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第11話 新たな侵略者とスパイ

子供達が午後から青空学校に来る。

強制ではないのだが、ほとんどの子供達が

やってきている感じだ。


大人たちは、その子供達から勉強を教わったり、

授業に参加したりもしている。 

 

巫女様達4人も参加したが、

すぐに退学になった。

授業中うるさくて、長老やシュナ先生が何度注意しても

駄目だったので退学にしたのだ。


 「どうせ、学校で教わったことなんて、

  社会では役に立たないわよ」


などと、捨てゼリフを吐いていきやがった。

学校とは知識を詰め込むだけではないのだが。


教師のジュナ先生は教え方が上手だ。

そして、まともだ。

4人の巫女様達をはじめ、まともな奴が

俺の周りにはいなかったのだ。

奇麗でまともな人格。

ジュナ先生と話している時間が俺のくつろぎの時間だ。


 「ジュナ先生。お疲れ様。

  どうですか?子供達は。」


俺は、授業が終わったジュナ先生に話しかけた。


ジュナ先生は、Tシャツにスカートの姿だが

いやらしさを感じさせない。

凛とした奇麗な感じなのである。


 「あら、ユウスケさん。

  とっても、みんな熱心で教えがいがありますよ。

  やる気があるので、覚えも早いですよ。」


ジュナ先生が、笑顔で俺に言ってくれた。


 「いやいや。ジュナ先生の教え方が上手なんですよ。

  ただ、覚えさせるだけでなく、

  考えさせる、興味をもたせる。

  僕も聞いていて、ジュナ先生の授業は楽しいですよ。」


俺は、ジュナ先生を褒めた。


 「あらあら、そんな褒めたって何も出ませんよ。

  でも、ありがとうございます。

  お先に失礼しますね」


ジュナ先生が笑顔で帰っていった。

これだよ。これ。

普通の会話。

なんか落ち着く。


ハニー達は今日も狩りに出かけている。

エレナは農業だ。

そして、俺は土木工事部隊にこれから合流する。


あるていど、インフラ整備が出来たようだが

あとひとつ大事業があるのだ。

大きい冷蔵庫を作るのだ。


集落には大きな岩山がある。

そして、その岩は石灰石のような熱伝導の悪そうな感じ。

なので、その山の地下を掘っているのだ。

入口は小さいが、20メートル先くらいから広くなっている。

壁や床、天井などに山の岩を張り巡らせながら工事をしているのだ。

そして、地下水のあたりまで掘り下げているのである。

 

俺の能力を使えばあっという間だが。

男達の仕事を奪ってはいけない。

ここが終わったら、次は何をしてもらおうか考えなくては

いけないのだ。


 「ユウスケ、順調だよ。」


工事部隊のリーダーであるパイソンである。


 「お疲れ様。パイソンさん。

  予想どおり、良い感じに寒いですね。」


俺はパイソンさんに言った。


 「そうだな。あとは、この空間を拡張するだけなんだが

  なかなか天井を削るのが難しくて苦労しているよ。」


パイソンさんが寒いのに汗をかきながら説明してくれる。


 「そうですよね。天井の掘削は危険・・・・・・」


その時、いきなり天井が崩れ始めた。

俺は急いで、天井から落ちてくる土砂を

能力を発動して止めて、人がいないところに落とした。


工事作業員たちは驚いて、しゃがまり固まっているが

仕方ない。

人命が一番大切だ。

俺の能力がバレたか?


 「これも巫女様達の御加護だ」


作業員の誰かが言った。


 「ありがたや。ありがたや」


他の作業員も、同意したのか、ありがたがっている。

ここでは、プラスのことは何でも巫女様達のおかげなのである。

別に俺は祀られたくないので良いのだが。

しかし、今のアクシデントでうまく空間が広がった。


 「今のうちに、壁や天井に岩を張り詰めて強化しましょう」


俺は、ありがたがっているパイソンさんに話した。


今日の作業員は、人数は多いのである。

職人さん達も手伝ってくれているので、

100人くらい。

なので、あっという間に鍾乳洞が出来上がった。

鍾乳洞ではなく大型の冷蔵庫なのだが。

これで、魚や肉の保存も容易になる。


俺や巫女様達4人は、集落の住人達のほとんどと

仲良くやっている。

毎晩、酒で宴会をしているのだが

あの醜態をみても住民達は祀りたてている。

 

しかし、巫女様達4人を面白く思っていない者たちもいる。

おそらく、ほとんどはダイス教徒の人たちだ。

一応、仕事はしているのだが、他の人たちと違い

嫌々そうな感じなのである。


ダイス教徒の皆様は、

エレナと一緒に農業に従事している。

そして、いつもエレナは泥だらけで帰ってくるのである。

 

理由を聞くと

どこからともなく、泥が飛んでくるということだ。

しかも四方八方から。

本人は、土をいじるって楽しいとか言って

気にしていないようなので別に良いのだが。


ここの集落は共存している。

誰が裕福で、誰が貧乏とかはない。

働けるものは働き、みんな平等に分け与えられる。

裕福な時はみな裕福で、苦しい時はみな苦しいのだ。


トイレは共同。

温泉も共同。

食事も一緒。

500人近い家族が生活している感じなのだ。

共同生活は無駄が少ないのがメリットだ。

いわゆるコストパフォーマンスが良いのだ。


まあ、いずれ文明が進めばこのような生活も

各自、欲が生まれ崩れていくかもしれないが、

今は、これで良いのではないだろうか?

街の文明や、お金の流通に巻き込まれなければ

このまま行くかもしれないが。

俺の心配することではない。


この星に来て半年くらいたった

何か気にかかることは、なんとなく片付いた

気がする。

ということで、俺はそろそろ、俺の星に帰ることを

考えなければならない。


まあ、あいつらと別れるのは少し寂しいが

俺のテレポーテーションならいつでも会える。

俺はこの星の人間ではないのだ。

まあ、1年に1度くらい来ても良いかな?

俺がそんなことを考えていると。


 「ねえ。ユウスケ

  自分の星に帰ろうとか考えているでしょ」


エレナが俺の顔を覗いて話しかけてくる。

本当にこいつは俺の考えていることがわかるのか?


