飛ばしている。

相手もケシ花畑が収入源であるため何度も植栽するのだ、

いい加減、諦めて欲しいのだが。

そうはいかない。

よっぽど、コストパフォーマンスが悪くならない限り

諦めないであろう。


 「もう、面倒くさいよ。

  ユウスケ手伝ってくれよ」


そんなジュリアンが俺に頼んでくる。

俺も考えていたことがある。

仮に、ガサ集落の皆をもとに戻したときに

幸せに暮らせるかということだ。

戻ったところで

また、元のような暮らしに戻るだけであろう。

それでは意味がない。


子供達に懐かれている俺としては何とかしたいのだ。


 「お兄ちゃん、考え事しているの?」


サヤカだ。

長い黒髪ガサラサラしていて天使の輪が出来ている。

可愛らしい俺の妹だ。


 「うん。

  サヤカ達が集落に戻っても

  自分達だけで生活をできる方法を考えていたんだ。」


俺は、サヤカの頭をなでながら教えてあげた。


 「えー。

  やだよ。

  私、お兄ちゃんと、すっと、ここで暮らしたい。」


可愛い。可愛いぞ、サヤカ。

お兄ちゃんもだよ。

でも・・・・・・・・・・・


 「うん。お兄ちゃんもサヤカと暮らしていたいよ。

  まあ、

  まだまだ、先の話だから大丈夫だよ。」


俺は、俺の足元に抱き着いているサヤカに言った。

よし、何とかするぞ。

ジュリアンとアンから現状の情報は得ている。

他所の国には干渉しないが・・・・・

偶には例外もある。

ということで。


 「アン、ジュリアン、一緒に行こうか。

  やりたいことがあるんだ。」


俺は、ジュリアンとアンに話しかけると、

一つ返事で了承してくれた。

ということで。


 「テレポーテーション」


俺達は、ガサ集落に来ている。

数キロメートル先には海岸が見える。

 

 「何をするんだすか?」


アンが俺に聞いてくる。


 「ここをああして、こうして・・・・・・・・

  そうすると・・・・・・・こうなる。

  どう思う?」


 「いいじゃないか。

  やっちゃえ、ユウスケ」


 「いいと思うだす。

  やっちゃえだす。ユウスケ」


アンとジュリアン、2人の了承を得た。

ということで、今からちょっとだけ天変地異が起こります。

決して、人為的に他国に干渉しているわけではありません。


 「おりゃー」


おれは、大げさに声をあげると

海岸線とガサ集落の間にある数個の小さな岩山が全て

めくりあがる。


 「私達の出番だね。」


アンが巨大な竜巻を起こすと

ジュリアンも能力を発動し、その岩山が全て巨大竜巻に

飲み込まれていく。

岩山はぶつかり合って細かくなっていく。

そして、そのまま巨大竜巻は、アベオ集落と街の間に移動していく。

ガサ集落と街をつなぐ道路の真上だ。

そして、竜巻が止むと大量の砕け散った岩が積み上がり

大きな山が出来上がっていく。

 

 「よしっ」


俺はそういうと、山に上から圧力をかけていく。

ガサ集落と街を遮る岩山の完成だ。


 「ふー。

  第一段階、終了だな。

  つぎ行くぞ。」


俺は、間髪入れずに次の行動へ。

岩山があったところの土を掘り削っていく。

アンとジュリアンがケシ花畑のあった場所の

前に、その土を運び、俺はその土に上から圧力をかけて

防波堤を作った。



 「さて、最終段階だ」


俺は、そう言うと堀り削った場所と海岸線の間の土を

更に削って、

そして、その土をアンとジュリアンが先ほどの要領で

岩山の上に運んでいく。

岩山の上に肥沃な土がかぶさった感じだ。

しばらくすれば、草や木が生えてくるだろう。


完成である。

数キロメートル先にあった海岸線からガサ集落に

海水が流れ込んでくる。

勾配を大してつけなかったから静かに流れている。

集落の近くに小さな湾と海岸が出来上がった。


 「うん。良い感じだね」

 「そうだすな」


アンとジュリアンも満足しているようである。

きっと、様子を見ていた人には天変地異が起こったと

思ってくれるであろう。


 「しばらくすれば、自給自足が出来る環境になりそうだな。

  では、帰りますか。

  テレポーテーション。」


ということで、俺達3人はチャチャッと任務を終えて

エデン集落に戻ってきた。


サヤカが俺の元に走ってきて足元に抱きついてくる。

可愛い。


 「巫女様達にスケベなことしていたの?

  あんなことやこんなことをしてきたの?」

  お兄ちゃん?」


うん?

どこで、そんな悪い言葉を覚えたんだ?


