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マジカルゴルフ

 その日、時計塔が夜中の一時を示した時、その文字盤の周囲に四人の魔法少女達が姿を現しました。

「デコード。」少女の一人が言いました。

「エンコード。」別の少女が言いました。

「トランスコード。」また別の少女が言いました。

「パワーコード。」最後の少女が言いました。

「全員いるね。」デコードが言いました。

「てか、私達の名前こんなんで良いワケ?」パワーコードが言いました。

「コードネームって言うくらいなんだから、良いんじゃない?」エンコードが言いました。

「今思っても、かなり適当に決めたよね。」トランスコードが言いました。

「で、今日は何する?」パワーコードが言いました。

「特に事件が起きてないなら、何もする必要は無いと思う。」デコードが言いました。

「また適当にお喋りでもして時間を潰せば良いじゃない?」エンコードが言いました。

「昔はバトルが深夜まで続くこともあって大変だったみたいだけど、このチームが出来た頃にはそういうのもすっかり無くなってボク達もヒマだよね。」トランスコードが言いました。

「聞いた話だと昼に仕事してる連中は私達のこと“トーカーズ”って呼んでるみたいだよ。」パワーコードが言いました。

「トーカーズ……?」デコードが言いました。

「まあ、実際に喋ってばかりだし……。」エンコードが言いました。

「てか、正式なチーム名とかあっても良い気がしてきた。」パワーコードが言いました。

「確かに、コードネームは決めたけど、チーム名は決めて無かったよね。」トランスコードが言いました。

「別にトーカーズでも良いんじゃない、既に浸透してるんだし?」エンコードが言いました。

「二人はどう思う?」デコードが言いました。

「いやあ……。」トランスコードが言いました。

「ちょっとはアレンジした方が良くない?そのままはちょっと……。」パワーコードが言いました。

「良いんじゃない?」エンコードが言いました。

「それじゃあ“午前1時のトークルーム”でどう?」デコードが言いました。

「良いと思う。」エンコードが言いました。

「ネトゲのギルドみたいだけど、まあ、良いか。」トランスコードが言いました。

「むしろバンドっぽくない?アリだと思う。」パワーコードが言いました。

「じゃあ私達のチーム名は午前1時のトークルームで決定。」デコードが言いました。

「コードネームのみならずチーム名まで適当に決まっちゃったか。」トランスコードが言いました。

「ところでコードネームと言えば、最初の点呼止めない?」パワーコードが言いました。

「良いんじゃない、無駄だし?」エンコードが言いました。

「それじゃあ止めようか。」デコードが言いました。

「まあ、全員揃ってるかどうかは顔見れば分かるしね。」トランスコードが言いました。

「で、結局何する?」パワーコードが言いました。

「お喋り?」エンコードが言いました。

「トラコは何かしたいことある?」デコードが言いました。

「え……?ボク……?それじゃあ、たまにはお出かけでもしてみる?」トランスコードが言いました。

「トークルームなのに……?」エンコードが言いました。

「私達のトークルームは移動式なんだよ、多分。ステージカー的な……。」パワーコードが言いました。

「トークルームっていうチーム名にそこまで深い意味は無いよ。現に今だって屋外にいるワケだし。」デコードが言いました。

「一応ボクこのチームのドライバーを担当してるワケだから、どっか連れてくよ?」トランスコードが言いました。

「二人はどこか行きたい場所とかある?」デコードが言いました。

「トラコがドライバーだって言うなら、私はハッカーだからむしろどこにも行きたくないかも知れない。」エンコードが言いました。

「私はアタッカーだけど、意味も無く何かを攻撃するつもりは無いからね?」パワーコードが言いました。

「デコはどうなの?」トランスコードが言いました。

「私は元々ハッカーだからエンコと同じで外出は苦手だけど、みんなが行きたい場所があるならついていくよ。」デコードが言いました。

「そっか。そう言えばデコって元はハッカーか。」トランスコードが言いました。

「割と何でもやってるイメージあるよね。」パワーコードが言いました。