 「すごいなお前。何でわかるんだよ。

  ゼルダさん達アクアットの侵略は無くなったし。

  お前たちも、住民達の生活がわかってくれたようだし。

  そろそろかなって」


俺は、エレナの顔を見ないで言った。


 「そうよね、ユウスケはこの星の人間じゃないし。

  仕方ないようね」


エレナが珍しく寂しそうにつぶやいた。

そう。そうなのだ。

仕方ないのだ

 

いや、仕方なくもないのだが。

何か、頭の中で、この星から出ていけと言われている

気がするのだ。


 「まあ、まだ少し、やりたいこともあるから

  もうちょっとだけいるけどね。」


俺は寂しそうな顔のエレナに言った。

しかし、エレナは浮かない顔をしている。

そんな顔するなよ。

俺だって・・・・・


そんなことを考えていると


俺とエレナの周りがいきなり暗くなった。

いや、集落全体が暗くなったのである。

原因はすぐにわかった。

宇宙船3隻が上空を飛んでいるのである。

しかも上空100mくらいのところを低空飛行で。

 

 「あの宇宙船はアクアットの敵国カムーンだな。」


俺は呟いた。

また、やっかいなことが始まりそうだ。

不安な思いとともに・・・・・・・

この星にいられる理由が見つかったようで・・・・・

安心したような複雑な気持ちになる。


 「ユウスケ。

  敵だよ。敵が出現だよ。

  ナイスタイミングだよ。」


何故かエレナが嬉しそうである。


ゼルダさんの予想が当たったのか?

それとも、何事もなく終わるのか?

宇宙船の向かった先は、前までゼルダさん達の

基地だ。

そう、今は、俺の所有物の基地。


 「ねえ。ねえ。ユウスケの基地やられちゃうよ」


エレナがはしゃいでいる。

こいつには不安という気持ちが無いのか?

ゼルダさん達は良い人たちだったから良かったが。

カムーンの人たちはわからない。


 「まあ、とりあえず、話し合いから始めましょうか。」


俺はそう言って、俺の基地にテレポーテーションしたのであった。

当然、エレナはおいてけぼりにしてやった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


俺は、基地の応接室にテレポーテーションした。

応接室は真っ暗。

窓から明かりが差し込む程度の明るさだ。

俺は、応接室のカーテンを開けて窓から外の様子を見る。


カムーンの宇宙船3隻が、基地の中の広場に静かに着陸した。

勝手に着陸してもらっては困るのだが。


現在、この基地はアクアットから観光に来る方々の

空港になっているだけの施設だ。

だからと言って、お金などは徴収していないので

勝手に利用してもらっているのだが。


各宇宙船から、赤い色のアンドロイドが20体づつ降りてきている

合計60体だ。

そして、その後に白い軍服を着た女性が9人降りてきている。

軍服はスカートではなく、ズボンであり

少し残念な気分だ。


何故か、女性だと安心できる。

野蛮な人たちではないであろう。

しかし、巫女様達のような女性もいるのだ。

慎重には慎重で行くしかない。

俺は、いざとなったらテレポーテーションで逃げる気持ちで

降りてきたカムーンの人たちを歩いて出迎えに行った。

 

話をしたいが言葉は通じるのであろうか?

不安な気持ちで基地の玄関から出ると、

いきなり赤色アンドロイド60体が俺に向かって

手かざしを始めた。


あら、ヤバイ。

相手は攻撃態勢だ。

おそらく、アクアットのアンドロイドと同じような能力。

テレビで見たことがあるからわかる。


前までの俺なら攻撃していたが

俺は同じ失敗をしない男。

失敗を繰り返して男は大人になるのである。

そう、俺も大人になったのである。


 「テレポーテーション」


俺は、赤色アンドロイド軍団の後方から歩いて来る女性たち

の目の前に移動した。

後ろを振り返ると、

アンドロイドは攻撃態勢をやめて手をおろしている。


 「私は、この基地の主、ユウスケと申します。

  本日は、どのようなご用件でしょうか?」


俺は、先頭にいる女性に聞いてみた。

金髪ロングで、切れ目だが奇麗な人だ。


その女性や後ろを歩く女性達は固まっている。

しかし、何かに気が付いたのか

すぐにその女性は笑みを浮かべて。


 「要件なんて、貴様に教える筋合いはない」


俺の言語は通じるようである。

良かった。


 「そうですか。もしかしてこの星を侵略しに来たとか

  ではないですよね?」


俺も笑顔で聞いてみた。


 「だとしたら、どうする。

  たかが、貴様ごときテレポートが出来るだけの

  人間型アンドロイドに何が出来るというのだ。

  そこをどけ。

  ここを我々の基地にするのだ。」


その女性は怖い顔で俺を睨みつけながら言った。

どうやら、俺をアンドロイドと勘違いしているようだ。


しかし、怒った顔はもったいない。

奇麗な顔が台無しだ。

女性には笑顔が似合う。


そして、俺の基地を勝手に、自分達の基地にすると

言われても困る。

ゼルダさん達に俺が怒られてしまう。

しかも、話し合いもしたくないとは。


 「話し合いで何とか出来ませんかね。

  ぼくも、この基地を奪われると怒られてしまうので」


俺は、困った顔でお願いしてみた。


 「話し合い?

  話し合いとは、同等の立場がやるものだ

  お前らごとき、我らに傷ひとつ付けられぬ格下が

  求めるものではない。

  そこをどけ」


女性が銃を俺に向けながら言ってきた。

なんて乱暴な女性なんだ。


 ドカーン

 ド、ド、ド、ドカーン

 ドカーン


俺は、今回は、話し合いをしようとした。

断ったのは、カムーンの方々である。

しかも、言いぐさがひどいのである。

だから、とりあえず、

カムーンの女性達の前に並ぶ、赤色アンドロイド60体を全滅に

してやった。


 「勝手に爆発してしまったようですね。

  格下だからって、ひどいことすると

  あとあと、自分に返ってきますよ。

  互いにメリットになる関係を話し合いましょう。

  もしよろしければ、応接室でゆっくりと

  話し合いをしたいのですが」


俺は、こんなにイジメられても話し合いをお願いする。


カムーンの女性達は固まっている。

しばらくすると今度は

後方の女性達が先頭の女性に話をし始めた

先頭の女性については、顔があっけにとられ、

固まっている。


 「ゴニョゴニョ、ホニャララ・・・・・・・・・

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


カムーン語で話しているのであろうか?

俺にはわからない話を女性達はしている。

話し合いに応じましょうとか言っているのであろうか?


カムーンの女性達はそのまま、俺をシカトして

後ろ向け後ろで

宇宙船に戻り、静かに上昇して音速のような速度で

帰っていった。


何しに来たのだろう?

挨拶もしないで、帰っていくなんて失礼な人たちだ。

しかもアンドロイドのゴミを散らかしていって。

爆発したアンドロイドのゴミを隅っこに山にしてから、

俺はテレポーテーションして集落に戻ったのであった。


 「どうだった?

  ユウスケ

  話し合いは出来ちゃったの?」


焦ったような顔でエレナが俺に聞いてくる。

他の巫女様達も一緒だ。

エレナから話を聞いたのであろう。


 「いや、話し合いは出来なかった。

  何か、俺の基地を自分達の基地にするとか

  勝手なこと言って来たから。

  アンドロイドを全滅にしてやった。

  そしたら、素直に帰ってくれたよ。」


俺は、基地での経緯をエレナ達に話した。

4人の巫女様達は顔を見合わせ、

笑みを浮かべる。


 「あらっ。やっちゃったわね。ユウスケ。

  フフフフフ」


エレナが嬉しそうに言う。


 「そうですね。ユウスケのせいで

  この星が危機になるかもしれませんね。」


ハニーも笑みを浮かべて俺を責める。


 「まあ、ユウスケ安心して

  私たちがいれば大丈夫だすから。」


アンは余裕そうだ。


 「フフフ。仕方ないよね。

  私たちがユウスケの尻拭いのお手伝いをしてあげるよ」


ジュリアンが、偉そうに言う。


うん?