 「サヤカ、

  そんな悪い言葉を誰から教わったんだい?」


俺はサヤカの頭をなでながら聞いてみた。


 「うん。

  お兄ちゃんが何処に行ったか

  ハニー巫女様とエレナ巫女様達に聞いたら。

  お兄ちゃんは、

  きっと、アン巫女様とジュリアン巫女様に

  スケベなことをやっているって。

  あんなことやこんなことをやっていると思うって。」

 

あのクソ巫女どもが。

純粋なサヤカに何を教え込んでいるんじゃ。

 

 「そうなんだすね。

  あんなことやこんなことを一緒にやってきただすよ。」


 「そうだよ。

  色々と、やらされて疲れたよ。」


アンとジュリアンまで。

サヤカには理解できないだろうけど。

勘違いされてしまうようなことを言うんじゃねえ。


 「さすがお兄ちゃん。

  頑張ってスケベしていたんだね。」


頑張ってスケベは出来ません。

くそ巫女どもにサヤカを近づけてはいけない。

俺の可愛い妹を、純粋な妹を魔の手から俺は守る。

 

 「サヤカ。

  いいかい。

  巫女様達は、お馬鹿で、彼氏も出来ないから

  近づかない方が良いよ。

  馬鹿とブスがうつるからね」


俺はサヤカに優しく教えてあげた。

目の前に、アンとジュリアンがいることを忘れて。


 「ひ、ひぇー。

  嘘です。

  ジョーダンです。

  もう、訂正は遅いですか?

  後悔後に立たずってやつですか?」


アンとジュリアンの表情を見て慌てて、

俺はテレポーテーションして逃げたが

結局、夕食時に捕まってしまった。

4人の巫女様達に。


俺は、スパイ活動を継続している巫女様達から情報を得る。

 

 「なるほど、ヤバい情報だな。」


俺は、ハニーからの情報を聞いて呟いた。

顔面や体はアザだらけであるが。

巫女様達の説教タイムは無事終えた。


 「ですよね。

  これまで、代理戦争していたダイス国とカーリア国の

  関係が相当に緊張状態になっているようですよ。

  大戦がいつ起こってもおかしくないとか。」


カーリア国が勢力を拡大してきたから緊張状態になったのか?

それとも、わざと、カーリア国を強くして緊張状態にしたのか?

もし、そうだとしたら、随分と手が込んでいる。


カーリア国は、民主主義を否定している国である。

しかし、上層部はダイスさんやネイルさんと繋がっているであろう。

でなければ、あちらこちらで大戦争が起きているはずだ。

いわゆる管理された緊張状態だ。 


結局、民主主義というのも虚像なのである。

理屈では、国民に選ばれた人が政治を行うのだが

その、国民が平等に正しい情報と判断力を持っていることが

前提条件だ。

そうでなければ、お金や情報操作で政治家が選ばれてしまう。

結局、力の強い資本家勢力が人を選べてしまう制度なのだ。


反対する勢力は、逆に弱者や労働者のための制度であるが

結局、弱者から力の強い政治家が自由や資産を搾取してしまう仕組みに

なってしまっている。


こんな感じで、

選択肢が2つしかないように、

思わせているだけと俺は考えているのだが。


しかし、

やばいよな。

このエデン集落は、カーリア国とダイス国に挟まれた

集落だ。

当然、ここを侵略した方が有利と言えるだろう。

建前上は。

 

 「なあ、ERENAZ。

  お父さんとは連絡をとっているの?」


 「いえ、全然。

  もう、ずっと会っていないし、連絡もないです。」


 「因みに、俺のこととか

  お父さんに報告した?」


 「ええ。随分前に報告しましたよ。

  スケベなだけで、気持ち悪い人ですって。」


作戦どおりとはいえ、何故か心が傷つく。

エレナはダイス教祖様のスパイなので

逆に利用したのだが・・・・・・

まあ、ERENAZが本当のこと言っているかも

わからないのだが。


俺の中での勝手な設定では、

ERENAZはサヤカのお姉さんで俺の妹だ。

サヤカもERENAZのことをお姉ちゃんと言って

慕っているのだから良いのだ。


そんな中、火の見櫓の鐘が鳴った。

6回鳴ったので緊急事態のようだ。

もしかして早速・・・・・・・・・・・・・・・


俺はテレポーテーションで火の見櫓の下についた。

その後、急いで火の見櫓に上り

状況をパイソンさんたちに聞いてみた。

まだ、俺の能力を集落の人にバラしたくないのだ。

理由は単に恥ずかしいだけなのだが。


 「バリアは張った。

  うまくいけばよいんだがな。」


どうやら、カーリア国が農場の方から侵攻してきたらしい。

開戦なんて、こちらの都合は関係ない。

突然始まるのだ。

いや、前から前兆はあったのだ。

行動が早いな。

 

