日々野転々の大晦日
この作品はフィクションです
「♪も〜ぉい〜くつねぇ〜るぅ〜とぉ〜、お〜しょ〜ぅう〜が〜つぅ〜。
おしょうがつには〜蛸揚げて〜、い〜かも揚〜げて揚げまくるぅ〜。
はぁ〜や〜くぅ〜こぉ〜い〜こぉ〜い〜、揚げ揚げエ〜デ〜ン〜。」
「おい。」
「どうも揚げ魔神です。」
「聞いてない。」
「あら。」
「そんなに正月を待ち焦がれていなくても、もう明日が正月だから心配するな。」
「なんと!明日が正月だったのか!てことは今日はオルゴンキュレーター記念日だね?」
「初めましての記念日なんだけど?」
「ゴランゴランボ公国の有名な記念日なんだよ。」
「どこにある国ですか?」
「さぁ?」
「知らないのかよ。」
「どうも揚げ魔神です。」
「聞いてない。」
「あら。」
「今日、12月31日は、日本では一般的に、大晦日、と呼ばれている。」
「なるほどなるほど。」
「で、だ。」
「ほいほい。」
「本来であれば、今日までに大掃除を終わらせておくべきなわけだ。」
「はいはい。」
「終わったか?部屋の大掃除。」
「もちろんなんだよ!揚げ魔神の実力をナメないでもらいたいんだよ。」
「ナメてないし、そもそもさっきから名乗ってる、揚げ魔神、ってなんだよ。」
「黙秘します。」
「なんで。」
「揚げ魔神の秘密は国家機密の30歩手前って言われてるからね。」
「どれくらいの秘密なんだ。」
「うぉいうぉい、うぉいっっ!!」
「なんだよ。」
「いまキミが知りたいことは、揚げ魔神の秘密よりも、大掃除が終わっているかどうか、じゃ、ないのかね?ん?」
「言い方ムカつくんだけど。」
「大丈夫?カルシウム足りてる?もしくは、足りてる?」
「足りてる。」
「それはそれは。」
「大掃除が終わってると言うなら聞きたいんだけどな。」
「なにかね?」
「お前が掃除した部屋から、なんだか妙な匂いがしているんだけど。」
「あぁ、あれ?掃除の仕上げに香りづけを。」
「あんまり変なことするなよ?賃貸なんだから。」
「変なことはしていないんだよ。だた味噌を塗りたくっただけなんだから。」
「一時停止。」
「拒否!!!!」
「拒否する権利は無い。」
「ぶーぶーぶー。」
「なんで味噌を塗った。」
「塗ってません〜。塗りたくったんです〜。」
「より悪い。」
「なんてこったい。」
「とりあえず、全部拭き取ってこい。」
「え〜。」
「えー、じゃない。そもそも、何をどう考えたら部屋に味噌を塗るなんて行動に出るんだよ。」
「どうも揚げ魔神です。」
「会話をしてくれないかな?」
「わかったわかった。とりあえず味噌を拭いてくるから、キミは2代目揚げ魔神になって、その本分を全うしてくれたまへ。」
「………夕飯の天麩羅を揚げておけ、ってことか?」
「左様。サイドバック的な左様。」
「わかったわかった。揚げておくから、ちゃんと味噌を拭き取っておけよ。」
「おっけーおっけー任せておきなよ次男坊。」
「俺に兄弟はいない。」
「大急ぎで大味噌を大掃除してやるんだよ。大晦日、だ、け、に、ねっ!!!!」
「大味噌の無理矢理感。」
「そこはスルーしておくんなせぇ。」
2022年も、残り約10時間。早いなぁ…。
読んでいただき、ありがとうございました。