あれっ?

俺のせいで、この星の危機?

もしかして、

また、やっちゃった感じかしら。


俺は、ただ話し合いに行ったはず。

頭に来たから赤色アンドロイドを全滅させただけだ。

それなのに。

もしかして、俺って、また宣戦布告しちゃった?


「どうしよう?」


俺は、またこのセリフを吐くようになってしまった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 「ラクーンからアクアット軍が撤退したようです。

  アクアットからは、互いに不可侵地域として求めてきていますが

  どういたしますか?」


 「戦術AIでは、ラクーンの侵略を計画を推奨している。

  この戦争に勝つにはラクーンが必要なのであろう。

  つまり、我々がラクーンを侵略するとアクアットが

  不利になるということだ。

  だから、アクアットは不可侵を求めてきているのであろう。

  ならば、アクアットの求めなど応じる必要はない。」


金髪ロングで切れ目なカーサ―将軍は、部下に説明をする。


 「では、戦術AIの計画どおり準備をしていきます。」


部下のエヴリーは、カーサ―将軍の説明を聞き、

準備にとりかかった。


 「監視衛星でラクーンの情報を取得しています。

  アクアットの工場は全て跡形もなく破壊されています。」


エヴリーの報告だ。


 「当然だ。

  我々に自分達の技術を知られたくなかったのだろう。」


カーサ―将軍は頭の中でつぶやいた。


 「資源採掘場は、いくつかそのままです。

  それと基地も残していったようです。」


 「基地を残してある?

  何故だ?

  戦術AIは、どのような予測を立てている?」


カーサ―将軍はエヴリーに尋ねる。


 「基地にはエネルギー反応が無いようです。

  また、軍隊も全て引き上げていると予想しています。

  おそらく、アクアットの宇宙船往来の空港として

  残していると予想しています。」


エヴリーがカーサ―将軍に戦術AIの予想を報告する。


 「敵が空港として利用できるということは

  我々も利用できるということ。

  余計な手間が省けたな。

  それで、何故、アクアットが撤退したのか

  戦術AIの予想は出たのか?」


カーサ―将軍は、一番気になることをエヴリーに尋ねる。


 「それが、全て50%以下の的中率の予想しか出来ていないようです。

  一番高い48%の予想は、攻撃ではなく防衛に集中するためという

  ものです。」


エヴリーはカーサ―将軍に報告する。


 「うむ。

  私としては80%以上の可能性だと思うのだが。

  それ以外には考えつかない。

  何故ならアクアットが撤退した時期は、

  我々が優位に立っていた時期なのである。

  もし、この予想が当たりなら、我々がラクーンを

  侵略しても、アクアットは攻撃してこない結論になる」


カーサ―将軍は自分に都合の良いように解釈してしまっている。


本当は、ユウスケがアクアットの軍団や宇宙船を

全滅にしたからカムーン軍は優位に立ったのだ。

しかし、カムーンはユウスケたちの存在を知らない、

戦術AIにおいても、それらがインプットされていないため

間違った判断ガサれてしまうのである。


AIというのは優秀であるが、ひとつ情報が不足するだけで

大きな過ちを犯してしまう。

アクアットのAIはユウスケたちの情報をインプットして

判断している。

情報量で優位性がわかれてしまうのだ。

現在、戦況はカムーンが優勢であるが、今後の展開は

わからないのである。


 「よし。

  戦術Aiが計画する作戦準備が整いしだい、

  その作戦を実行する」


カーサ―将軍はエヴリーに命令して部屋を出て行くのであった。


 数か月後


 「準備が整いました。

  侵略には16時間かかると予想されています。

  また、アクアットからの攻撃可能性は1%未満なのに

  何故か、赤色アンドロイドを60体も同伴させます。」


エヴリーがカーサ―将軍に報告する。


 「赤色アンドロイド1体でも十分だろうに

  60体も?

  AIには何か不安要素もあるのだろう。

  まあ良い。

  今回は戦争ではない。

  単なる侵略だ。

  緊張する必要はない。

  よしっ。では行くぞ。

  私が先頭に立って、ラクーンの地に降りる」


カーサ―将軍は、勇ましく、目の前にいる部下8人に

出撃命令をした。


 数時間後


 「ラクーンに到着いたしました。」


エヴリーがカーサ―将軍に報告する。


 「よしっ。

  赤色アンドロイドを先に降ろせ。

  基地から誰が来ても容赦なく殺して構わない。

  我々は、赤色アンドロイドの後から基地内に入る。」


カーサ―将軍はそう言ってラクーンの地を先頭に立って

勇敢に降り立った。


そこに、テレポーテーションで人間らしき変な奴が

目の前に現れた。

まあ、驚きはしたが恐らくは攻撃型のアンドロイド

ではない。

きっと、人間そっくりのアンドロイドだ

 

その、変なアンドロイドと会話をしていると・・・・・


いきなり

目の前で赤色アンドロイド60体が一瞬で破壊された。

何が起きたんだ。

こいつの言っているとおり勝手に爆破したのか?

いやいや、そんなわけないだろう。

 

こいつが何かしたのか?

いやいや、こいつは何もしていない。

何が起きたんだ?

カーサ―将軍は頭が混乱して固まってしまっている。


後ろから部下のエヴリーが話しかけてくる。


 「カーサ―将軍。

  しっかりしてください。

  これは、アクアットの罠かもしれません。

  赤色アンドロイド60体は大きな損失ですが

  一度、ここは引いて、戦術AIで作戦を練り直しましょう」


エヴリーの話を聞いて、カーサ―将軍も冷静になる。


 「確かに。

  ここにいては危険かもしれない。

  すぐに、帰還する」


カーサ―将軍は部下たちに命令し逃げるように

自分たちの星に帰ることになった。


 「再計算・失敗・再計算・失敗・再計算・・・・・チクショウ」


宇宙船の中では戦術Aiが計算を繰り返しているが

結果がいつまでたっても出ないのであった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 「どうしよう?」


俺は、口癖のように呟く。


狩りは巫女様達がいなくても出来るようになった。

山の野獣たちも人間は怖いと巫女様達のおかげで刷り込まれたようである。

なので、襲われる心配が少なくなった。

あと、狩りの男どもが罠という高度な技術を獲得したのも大きい。

ということで、巫女様達は暇になってしまったのである。


農業もエレナがいると邪魔であった。

なので、やることのない

4人の巫女様達は山の上の基地の近くで修行中である。


修行と言っても

遊んでいるだけだと思うのだが。

基地を守ると意気込んでいる。

しかも、俺に警備代としてお金を請求してくる始末だ。


ゼルダさんが言うには

俺達なら、カムーンに勝てるとの事だった。

しかし、それは地上での戦いの場合だ。

宇宙から攻撃されれば、どうしようもない。


宇宙か。

さすがに、宇宙は。

いや。

諦めたら終わりだ。


 「俺は、まだ本気を出していない」


俺は魔法の言葉を唱えた。


実際は本気出しっぱなしなのだが。

いや、本気以上に頑張って何とかしている。

しかし、魔法の言葉で限界を突破したいのだ。


宇宙空間に人間が存在することは可能であろうか?