 「ダイス国とカーリア国が緊張状態になったようです。

  当然、間に挟まれた、この集落を侵略した方が優勢になると」


俺はパイソンさんたちに説明した。


 「マジか。

  勝手に、うちらを巻き込むなって感じだな。

  しかし、ヤバいな。」


パイソンさん達と会話をしながら、カーリア国からの侵攻方向を

確認している。


どうやら、バリアから先に進めず困っているようだ。

というより不思議がっている。

そりゃそうだろう。

レーザー攻撃や、ミサイルなどを打ちまくっているが

当然、バリアは効かない。


 「すげーな。

  バリアっていうのは。

  あれがあれば、安心じゃねえか」


パイソンさんが、死亡フラグを吐いてしまった。

そう、簡単に済むはずがないのだ。

エレナ達の話では、相手にはバリアを解除する能力の者が

沢山いるとのことだった。


そして、やっぱり

双眼鏡で監視していると、

軍隊の中でも偉そうな軍人がバリアを確認している。


俺は、嫌な予感がして


 「パイソンさん、ちょっと俺、行ってきます」


俺は、そう言って、急いで火の見櫓から急いで降りて

からテレポーテーションした。


 「うむ。

  バリアが張られているな。」


カーリア軍の少将、ラザットはやれやれという感じで

そのバリアに手を触れる。

触れた場所のバリアは解除されたが、

他はバリアガサれたままだ。


 「なるほど。

  これでは、私ひとりしか中に入れませんね。

  仕方ない。

  バリアの装置を破壊しに行きますか。」


ラザット少将は面倒くさそうに溜息をついた。


 「みなさん、私がバリアの解除をするまで

  ここで、暫く、待機していてください。

  中の様子を伺ってきます。」


ラザット少将は後方の軍人たちに向かって命令すると

5重にもなるバリアを解除しながら

バリアの中に入ってきた。


 「さて、バリアの装置があるとすれば

  あの辺りかな?」


ラザット少将は落ち着きながら、バリアの装置があるであろう

場所に向かって歩いていく。

バリアシステムは地中に埋まっているのでわからないはずなのだが。


 「ようこそ。

  私は、この集落の者でユウスケと申します。

  カーリア国の軍人さん。

  本日は、どのようなご用件でしょうか?」


俺は、バリアを簡単に破って、こちらに向かって

ゆっくり歩いて来る軍人さんに挨拶をした。


 「これはこれは、ご丁寧な挨拶をありがとうございます。

  私は、カーリア軍の少将ラザットと申します。

  本日は、この集落を侵略しようと参りました。

  あのバリアの装置の場所を教えていただけると

  助かるのですが」


なんて正直な方なんだ。

俺は少し、尊敬してしまった。


 「大変申し訳ありません。

  バラしたらみんなに怒られてしまうので

  教えることは出来ません。

  それと、いきなり侵略すると言われても

  心の準備が出来ていないので

  こちらの心の準備が出来てから、また、来ていただけると

  助かるのですが」


俺は、尊敬するラザット少将にお願いしてみた。


 「そうですよね。

  私も大変失礼だとは思って嫌だったのですが

  どうしても、侵略して来いと上司が命令するものですから

  申し訳ありません。

  死んでいただいてよろしいでしょうか?」


本当に正直な方だ。

ラザットさんはそういって、能力を発動してきた。


俺は竜巻に飲み込まれ、その竜巻には

周りの石や岩が風で送り込まれている。

アンとジュリアンの能力だ。

竜巻の中で俺はグルグルと洗濯機のように回され

石や岩が俺にぶつかってくる。


そうか、自分がやったことは自分に返ってくると

聞いたことがある。

俺はアンドロイド達の気持ちが今わかった。

いや、違う、これをやったのは

アンとジュリアンで、俺はやっていない。


そんなことを考えていると

竜巻が止んだ。

俺は、フワッと着地したのだが


 「な、何故だ。

  何故、無事なのだ。

  貴様、何者なんだ?」


先ほどまで冷静だったラザットさんが慌てている様子だ。

ラザットさんは、そんなことを言いながら念動力で

俺を飛ばそうとしているが、俺は逆らっている。

ハニーの技と同じようだが、痛い思い出しかないのだ。


 「なるほど、

  貴様が、ユウスケという能力者か。

  噂には聞いていたが・・・・・

  なかなかやるな。」


えっ?

俺って有名だったの?

というか、最初に俺、名前名乗ったじゃん。

今更な感じのセリフですよ。


 「満足しましたか?

  これで、帰っていただけると助かるのですが」


俺は丁重にお願いをした。


 「フフフフフ

  帰れないのだよ。

  偉大な、あの方の為にも。

  あの方からもらった、この力で

  今回の作戦を成功させなければ。」


ラザットさんの目つきが変わってしまって恐ろしい。

というか、あの方にもらった力?


 「偉大な方とは、どなたのことですか?

  ダイス教祖様ですか?」


俺は、率直に聞いてみた。

ダイスさんは、人に力を与えれれるのか?


 「そ、そんなわけないだろう。」


何か、動揺していますけど。


 「確かにお前は強いかもしれぬ。

  しかし、

  今回の侵攻で俺だけしか能力者がいないと

  思っているのか?」


 「いえ、思っていません。」


俺は、素直にお答えした。

だって、ラザットさんの後ろから4人、バリアを破って

こちらに歩いて来る軍人さん達がいるのだもの。

そりゃあ、俺だってわかります。


しかも、俺めがけて容赦なくレーザー銃を

ラザットさんも含めてみんなで撃ってくる。

 

当然、俺にレーザー銃は効くはずがない。

馬鹿みたいに撃ってくるが俺には効かない

みんなして俺のバリアを見事に破るが、

破られても、又、バリアを張るだけなので

6重くらいバリアを張れば、関係ない。


 「いつまで、耐えられるかな?」


ラザットさんが笑みを浮かべながら俺を心配してくれるが、

そんなことを聞かれても、明日くらいまでは

余裕だと思う。

 