俺は冷静に考える。


まず、放射線による被ばくの可能性。

そして、大気圧による血液の沸騰

さらに、超低温にさらされる。

一番の問題は空気が無いため窒息することだ。


うん。

本気を出すとかの問題ではない。

根性ではどうしようもないこともある。

しかし、俺は諦めたわけではない。


4人の巫女様達は食事の時だけは帰ってくる。

警備だったら交代交代とかあるだろうとか思うのだが。

彼女たちには関係ない。


 「今日のご飯は何でしょうかね?」


エレナが食事の準備をしている料理部隊リーダーのハムダさんに

聞いている。


 「今日は、ジャンボ猪のみそ焼きです。

  ユウスケさんに教わったんですよ。

  味見したけど美味しかったですよ。」


料理部隊リーダーのハムダさんは笑顔で答える。


 「今日はお肉なのね。昨日は刺身だったもんね。

  なかなか、考えてるじゃん」


エレナは偉そうにハムダさんを褒めている。

もう、この集落ではエレナ達は巫女様モードではない。

しかし、それでも祀られているのである。


祀っていないのは、ダイス教徒の方々だけだったが、

ダイス教徒は集落から街に出て行くものが多い。

ほとんど、いなくなってしまった。

街では安い労働力が欲しいらしく受け入れられている。


何となく、街では、個人を尊重する社会

集落では、個人よりも共同生活を重視する社会

に分かれている感じがする。


逆に、街から集落に住みたいという希望者も

多い・・・・・

しかし、

不公平に思われるかもしれないが、

集落への移住については制限をしている。


理由は集落の人口が急激に増えることの懸念だ。

なので、集落へ移住を希望する人については制限をしている。

集落の血縁者、集落にとって有益な人物などなどの制限だ。

やむを得ない理由など、人権的配慮もしている。

移住の決定権は長老たちだ。


因みに、教師のジュナ先生は、移住を認められて、

この集落に住んでいる。

街のホストに狂って、お金を貢いでいたらしい。


お姫様扱いされるのが現実逃避できて楽しかったとか。

自分の王子様をNO1にするために借金地獄になったのだ。

しかし、この集落で働くうちに夢から覚めたようだ。

集落で彼氏が出来るので、ホストがどうでも良くなったらしい。

今では、とっかえひっかえで彼氏を作りまくっている。

 

そりゃあ集落では、お金を払わなくても、色々と優しくしてくれるのだ。

夢も覚めるだろう。

 

街では不況になっているらしい。

アクアットからの観光客が来なくなってしまったのである。

物が売れなくなって、お金も回らなくなってくる。


最も犠牲になるのは貧困層だ。

借金が増え続け、奴隷のように働きつづけるしかない。

個人の自由を尊重しているのに、自由がない生活を虐げられる。

 

なので、今では街の領主であるカルヴァンさんが

大商人のネイルさんから

お金を借りて、公共事業のようなものを行って、お金を回している。

おかげで、カルヴァンさんは、ネイルさんの

言いなりになってしまっているようではあるが。


当然、俺のホテルも不況だ。

アクアットからの客が来なくても

ジョニーさん達の給料を支払わなくてはならないので

何とかしなければならないのだ。

なんだかんだで、俺の手元のお金がどんどん減っていくだろう。


 「ゼルダさんには報告したの?」


エレナが俺に聞いてきた。

そう、この間、カムーンの宇宙船が来たことだ。

俺は、既に基地からゼルダさんと連絡を取っている。


 「ハハハハハ

  そうですか。

  それで、赤色アンドロイドを60体も

  ヒー、ハハハハ、苦しい・・」


俺の報告を受けて、ゼルダさんは笑い転げている。


 「当然、こちらでもカムーンの宇宙船がラクーンに

  来たことも、アンドロイドが全滅したことも

  監視カメラで把握しています。

  こちらの防御AIも何故か、指示もしていないのに

  勝手に予想して喜んでいるくらいですから」


ゼルダさんが教えてくれた。


 「しかし、気を付けて下さい。

  こちらの防衛AIでは、きっと

  内定、つまりスパイを潜入させるのでは

  ないかと予想しています。」


ゼルダさんが笑いつかれたのか、真面目な顔で俺に教えてくれた。


 「スパイですか?

  どうやって、スパイなんか送り込んでくるのですか?」


俺はゼルダさんに聞いてみた。


 「スパイは送り込むより

  現地の人をスパイにした方が良いのですよ。

  特に重要人物から信用のある人を。

  ユウスケさんも気を付けて下さい。

  一番騙されやすいタイプです。

  騙されて何度も死ぬくらいですから。

  プププ、アハハハハ」


ゼルダさんは、何かを思い出したのか、また笑い出した。

そんなやりとりをゼルダさんとしたのだ。


 「うん。ゼルダさんには報告したよ。

  なんか、スパイに気をつけろって教えてくれた」


俺はゼルダさんに教わったことをエレナはじめ巫女様達4人に伝えた。


 「フフフ。スパイですか。

  格好良いですね」


エレナは、わかっているのであろうか?


 「私の千里眼は誤魔化せないので大丈夫です」


ハニーはいつから、そんな能力に目覚めたんだ?


 「でも、スパイは何を調べるんだすかね」


アンが当然な疑問を投げかけた。


 「うーん。

  やはり、私たちの美貌の秘密とか

  私たちの好みとか

  私たちの・・・・・・・・・・・・」


ジュリアンさん、絶対に違います。


しかし、確かに何を調べるんだろう?

ゼルダさんは重要人物から信用のある人を

スパイにするとか言っていたけど。

重要人物って誰だろう?


4人の巫女様達と食事をしながらそんな会話をしている。

今日はジャンボ猪肉の味噌焼き定食だ。

とても美味しくて、ご飯がすすむ。

みそ汁もお新香もあるのだ。

随分と食事事情が変わったものだ。


ホテルの料理長カーネルさんも、たまに

ここの集落の女性たちに料理を教えてくれている。

報酬を払おうとしても受け取ってくれない。

集落の人たちの笑顔が報酬だとか格好良いことを

言っているのだ。


昨日は、刺身だった。

鍾乳洞で冷やしてあるので、生魚を食べられるのだ。

そして、職人たちが作った包丁の切れ味が決め手だ。

刺身は、やはり包丁が良くなくては美味しくない。

 

みんな、初めは怖がっていたが

醤油で食べ始めたら、大人気となった。


この土地は素晴らしいと思う。

山の幸、川の幸、海の幸、全てに恵まれている。


そんなことを思いながら食事をしていると

今日も街から集落に住みたいという女性の希望者が

長老の元に来たようである。


長老たちは、俺たちの近くで食事をしているのだが

肉をガツガツ食べている。

長生きするであろう。


 「今、食事中なので後で」


その女性は、長老たちに待たされている。


しばらくして、長老たちの食事が終わると

その女生と長老たちは笑顔で話し始めた。

どうやら、集落で住むことは大丈夫なのであろう。

良かった。


何が良かったって。

その女性は、茶髪のロングストレートで、黒い目が大きく可愛い感じだ。

笑顔がとても似合って、清純そうな娘である。

うんうん。

また、この集落にまともな美女が増えた。

俺は、そう思ったのである。


 「私の千里眼では、あの娘はスパイですね」


節穴の目をもつハニーが俺たちに言う。


 「そうですね。長老たちの気を引こうとしています。」


アンも根拠に無いことを。

長老たちが、カヌーン星にとって重要人物とは思えない。

ブブーです。


 「あの恰好。絶対にスパイだね。」


ジュリアンも疑っている。

恰好でスパイを見破れたら苦労はしない。


こいつら、さっきまでスパイの話をしていた

流れで勝手に人をスパイにしているだけだろう。

確かに、その女性の格好はYシャツにミニスカート

胸元が見えそうだが清純そうな雰囲気な若い娘だ

スパイとは関係ない。


 「私、あの娘にスパイか聞いてくるね」


エレナが立ち上がったので、急いで俺はエレナの

二の腕を握って止めた。


 「勝手に、人をスパイ扱いしてはいけません」


俺は巫女様達を見渡しながら注意した。

こんな純情そうな娘がスパイであるわけがない。

何故か、脳裏にゼルダさんの笑う顔が見えたのだが

俺は気にしない。


あとから長老たちに聞いたのだが

さっきの娘は、このエデン集落に住むことになったらしい。

何でも昔、ここの住人だったとか。

集落に来た理由は父親から色々なことをされて、

離れたいということであった。


巫女様達も崇拝しているらしく

極めつけは、可愛らしかったから、すぐにOKしたらしい。

農業や料理をみんなに教わりながら頑張ると言っていたらしい。


うんうん。頑張ってね。

巫女様達は崇拝しなくて良いから。


そして、俺は午後から街に出た。

俺の所有するホテルに用事があったのだ。

そう、ほとんど休館状態のホテルに。

ここのホテルはアクアットからの観光客の収益で

賄っている。

 

収益と言ってもお金だけではなく、金銀銅のような希少金属の場合もある。

その希少金属を街で高価に買い取ってくれている。

まあ、それが桁違いな金額なので俺の収入が大きかったのだが。

とりあえず、俺の収入はいらない。

しかし、せめてここで働く従業員の給料だけでも

何とかしないと。


俺はホテルについて出迎えてくれたジョニーさんと話す。

ジョニーさんは俺と腕を組んでいるので話しづらいのだが。


 「もしかすると、長期間、アクアットからのお客が

  来ないかもしれません。

  なので、他のターゲットを探したいのですが、

  ここに観光に来たがるような人たちはいますかね?」


俺はジョニーさんに聞いてみた。


 「そうですね。この星で一番発展して裕福なのが

  この街ですから。

  他の集落は、みんなお金なんてもっていませんよ。」


ジョニーさんは、何故か笑顔で教えてくれる。


 「そうですよね。かといってこの街の人たちだって

  地元の人がわざわざ、ホテルには泊まりませんよね」


俺は、ジョニーさんに聞いた。


 「そりゃそうですよ。

  まあ、この街の富裕層は料理目当てで泊りに来る人は

  若干いますが」


ジョニーさんが答える。

俺が待合スペースのソファーに座ると

何故かジョニーさんは俺の膝の上に乗る。

話しずらいのだが・・・・


 「料理か・・・・・・

  ホテルを宿泊以外で何か活用・・・・

  俺の星ならレストラン、結婚式や宴会会場か

  富裕層をターゲットにして良いかもしれないですね。」


俺はジョニーさんに相談してみた。


 「なるほど、

  さすが、ユウスケ君

  当面はそれで何とか出来るかと思いますよ」


ジョニーさんは俺を褒めながらお尻をグリグリ

俺の股間に押し付ける。


というか。

本題は違うのである。

まあ、従業員の給料が心配なのは

1番だったのではあるが。


 「あのう。ジョニーさん

  ここのホテルの経営権をジョニーさんか

  お父さんのネイルさんに無償で譲りたいと思うのですが

  どう、思います。」


俺はジョニーさんに聞いてみた。

ジョン―さんのお尻グリグリ運動が止まった。


 「そんな、ここのホテルって、どれだけの価値か

  知っているんですか?

  もったいないですよ。

  せめて売却するとか。

  まあ、一生働いても買える人はいないでしょうが。」


ジョニーさんが驚いている。


俺の手元には、まだ4憶くらいある。

なので、お金の心配はない。

というか、使い道がほとんど今はない。

それに、俺はホテルを経営したいわけでも

お金が欲しい訳でもないのだ。

もっと、やりたいことは沢山ある。


 「お金の問題ではないのですよ。

  ホテル経営をやりたい人、そして、

  従業員やお客様を大切にすることを幸せに感じられる人に

  任せたいのです。」


俺は、ジョニーさんに言った。


 「でしたら、私に任せて下さい。

  父上では駄目です。

  父上は従業員を消耗品としてしか見ていません。

  ホテルをお金のなる木としか思っていないのです。

  私は、絶対にそんな経営はしません。」


ジョニーさんは、俺の膝の上から立ち上がり

俺の目を見て真剣な顔で言った。

俺は知っている

そして、ジョニーさんから、その言葉を待っていた。


 「では、今日から、あなたがここの経営者です。

  何かお手伝いできることがあったら

  言ってください」


俺も立ち上がり、ジョニーさんに握手を求めたが

何故か、抱きつかれた。


これで、ひとつ心の荷がおりた。


ジョニーさんと契約書を交わし

色々と打ち合わせをした後に

俺は、また、集落に戻る。

夕食時なのだ。


 「今日のご飯は何でしょうかね?」


エレナが料理部隊リーダのハムダさんに聞いている。

こいつは毎回聞かないと気が済まないのであろうか?