俺は、ラザットさん達、5人に近距離で囲まれて

攻撃されている。


周りから見たら、凄く俺がイジメられているように

見えるだろう。

浦島太郎に出てくる俺は亀みたいになっているのだから。


しかし、遅いな。

別に俺はレーザー銃を破壊して

バリアを100重にでもすれば良いだけなのだが

俺の能力をバラしたくないし

時間稼ぎをしないと怒られるのだ。


 「あっ、あそこでユウスケがイジメられているよ」


エレナの声だ。

やっと食事を終えて来たのである。

テレポーテーションで一緒に来ようとしたら

食事中と言われ断られたのだ。


 「フフフ

  ラザットさん。

  こちらも、能力者が私だけと思っていましたか?」


俺はカッコよく、ラザットさんの真似をして言ってみた。


 「ふん。

  巫女達の能力など知っているわ。

  大したことはないとな。

  要注意人物はお前だけと聞いているんだよ」


ラザットさんが素直に答えてくれる。

本当に正直な人だ。


 「ハニー、ジュリアン、アン、

  この人が、

  竜巻起こしたり

  風をおこしたり

  念動力をつかって俺を飛ばそうとしたり

  して、イジメたんだよ。」


俺は、相手から攻撃を受けながら

3人にラザットさんが俺にしたイジメをチクッてやった。


巫女様達3人の顔が怒っている。

そして、こちらにゆっくりと歩いて来る。


 「あと、お前たち巫女達の能力は大したことがないと

  馬鹿にしてたよ。」


4人の巫女様達が不気味に笑っている。

うん、怖い。

 

俺は逃げます。

そう思って、テレポーテーションで

その場から脱出した。


 「まてっ、貴様」


ラザットさんの声が聞こえるが気にしない。

その声は、うぉーという悲鳴に変わった。


ここがバリアの付近で良かった。

農作物に影響が出たら大変だ。


竜巻と暴風が合わさると凄いことになるのだ。

普通の人なら絶対に死ぬ。

恐ろしい光景である。

超高速の竜巻に雷鳴が鳴り響いている。


数秒で竜巻と暴風は収まった。


 ドサッ ドサドサドサッ


人間が5人、落ちてくる。

バリアを張っていたのであろうが、

無事ではないようだ。

そりゃそうだ。

アンドロイドとは違うのだから。


 グウゥ アァッ


とても苦しそうにしているので、

まだ、みんな生きているようで安心した。。

 

 ギューン

 ドカン ドドドドカン


可哀そうに

休む間もなく、超スピードでバリアに飛ばされ

脚の両膝を強打させらている。

膝のお皿が複雑骨折したのでは?

しばらく、歩けないだろう。


しかし、他人がやられているのを見ると

おぞましい光景だ。

俺は、こいつらを怒らせると

これ以上の攻撃をいつも受けているのだが・・・・


そして、バリアの外では戦車や車両等々が

爆発している。

そりゃそうだ。

エレナがいるのだから・・・・・・・・・

こいつは、何故かバリアなど関係なく爆破が出来るように

なっているのだ。


 「どうですか?

  私たちの能力は?」


ハニーが、ラザットさんに聞いているが

答えられる状況ではないようだ。

みんな、白目をむいている。


しかし、どうしたものか?


 「これ、どうする?」


俺は、巫女様達に聞いてみた。

 

 「決まっています。

  尋問タイムの始まりですわ。」


巫女様達が不気味にまた笑っている。

俺はもう知らない。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 


あれから、カーリア軍の侵攻はない。

長老が、苦情をカーリア国の国王に書面で出したが

謝罪も返答も無いのだ。


今回、巫女様達に尋問を受けているのは

少将5人だ。

他に少将は25人程度いるらしい。

統帥がひとりで、

大将は3人なので、大将1人に10人程度の少将が

ついているらしい。


少将の下には、1000人程度の軍人がいるので

カーリア軍は全体で、3万人くらいの軍隊だ。

ダイス国と軍人の数は大して変わらない。

今回、この集落を侵攻したのも、少しでも優位に

立つためだったとか。


さすが、巫女様達である。

強靭な精神力をもつ、カーリア国の軍人から

口を開かせたのである。


 「ガルバやユウスケより全然楽でしたよ。」


ハニーが簡単に話すが、俺にはわかる。

こいつら、人体の蘇生が出来るからって容赦ないのである。

まるで、悪魔なのだ。

色気と恐怖。

 

そう、飴と鞭、いやいや

そんな可愛い問題ではない。

本当の生き地獄なのだ。

それに耐えている俺や工事部隊の奴等を

褒めて欲しい。


 「それで、ダイスさんとの関係はわかったの?」


 「はい。ダイスが、裏で糸を引いているのは

  間違いないだす。

  絶対に内緒にして欲しいと頼まれたので

  口外はしないであげるだすが」


アンが教えてくれた。

どうやら、ダイス国にもカーリア国にもダイスさんの

信者が力を持っているらしい。


 「でも、あいつ凄いんだよ。

  自分の能力を人に与えることが出来るらしいんだ。

  それで、あいつらも選ばれた人間だと勘違いして

  調子にのったらしいんだ」


ジュリアンが補足説明をしてくれる。

確かに凄いな。

俺には出来ない。

俺は、ただこいつらにエネルギーや能力を

奪われるだけだから。


 「だから、ダイスを懲らしめれば

  一件落着じゃないですか?」


ハニーが俺に聞いてくる。

確かにそうかもしれないが、

直接、俺達に喧嘩を売っているわけでもないし・・・

 

もしかして、俺達の実力を試しているのか?

あちらも慎重に動いているのかもしれない。

ならば、こちらも慎重に・・・・・・・


そんなことを考えていると

恐ろしいことが、目の前で起きた。


カーリア国の軍人がラザット少将の目の前に、

突然、現われたのだ。

テレポーテーション?

まさか、俺以外に出来る人間が?


 「突然すみません。

  私は、カーリア国大将のひとり、

  アルゼットと申します。

  うちの少将たちがお世話になっていると思い

  迎えに参りました」


ヤバいな。

こいつは強すぎる。

イメージできない場所にテレポーテーションが出来るのだ。

恐らく、少将たちをイメージして来たのであろう。

俺には出来ない。


 「そうですか。

  こちらも、お迎えの方が早く来ないかと

  お待ちしていたところです。

  客人として大事に接待させていただきました。

  どうぞ、お持ち帰りください」


俺は丁重に挨拶をした。

その言葉を聞いたアルゼット大将は、ラザット少将たちを見つめる。

まあ、大事に接待された割にはボロボロになった姿ではあるが。


 「ハハハ

  生きているようでなによりです。

  君達、帰りますよ。

  まあ。ここにいた方が幸せだったかも

  しれませんがね。」


アルゼットは、ラザット少将たちに話しかけた。

ラザットさん達の為に引き止めたいが、俺達は動けない。


 「それでは、また、会えるでしょうから。

  ここは、失礼させていただきます。」


そう言って、アルゼット大将はテレポーテーションで

5人の少将ともに消えていった。

一瞬の出来事だったと言って良い。

チクショウ

 

大将レベルになるとあれ程なのか?

ダイスはどれだけ強いんだ?

正直、俺はダイスを舐めていた。

いや、舐め過ぎていた。


巫女様達も能力の違いにショックを受けているようだ。

テレポーテーションしか見ていないが

存在力の強さに圧倒されたのであろう


 「次に会ったときは・・・・」


ハニーが悔しそうに呟くが、言葉に詰まっている。


 「気にすることないよ。私達だって、人をためらいもなく

  ・・・・・・出来れば・・・・・・」


ジュリアンも。


そうかもしれない。

もしかしたら、こいつらも非情になれれば・・・・

もしかしたら。


ハアーア。

まったく仕方ねえな

何で俺が・・・・・・・・・・・・・・


 「巫女様方、ちょっと、俺、真剣に修行してきます。」


俺は、真剣に巫女様達に言った。

このままでは、絶対にヤバイと感じたのだ。

ここしばらく、自分の能力を過信して、

真剣な修行などしていなかったのが

いけなかったのかもしれない。

 

 「なるほど、私たちが鍛えてあげれば良いのですね。」


ハニーが笑みを浮かべて言うが、違います。

そんな、あそびの修行じゃない。

本当の修行だ。


 「いえ、ひとり本気で修行してきます。

  まあ、3日程度ですけど。

  何とか、あの大将よりは強くなって帰ってきますよ。」

 

俺は、まだ本気を出していない・・・・はず。

まだまだ、限界ではない。・・・・・・はず。

ということで。


 「ちょっと、ユウスケ・・・・・・」


 「テレポーテーション」


エレナの呼びかけもシカトした。

俺は、しばらく巫女様達と離れて

武者修行をしに旅立ったのだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 「大変申し訳ありません。

  ダイス様。

  ラザット少将ほか4名の少将が敵に

  捕らわれてしまいました。」


アルゼット大将はダイス教祖に跪き頭を下げている。


 「フォフォフォ。

  気にするな。アルゼットよ。

  相手の実力を儂が間違えたのが悪かったのじゃ。」


ダイス教祖様は、アルゼットを決して責めたりしない。

例え、アルゼットの判断で侵略作戦を実行したとしても。


 「いえ、私にもっと力があれば、こんなことに・・・」


アルゼットは心から反省し、力が無いことを悔やんだ。


 「そうか、ならば、お前に力を授けよう。

  今のお前の、精神エネルギーであれば使いこなせる。

  この力で、ラザット少将たちを迎えに行くがよい。

  相手と交戦は、まだ、しなくて良いからな。」


そう言って、ダイス教祖様は、手をアルゼットにかざし

何かの力を与えた。

アルゼットの体は眩い光を発して・・・・・


 「ありがたき幸せ、この命、ダイス様の為に」


そう言って、自分の能力に目覚めたアルゼットは

ラザットをイメージしてテレポーテーションした。


 「ふむ。まだ、戦力が足らぬか。

  もっと、軍人たちの精神エネルギーを鍛えねば。

  ユウスケ・・・・・・・・

  あれは一体、何者なのか・・・・・・・・・・・

  もう少し様子を見るべきであろう・・・・・・・

  まあ、儂の力の前では大したことはないのだが。

  儂が表に出ることは許されぬのだ。

  たかが人間を相手に・・・・・・・・」


 ダイス教祖様 ? ・・・・は考え込んでいた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


どれほど。、時間が経ったのであろうか?