 「今日は、デビルオオカミのステーキです。

  味見してみましたけど、滅茶苦茶美味しいです。

  初めて食べましたよ。デビルオオカミ。」


ハムダさんが興奮してエレナに教える。

毎回、味見をしているからかハニーさんは、

とても、ふくよかな体になってきている。


しかし、デビルオオカミか。

すごいな狩り担当の男達は。

あの狂暴なデビルオオカミを狩れるまで上達したのか。

あれを狩れれば、山の中では怖いものなしだろう。

 

まあ、命がけだろうけど。

こちらも命を頂くのだから、仕方がないかもしれない。

今は・・・・・・・・・

食用の動物を飼育する方が良いのだろうか?

そうすると、餌を用意しなければならない。

穀物は余っているが大丈夫か?


しかし、食べられるだけの為に生まれて、

育てられて、人間に食べられる。

仕方ないかもしれないが、心が痛むような。

だけど、山の野生の動物たちにとっては、その方が・・・

 

何故、この世の中は、

人間をまるで中心にしているかのような世界なのだ?

エレナの言っていたとおり、

何かの精神が人間に都合の良い世界をつくったとか?

 

鶏のように卵を産む鳥類は飼育しているし、

お肉にもなってもらっている。

考えれば考えるほど俺にはわからない。

うん。長老たちと相談しよう。


 「やばっ。本当に美味しい

  肉肉しくて、ジューシーじゃん。

  ソースも美味しい。

  やっぱり、動物の肉は旨いよね。」


そんな、俺の悩みも知らずに、

エレナは上機嫌である。

こいつは、美味しいものを与えてれば機嫌が良い。


 「本当。美味しい。

  何で、洞窟生活で食べなかったんだろう。」


 「見た目が悪かっただすからね」


 「そもそも、あれを狩ろうなんて思わなかったでしょ。」


他の巫女様達も上機嫌で食事をしている。


 「それで、今日、俺、ホテルの経営権を

  ジョニーさんにあげてきたんだけど。」


俺は上機嫌の巫女様達に今日の報告をした。


 シーン


 「今、何て言いました?」

 「ホテルの経営権をジョニーにあげた?」

 「お金はどうなるんですか?」

 「私たちの贅沢はどうなるんですか?」


上機嫌だった巫女様達を

俺は、一瞬でお怒りモードにさせてしまった。


 「いや、だって、まだ、お金はいっぱいあるし、

  ホテルの経営は、一番ホテルのことを思っている

  人に任せた方が良いじゃん」


俺は、巫女様達には理解してもらえないとわかっていても、

とりあえず言い訳をしてみた。


 「なるほど、ほってしまったんですね。

  ジョニーさんを」


 「あーなるほど。

  一線を越えてしまったんですね」


 「いくら、女性に相手にされないからって」


 「情けないです。ユウスケ」


言いたい放題である。

そんなわけあるか


 「違います。

  よく考えてみろよ。

  俺は、この星の人間じゃないんだよ。

  自分の星に帰った後は、

  ホテルの経営どうするんだよ。」


俺は、怒りに任せ巫女様達に言ってやった。

言った後に失敗したと思ったのだが、


 「そんなの決まっているじゃない。

  私達にくれれば良いだけよ」


 「そうよ、従業員を奴隷のように使ってあげるわ。」


 「そうそう、私たちは贅沢三昧でホテルに暮らすのよ」


 「まあ、ジョニーさんはクビだけど」


どうせ、そんなことを言われることはわかっていた。

だから言いたくなかったのだ。


 「そんなんだから、絶対にお前たちにはあげないと

  俺は思っていたんだよ。

  まったく。

  庶民の幸せを願う巫女様達が庶民を苦しめ贅沢をして

  どうするんだよ。」


これから俺の説教タイムだ。

4対1でも、こいつらにディペートで負ける気がしない。


 「庶民の幸福を願っているわよ。

  願っているんだから、良いじゃない」


ハニーがわけのわからないことを言う。


 「願っているなら、実行しなくちゃ駄目だろう。

  どうやったら庶民が幸せになるのか方法を考えて

  実行しなくちゃ」


はい。ハニーを論破しました。


 「庶民は少しくらい苦しんだ方が良いのよ。

  苦しみがあるから、すこしの幸せが、すごく

  幸せに感じるのよ」


アンがもっともらしいことを言ってきた。


 「確かにそうかもしれない。

  けど、その苦しみを巫女様が与えてどうするんだよ。

  苦しみも幸せも他人から与えれれるものではないだろう」


はい、アンを論破。


 「私達だって贅沢したって良いじゃない。

  贅沢が悪だなんて誰が決めたのよ」


ジュリアンももっともらしいことを言う。


 「贅沢が悪だとは言っていない。

  しかし、巫女様達の贅沢によってホテルの経営が

  危うくなって、苦しむ人が増えるのは違うだろう」


はいはい。ジュリアンも論破


 「ふーん。ユウスケ、随分偉くなったんじゃない。

  最近、ちょっとうまくいっているからって

  自分の意見が絶対に正しいみたいに、

  自分の意見を人に押し付けるなんて・・・・・」


エレナが参入してきた。

グサッ

やばい、何か心が痛んだ。

確かに。

悔しいがエレナの言うとおりだ。

いつから、俺は自分の正義を人に押し付ける

ようになってしまったんだろう。


 「す、すみません。

  調子にのっていました。

  今後気を付けます」


俺は、巫女様達に頭を下げた。

エレナに逆転KOされてしまった。


その後、巫女様達の正義を無理やり押し付けられて、

反省させられ謝り続けた。

仕方がないのだ。

俺が反省し謝りつづけなければ、この説教タイムは

終わらないのだ。


その後、食事をしながら俺達は酒を飲んでいた。

酒は街に買い出しに行かなくても

集落で米や果物から作れるようになった。

ホテルでも買い取ってくれるほど美味しくできたのである。

おかげで、俺の出費もすごく減ったのである。

ホテルをあげる決意をした一因でもある。


 「すみません。私、エレナと申します。

  これから、この街でお世話になりますので

  宜しくお願い致します」


お酒をもって、その娘は俺たちの席に挨拶に来た。

礼儀正しい娘だ。

あちらこちら食事もしないで

挨拶をして回っているのだろう。


 うん?

 エレナ?

エレナと同じ名前か。


 「ふーん。エレナと同じ名前なんだ。

  同じ名前なのに、なんか、正反対な感じね」


ハニーが俺の思ったことを言ってくれた。


 「まあ。同じ名前なのは許してあげるわ。

  仕方がないからね。

  私を尊敬している親が名前を付けたのでしょう。

  でも、あなたは私より後からこの集落に来たので

  あなたは、ERENAZエレナゼットと名乗りなさい。」


エレナが偉そうに命令する。


本当にエレナはアホである。

なにが、ERENAZだ。

娘さんが可哀そうだろう。


 「はい。わかりました。

  私は、ERENAZに改名します。

  宜しくお願い致します」


ERENAZさんは、お辞儀をして、笑顔で言い切った。

なんて良い娘なんだろう。

それに比べて初代エレナは、偉そうに

当たり前だみたいな顔をしている。


 「こちらこそ、よろしくね。」


俺は、笑顔でERENAZに挨拶した。


 「はい。宜しくお願い致します」


ERENAZは、俺の笑顔に引きもせず

笑顔で挨拶してくれた。


本当に良い娘だ

ERENAZ。

 

ERENAZは、

俺達に挨拶をしながら、お酌をし終わると

また、次の席に歩いて行った。


 「まあ、良い娘なんじゃないか。」


ジュリアンが珍しく褒めている。


 「そうね。まあ可愛げがあるだすね」


アンも珍しい。


お前たち、あの娘のこと

怪しいだの、スパイだの

疑っていなかったか?


あの笑顔は偽物ではない。

俺は最初から信じていたのだ。

ゼルダさんの笑う顔が頭に浮かぶが

そんなことは関係ない。


そして、しばらくすると

いつのまにか

ERENAZは、集落の若い男達の

マドンナのような存在になっていた。


巫女様達4人には、決して集落の男達は

恋心を抱かない。

しかも、最近はめっきり祀られもしない。

もうほとんど一般人だ。

生活に余裕が出てきたからかもしれない。

祝福を求める住民が皆無なのだ。

 

そんな中

ERENAZだけは、巫女様達4人を

めちゃくちゃ崇拝している。


 「巫女様方、お疲れ様です。

  私にできることがありましたら

  何でも、お申し付けください。

  それが私の幸せなので」


ERENAZは、そんな恐ろしいことを言うのだ。

巫女様達もそう言われると

逆に色々と命令が出来ないらしく

ERENAZを非常に可愛がっている。


 「ユウスケさんは、巫女様達の従者なのですか」


ERENAZが俺に聞いてくる。


最近は、俺と巫女様達4人

それにERENAZを交えて

食事をしているのだ。

おかげで、若い男達の視線が痛いのだが。


 「まあ、そんなものです。俺なんて」


俺は照れながらERENAZに答えた。


 「いえいえ。みんなから聞きましたけど

  ユウスケさんのおかげで、

  この集落が地獄から生まれ変わったと

  言っておられましたよ」


ERENAZがキョトンと可愛らしい顔で

言ってくる。


 「いえいえ。

  全ては、巫女様達のおかげですよ」


俺は、心の中では滅茶苦茶うれしかったが

格好よく、謙遜してみた。


 「ふーん。そうなんですか?

  巫女様方の従者だけあって

  ユウスケさんは立派な方なんですね」


ERENAZが俺を褒めてくれる。

その笑顔やめてくれ

惚れてしまうだろ――――。


 「EERNAZ、気をつけなさい

  その男だけは。

  あちらこちらに宣戦布告をして

  敵を増やす人ですよ」


エレナがふざけた嘘を言っている。

いや、少しは当たっているか。


 「そうです。

  私たちは、色々と

  その男に迷惑をかけられているんです」


ハニーも嘘をつかないでくれ。

逆だ。迷惑をかけるのは、お前たちだ。


 「この間も

  カムーンのアンドロイドを破壊して

  宣戦布告してしまったんだすよ」


アンも余計なことを言うな。


 「アンドロイドですか?

  どうやって、あんなものを破壊するんですか?」


ERENAZは興味津々だ。

やばい、こいつらの言っていることが

本当ぽくなってしまっている。


 「いやいや。

  巫女様達の冗談ですよ。

  そんな、アンドロイドを破壊するなんて

  出来るわけないじゃないですか」


俺は、こいつらの話を止めようと必死だ。


 「何言っているのよ。

  能力を使って、バリアを破壊して

  爆発させたんでしょ。

  私の爆発で―。」


初代エレナがうるさい。


 「そうですよ。

  そのおかげで、私たちが

  基地の警備をするはめになっているんだから。

  少しは反省しなよ」


ジュリアンが酒をクイッと飲んで俺に説教を

してくる。


 「ハハハ

  嫌だな巫女様方

  本当にジョーダンが好きなんだから」


俺は何とか誤魔化したい。

ERENAZに危険な人だと思われたくないのだ。


 「フフフ

  すごいのですね。ユウスケさんは。

  私は巫女様方の話を信じますよ」


ERENAZは、笑みを浮かべて俺を見つめながら言ってきた

顔がお酒で少し赤らみて、可愛い。


 「えらい。

  ERENAZ。

  ユウスケよりも私達を信じなさい」


エレナが偉そうにERENAZに言う。


 「はい。もちろんです。」


ERENAZは可愛らしく返事をする。

チクショウ。

ERENAZをこいつらに奪われた気分だ。

何とか汚名挽回をしなければ・・・・・・


今日は、何故か大商人ネイルさんとダイス教祖の

ダイスさんが長老のもとに訪れている。

長老さんから、俺も話し合いに参加してくれと

頼まれた。

嫌ではあったのだが、仕方なく参加しているのである。


 「それで、広大な農地を我々に売って欲しいのですよ。

  そのお金を使えば、ここの集落はもっと発展しますよ。

  なに、エデン集落の方々には従業員として働いてもらいますし

  何の問題もないでしょう」


ネイルさんが長老たちを説得している。

問題が多すぎだろう。

俺はそう思っているが口にしない。


 「ですから、お金など必要ないのですよ。

  それに我々の一存では決められないのですじゃ」


長老のサイフォンが困った顔で答える。


 「だって長老でしょ。

  あなたが一番偉いのではないですか?」


ネイルさんが問い詰める。


 「いえいえ。

  私は偉くないですよ。

  みんなよりも長く生きているだけで。」


長老サイフォンさんは答える。

確かにそうなのだ。

長老は偉い訳ではない。


話が揉めたときにまとめるだけなのだ。

裁判長みたいな感じで、

そこに、感情をいれることなどはない。

そんなことをすれば、みんなに叩かれるだろう。

つまり、偉くないのだ。


 「まあ、売っていただけなければ

  こちらとしても考えがあるのですが

  それは、こちらとしてもやりたくないのです」


ダイス教祖のダイスさんが話に入ってきた。


 「考えがあるとは?」


俺は、ダイスさんに聞いてみた。


 「ユウスケさんも知ってのとおり

  我々と領主カルヴァン様は懇意にしています。

  そして私は防衛大将でもあります。」


ダイスさんは俺に説明する。


うん。

つまり力を使ってでも欲しい

ということなのであろう。


 「ユウスケさんも

  知っているとおり、街はいま不況でして

  我々には新しいビジネイルが必要なんですよ」


ネイルさんが補足説明をしてくる。

うーん

つまり、自分達の街がヤバいから

ここの集落が犠牲になれと。


 「ここの農地を、いや集落をユウスケさんや

  巫女様達と改善してきましたが、その中で、

  住民のみんなと決めたルールがあるのです。

  申し訳ありませんが、

  この話はそのルールを破壊してしまいます。」


長老のサイフォンさんは丁重に

ネイルさん達の話を断った。


 「いや、仕方がありませんな。

  ここには、ユウスケさんもおりますし

  他の土地を探すしかありませんね」


ネイルさんはダイスさんに話しかけた。

俺の顔を立ててくれたのは嬉しい。


 「そうですか。

  ネイルさんがそう言うなら仕方ありません。

  そういえば、ユウスケさん

  先日、カヌーンの方々があの基地に

  来られませんでしたか?」


ダイスさんが笑顔で話題を変えてきた。


 「はい。いらっしゃいましたが

  挨拶もしないで勝手に帰って行かれました」


俺は正直に答えた。


 「なるほど。

  何故、勝手に帰って行かれたのでしょうかね?」


ダイスさんが俺の顔を見ながら聞いてくる。


 「カヌーンのアンドロイド60体ほどが

  爆破しちゃったからかもしれません」


俺は、何故かダイスさんの質問に正直に

答えてしまう。


 「ほお―。

  爆発ですか?