巫女様達には3日程度と言ってきたが・・・・

宇宙空間では、時間間隔が全くわからない。


そう、俺は究極の修行場所に来ている。

ラクーンの星でも、自然や台地を感じながら

修行は出来るのだが、巫女様達がやかましくて

集中できないのである。


なので、一番静かで修行できる場所を選んだのだが

結構辛い。

3日程度の空気を圧縮してきたつもりだ。

そして、

俺はバリアを1000重にして、隕石や放射線から守りながら

座禅を組んでいるのである。


しかし、この宇宙空間のエネルギーは凄まじい。

物質ではないエネルギーというか、

空間に存在するエネルギー。

俺の中のエネルギーと同じ感じのエネルギー

つまり、呼吸のように同調でき、

吸収することもきるエネルギーなのだ。

いくら吸収してもお腹がいっぱいになることはない。


なんか、このままこの空間にいても良い気がしてくる。

そう、何かに包まれているような、守られているような

まるで、お母さんの胎内にいるような

安心感のある不思議な感覚なのだ。

胎内の記憶なんてないけど。

 

しかし、こんな修行でダイス教祖様を何とか出来るのかしら?

ただ、巫女様達の悔しい顔や悲しい顔は見たくない。

かと言って、あいつらが自分の求めていない道に行くのも嫌だ。

まあ、単に俺の我儘なのだが・・・・・


アルゼットよりも強くなって帰ってくると言ったのも

そんな気持ちからだったのだが、

こんな修行で強くなれるのかは疑問だ。

だって、すごく心地よい修行なのだから。


心地よいのだが、暇だ。

ずっと、このままでいたら、意識がこの空間に

溶けてしまいそうだ。

仮に溶けてしまったら、その意識は何を思うのだろう?

暇すぎて、何かを生み出そうとか?

 

まあ、今は溶けている場合ではない。

俺の周りの空気もそろそろ限界のようだ

強くなっていないようだったら、他の方法を考えよう。

そういうことで・・・・


 「テレポーテーション」


目の前には、エレナの顔がある。

どうやら、成功したようだ。

エレナをイメージしてテレポーテーションしたのだ。

これで、テレポーテーションに関しては

アルゼットと同じレベルぐらいにはなったかもしれない。


 「よしっ。成功だ」


俺はエレナの顔を見て呟いた。


 「何が成功なの?

  変態になって帰ってきただけなの?

  出て行って。

  早く、出て行って下さい。」


エレナが顔を赤くして涙ぐんで俺を見上げている。

洋式のトイレに座っている状態だ。

どうやら、俺はトイレにテレポーテーションしたようである。


 「な、な、何も見ていないから」


俺は、そう言って慌ててテレポーテーションでトイレから

俺達の部屋に移動した。

部屋には誰もいないようだ。

外を見ると暗くなっている。


 「そっか。今は夕食の時間か?

  エレナは食事前のトイレといったところだったのか。」


俺は部屋でひとり呟いた。

そういえば、俺は3日間、何も食べていないのだ。

急に空腹感に襲われてきた。


 「とりあえず、食事だな」


俺は、そう思って部屋を出たのであった。


しかし、このテレポーテーション能力は素晴らしいな。

色々と役に立ちそうなのである。

 

テレポーテーションだけではない。

星に戻ってきても、意識をすれば何故か宇宙とのつながりを

感じることができる。

精神的にもの凄い安心感を得ることが出来るようになった。


 「3日と言っていたわりには、随分と早いお帰りで。」


ハニーが何故か不機嫌な様子で俺に話しかけてきた。

そっか。

宇宙空間の3日と星の3日では時間の進み方が違うのか。

どれくらい、星では時間が経っていたのであろう?


 「俺は、どのくらいの期間、修行していたの?」


ハニーに俺は聞いてみた。


 「変態になって帰ってきただけでなく

  時間もわからないほど馬鹿になって帰ってきたのですか?

  今日の朝に出かけて、夜には帰ってきたくせに」


ハニーが呆れた感じで教えてくれた。

あらっ?

1日も経っていなかったのか。


 「変態さん。

  どんな修行をしてきたの?」


エレナが未だに怒った顔で聞いてくる。


 「だから、何も見ていないから安心しろよ。

  本当だよ。

  顔しか見ていない。」


俺は、エレナの怒りを鎮めようとした。


 「別に見られたって・・・・

  いや、見てないなら別にいいけど。

  なんで、トイレにテレポーテーションする変態に

  なったのよ。

  どんな修行をしたら、そんな変態になれるのよ」


エレナが剥きになって俺を責め立てる。


 「いや、だから3日くらい宇宙空間で修行してきたよ。

  宇宙空間と星の時間の進み方は違うんだ。

  説明してもわかならいだろうけど。

  それで、エレナの顔をイメージしてテレポーテーション

  したら、たまたまトイレだったんだよ。

  別に変態になるために修行してきたわけじゃないからな。」


俺は、ジャンボ猪の肉に喰らいつきながらエレナに説明した。

ジャンボ猪生姜焼き定食は、すでに2回おかわりをしている。

しかし、何故か、エレナが照れくさそうだ。


 「何で、私の顔をイメージしてテレポーテーション

  するのよ。

  他の人をイメージすれば良かったじゃん」


何をエレナは剥きになっているのであろう?