  何故、アンドロイドが爆発を?」


ダイスさんが次々と質問をしてくる。


 「それは、俺が・・・・・・・・・」


ヤバイ。俺がやったと言いそうになってしまった。


 「何故か、勝手に爆発しちゃったんですよね」


俺はダイスさんと目を合わせずに答えた。


 「なるほど。

  基地の防御システムが発動したのかも

  しれませんね。

  いや、防衛大将として状況を把握していないと

  いけないものですから。

  いやいや。説明ありがとうございます」


ダイスさんは笑顔で俺に感謝してくれた。


 「いえいえ、

  大した情報も提供出来ずに申し訳ありません」


俺は丁寧にダイスさんに返答した。


 「あー。そういえば

  うちの娘のエレナは元気にしておりますか?」


ダイスさんが思い出したように長老たちに聞く。


 「エレナさん?

  あー。ERENAZさんですね。

  元気にしておりますよ。

  集落ではもう人気者ですよ。」


長老のサイフォンさんが答えた。


 「ERENAZ?

  そうですか。

  元気にしていれば良いのですが。

  どうも、巫女様方のファンらしくて。

  ご迷惑をおかけするかもしれませんが

  宜しくお願い致します」


ダイスさんは、父親らしい顔で長老たちに

頭を下げた。


うそでしょう?

ERENAZがダイスさんの娘?

ま、まさかダイス教徒?


 「あの、エレナさんは女性ですよね。」


俺は思わず、ダイスさんに聞いてしまった。


 「ハハハハハ

  当たり前じゃないですか。

  見た目も中身も女性ですよ。

  小さいころから可愛かったんですよ。」


お父さんは笑って答えてくれた。

良かった。

お父さんに嫌われないようにしなくちゃ。

俺は心に誓う。


ネイルさんとダイスさんは街に帰っていった

しかし、ダイスお父さん。

侮れないのだ。

何か不思議な力を持っているような気がする。


 「今日、お父さんに会ったよ。」


俺は、話のきっかけが欲しくて

その話題をERENAZに提供した。


 「えっ。お父さんがここに来たのですか?

  ユウスケさんに失礼ありませんでしたか?」


ERENAZは驚いた顔をして俺に聞いてくる。



 「全然ありませんよ。

  素敵なお父さんですね」


俺は、お父さんを褒める。

将来、本当にお父さんになるかもしれないのだ。

失礼なことは言えない。


 「ありがとうございます。

  実はユウスケさんのことは

  お父さん達から聞いたことがありまして

  みんな素敵な方だと言っておりました。

  実際に会って本当に素敵な方だと思いましたよ」


ERENAZが俺を褒めてくれる。


 「ERENAZ。

  駄目ですよ。

  ユウスケは褒めると調子にのりますから」


エレナが会話に入ってくる。

この野郎、この2人の空間に入ってくるな。


 「そうです。

  気を付けて下さい。

  穴があれば男も女も見境がないのですから」


ハニーも嘘を叩きこむな。


 「なるほど。

  だからお父さんや、ネイルさん達が

  ユウスケさんのことを」


説得力のある話の流れになっちゃった。

ERENAZが信じちゃっている。


 「でも、すごいですよね。

  私がしっていた集落とは全然違う。

  短期間でこんなに変われるものなんですね。

  さすがに巫女様方です」


ERENAZが巫女様達を褒めている。


 「まあね。

  チョチョイノチョイよ」


エレナが偉そうである。


 「まあ、ユウスケの努力は認めるわ

  よく頑張ったよ」


珍しくハニーが褒めてくれる。


 「そうね。ユウスケが温泉を掘ったのは助かったわ」


アンも珍しく感謝してくれている。


 「やっぱり、農地を作ったのは凄いよ。

  私達にはあんな発想は生まれないし」


ジュリアンまで珍しい。


 「凄いのですね。ユウスケさん。

  巫女様方に褒められるなんて。

  私も頑張って、巫女様方にほめられるように

  しなくちゃ。」


ERENAZは、少し俺を尊敬してくれたようである。


 「大丈夫、大丈夫。

  ユウスケなんか、あっという間に

  ERENAZは追い抜かすわよ。」


エレナは本当に偉そうだ。


 「あっ。そういえば。

  お父さんは、カヌーン星の方と連絡を

  取り合っているんですよ。

  ユウスケさん、気を付けて下さいね。

  ユウスケさんのことを調べたくて、

  お父さん、私をスパイとしてここに

  送り込んでいるので。」


ERENAZがさりげなく無邪気に言っている。


うん?

何を言っているかわからない。

自分で自分をスパイと言っているのか?


 「あのう。

  それは、ERENAZが俺のスパイということでしょうか」


俺は、間抜けな顔で聞いてみた。


 「はい、ユウスケさんの情報を収集するスパイです。

  家を出たかったので、了承したんです。

  お父さんには、まだ、会っていないので情報を流していませんが。」


ERENAZは何でもないように答えた。

うん。

やっぱり良い娘だ。

いや、しかし、これも俺を騙すために

いやいや・・・・でも・・・いやしかし

でもやっぱり・・・・・


俺が頭の中を混乱して疲れていると。


 「知っているわよ。

  ERENAZがスパイだって。

  わたしたちが、

  ユウスケに最初に言ったじゃない」


エレナが、当たり前のように言う。

 

他の巫女達も頷いている。

何なんだ、こいつらは?

これじゃあ、俺一人が馬鹿みたい。

もうなんだって良いよ。


ERENAZがスパイでも

ダイスさんがカヌーンとつながっていようとも

俺の正体がバレようとも

構わない。

人を疑っていたって疲れるだけだ。


 「ハハハ

  俺はERENAZを信じているから大丈夫。

  別に、お父さんに情報を渡したって良いし。

  うん。何でもERENAZなら許せるよ。」


俺は自分で何を言っているのかわからなくなってきた。


 「へえー。

  やっぱり、ユウスケさんて面白い人ですね。」


ERENAZが微笑んで言った。


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