話に夢中になっていると、お前のラーメンが伸びてしまうぞ。


 「そうだすか。

  それで、どうなんだすか修行の成果は?」


アンが話題を変えてくれた。


 「まだ、わからない。

  多分、テレポーテーションはアルゼットと同じくらいには

  なれたと思うけど。

  あとは、何か宇宙とつながっている感覚が芽生えたというか

  なんというか・・・

  だから、まだ、わからない」


俺は、正直に現状をみんなに報告したのだが、

俺の報告を聞いて巫女様達は何かを考えているようだ。


 「ユウスケ。

  すみませんが、明日から私達も一緒に修行させてください。

  その宇宙空間で・・・・」


ハニーが珍しく、丁重に俺にお願いしてきた。

他の巫女様達を見渡すと、みな俺の顔を真剣に見つめている。

どうやら、みんな真面目に宇宙空間で修行がしたいようだ。

良い面構えだ。


そっか。こいつらも悔しいのであろう。

自分の能力の非力さに。

祀られながらも、人々を救えない自分の力に。

人々のために力を求めているのだ。


 「わかった。明日からみんなで修行しよう。

  しかし、宇宙空間では一瞬の気のゆるみが

  死につながるからな。」


俺は真剣な顔をして巫女様達に告げた。

そして、俺はデビルオオカミステーキ定食を追加注文するのであった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


俺達は、毎日、宇宙空間で修行をしている。


こいつらが、人々のために力を求めている?

勝手に俺が想像していただけだった。


最初は、座禅などを組んて修行しているかのように見えた。

しかし、暇すぎて寝ているだけ。

そして、今では、俺の空間で燥いで遊んでいるだけだ。

無重力が楽しいのであろう。


ハニーがみんなを、超高速で飛ばして遊んでいる。

エレナは、宇宙空間に飛んでいる隕石を爆破して遊んでいる。

ジュリアンとアンは、この宇宙空間で竜巻と暴風を発生させようと

したので、さすがに止めた。


なんか、毎日、幼稚園児を遠足に連れてきている気分だ。

大体、毎日、宇宙空間では半日くらいだが、

星では、数十分しか経っていない。


万が一、ダイス国やカーリア国が攻めてきたら

大変という理由もあるが、こいつらが半日くらいで

お腹を空かしてしまうのだ。

本当に修行になっているのであろうか?


集落は、依然として平和である。

というより、表面上、平和に見えているだけだ。

実は、色々と、相手も仕掛けてきている。


 「今日も、20人程、テロリストを確保したっす。」


夕暮れ時、

ガルバが巫女様達に報告し、縄で縛られたテロリストを

巫女様達に引き渡すと、

監視の任務を続行しますとか言って

一瞬で、ホフク全身通路に戻っていった。

可哀そうに、このテロリストたちは

これから、巫女様達の尋問タイムだ。


工事部隊、改め監視部隊は、隠密に集落の平和のため

働いているのだ。

 

テロリストたちは、正体不明の組織から金で雇われている

ようだった。

このテロリスト達も被害者と言えば被害者かもしれないが、

だからと言って、集落の人々を殺して良い訳ではない。


武器も持たない集落だから、安全と言われて、

レーザー銃だの刀などの武器を持たされたようだ。

当然、余所者がそんなものを持って集落に入れば

監視部隊にあっという間に捕まってしまう。


武器を持たずとも、監視部隊を舐めてはいけない。

武道が達人級で、しかも念動力ももっているのだ。

刀やレーザー銃も役に立たない。

体が動けなくなってしまうのだから。


かといって、大群で攻めて来ればバリアで

集落の中に入れない。

能力者の大群が来ない限り、完璧な防衛状態なのである。


 「おそらく、テロリストたちに集落で暴れさせて、

  この集落をまもるという建前で

  自分達の軍を集落にいれようという作戦です。」


俺は長老たちに助言した。


 「なるほどのう。

  しかし、困ったことじゃ。

  いつになったら、この恐怖がおわることやら。

  こんなことに力を注ぐなら、

  畑でも耕していた方がよっとぽど良いと思うのじゃが。」


サイファン長老が、疲れたように言った。

俺も本当にそう思う。

 

しばらく立つが、あれからカーリア国は全く攻めてこない。

巫女様達が各国をスパイしているが、

どうやら、

ダイス国側につく国と、カーリア国側につく国の2極化している

ようである。

この集落だけが、仲間外れな状態だ。

 

ダイス国とカーリア国は常に交渉している状態だ。

互いの主張を言い争っているが中身が無い交渉なのである。

そのわりには、あちらこちらで代理戦争が行われているからだ。


 「それで、今後、どうなると思いますか?

  ユウスケさん?」


サイフォン長老が俺に聞いてくる。

俺に聞かれてもわからないのだが

俺の星の歴史で考えてみると

最終的に、平和という名のもとに、

世界は統一されることになるであろう。

おそらく、最強の軍事力と巨大な資金に影響を持つ者が・・・・


別に俺の星ではないのだから、

俺が心配する必要はないのだが・・・・・・


 「そうですね。

  どうなるか、わかりませんが。

  自分達が正しいと思うことを努力するだけですかね。

  強いですよ。この集落の住民は。」


そう、ここの住民は恐怖に打ち勝っている。

住民達も気が付いている。

この集落が危険なことを。

そして、自分達が対抗できる武力を持っていないことも。

それでも笑って毎日を過ごしている。

精神力が強いのである。

おそらく、俺なんかよりもずっと・・・・・


俺は長老達に報告を終えると

部屋に戻った。

今頃、テロリストたちは巫女様達に尋問を

受けているであろう。

可愛そうなので、見たくはないのだが

聞きたいこともある。


あれっ?

テロリストが増えている気がする。


 「なぜ、ガルバも一緒に縛られているの?

  実は、こいつもテロリストだったの?」


俺はハニーに聞いてみた。


 「フフフ

  こいつは、私たちがテロリストを尋問するだろうと

  夕暮れ時にテロリストを引き渡したのですよ。

  私達がいない間に覗きが出来ると思っていたのでしょう。

  私達がそんな作戦に気づかないとでも思ったのでしょうか。」

 

なるほど、策士、策に溺れてしまったというわけか。

気持ちはわかるが・・・・・・・・・


 「馬鹿だな。

  今回は逃げきれなかったのか?

  下手をうったのか?」


俺はガルバに憐れみの声をかけた。


 「前までなら逃げ切れたはずなんすよ。

  巫女様達の攻撃を見切って・・・・・・・・

  しかし、何故か、半端なく強くなっていて

  一瞬で、この様っす。」


見れば、服は焦げて体中にアザだらけ。

可哀そうに。

しかし、巫女様達もあんな修行で強くなっているのか?

というより、ガルバは前まで攻撃を見切っていたのか?

 

まあ、ガルバはどうでも良い

俺はテロリストたちを見渡した。

ほとんどが白目をむいているが、意識がある者がいた。


 「ひとつ聞きたいんですけど、本気で集落の人を

  殺そうと思って、ここに来たの?」


俺は、率直に意識のあるテロリストさんに聞いてみた。


 「そうさ。殺そうと思って来たんだよ。

  あんたらには、わからねえだろうが、

  人を殺さなくちゃ、生きていけねえんだよ。

  金がなくちゃあ、生きていけねえんだよ」


テロリストさんは随分と正直な方だ。

そんなことを言えば、殺される可能性だって

あるのに。


 「それは、理解していますよ。

  でも、そんなことをすれば、自分を殺すことにも

  なりませんか?」


 「そんなことも、わかっている。

  自分を殺さなくちゃあ、人なんて殺せねえよ。

  自分を殺さなくちゃあ、大切なものは守れねえんだ」


 「そうですかね?

  僕には、守るというより、

  守っているつもりとしか思えないのですが」


 「いや、ちゃんと金を稼いでいるんだ。

  命を懸けて・・・・

  生活させているんだ。

  俺は、家族を守っているんだよ。」


テロリストさんは剥きになって話してくる。


 「誰かに誰かに操られて人を殺してお金を稼ぐ。

  確かに、そういう守り方もあるかもしれませんね。

  でも、ここの集落の人たちは違う方法で家族を

  守っていますよ。

  たとえ世界中を敵にしてでも。」

 

俺の話を聞いて、

テロリストさんは何か考え込んでいるようである。

 

 「因みに、ダイス軍やカーリア軍からスカウトなどは

  ないのですか?

  あなたほど、精神力が強ければ、スカウトされそう

  ですけど。」


 「そうだな。

  この集落の襲撃が成功したらダイス軍に入れてもらえる

  約束はしてもらっていたよ。

  ふんっ。

  あんたと話していたら、

  軍にはいるのも馬鹿らしくなっちまったがな」


俺はテロリストさんとの会話を終えた。

ただ、お金を稼ぐだけでテロリストになったわけではない。

それなりの事情がある。


テロリストさん達は、俺のテレポーテーションで

国に全員帰している。

巫女様達の恐怖の尋問を受けたのだ。

二度と、テロリストとして襲ってはこないであろう。

それに、この集落は襲わない方が良いと広めてもらうのも

帰す理由である。


それにしても、やはり精神力の強い人間を集めているようだ。

俺の予想が正しければ、戦争や紛争などで生き残った

奴等の中から、特に精神力が強い奴に

ダイスさんは、力を与えているのではないだろうか?


だとすれば、そろそろかもしれない。


 「どうしよう?」


俺は、敵がやりそうな作戦を考える。

将棋のゲームは好きだったのだ。

あの手できたら,この手で対応・・・みたいな。

今こそ、俺のゲーム能を開花させるときなのである。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