「私達が魔法少女になれたのもデコのおかげ……。」エンコードが左腕に装着された魔法の腕輪“マジカルテックコンソール”を見せながら言いました。

「それは私一人の功績じゃない。みんなの協力があったから完成に至れたんだよ。」デコードが言いました。

「そう言って貰えると光栄だね。」トランスコードが言いました。

「で、結局どこか行くの?」パワーコードが言いました。

「行きたい場所があるならついていかないことも無い。」エンコードが言いました。

「どこか遊びに行くにしても、この時間はどこも閉まってるでしょ?」パワーコードが言いました。

「確かに……。」デコードが言いました。

「深夜だからって遊び場が無いとは限らないよ?」トランスコードが言いました。

「牛丼屋?それともコンビニ?」エンコードが言いました。

「いいや。そんなんじゃない。」トランスコードが言いました。

「ライブハウスとか……?」パワーコードが言いました。

「交番……?」エンコードが言いました。

「ここはトラコのオススメを聞いてみない?」デコードが言いました。


 午前1時のトークルームの四人はとあるスクラップヤードへとやって来ました。

「何……ここ……?」パワーコードが言いました。

「スクラップヤード……?」エンコードが言いました。

「そう!」トランスコードが言いました。

「この部品とか……上手く使えば武器に出来そう。」デコードがスクラップの一つを手に取りながら言いました。

「深夜ならではの娯楽スポットさ!」トランスコードが言いました。

「こんなところで何が出来るの?」パワーコードが言いました。

「お喋り……?」エンコードが言いました。

「トラコ的には……?」デコードが言いました。

「え……?ホラ、何かを……叩くとか……?」トランスコードが捨てられたドライバーを拾いながら言いました。

「パワコ……。」エンコードが言いました。

「いや……だから……意味も無く攻撃はしないって……!」パワーコードが言いました。

「トラコの持ってるソレ……ゴルフクラブ……?」デコードが言いました。

「え……?うん。」トランスコードが言いました。

「ドライバーね。」エンコードが言いました。

「じゃあ、ゴルフでもする?」パワーコードが言いました。

「良いね。みんなは……?」デコードが言いました。

「別に良いけど……。」エンコードが言いました。

「良いよ。」トランスコードが言いました。

「じゃあ、決まりか。」パワーコードが言いました。

「まずはコースを整備しないと……。」デコードが言いました。

「ガラクタをどかさないとね。」パワーコードが言いました。

「アタッカーの出番じゃない?」トランスコードが言いました。

「ここは……私が行く。」そう言ってエンコードが魔法の斧“マジカルトマホーク”を召喚しました。

「やる気だね、エンコ。」パワーコードが言いました。

「たまには外出してみるのも良いもんでしょ?」トランスコードが言いました。

「それじゃあお願い。」デコードが言いました。

「ハアッ!」エンコードがマジカルトマホークを投げました。

 投げられたマジカルトマホークが積み上げられたスクラップを破壊していきました。

 エンコードはマジカルテックコンソールを操作してマジカルトマホークの軌道を変更しました。これによりマジカルトマホークは曲がりながらスクラップを破壊してエンコードの手元に戻ってきました。

「それじゃあ次は私が行くよ。」そう言ってデコードが魔法の棍棒“マジカルブーメラン”を召喚しました。

「おっ!?次はデコの番?」トランスコードが言いました。

「こりゃアタッカーの出番はナシかな?」パワーコードが言いました。

「じゃあお願い。」エンコードが言いました。

 デコードがマジカルブーメランを構えると同時にその上部に巨大な魔法の刃が生成されました。

「マジカルエンド!」デコードが魔法の刃でスクラップの山を破壊しました。

「豪快に行ったね。」パワーコードが言いました。

「これでコースは大体出来た。」エンコードが言いました。

「後はカップか。」デコードが言いました。

「任せて!」そう言ってトランスコードが魔法の槍“マジカルジャベリン”を召喚しました。

「ハアッ!」トランスコードがマジカルジャベリンを投げました。

 トランスコードはマジカルテックコンソールを操作してマジカルジャベリンの軌道を調整し、奥側の地面に垂直に突き刺しました。

 トランスコードが自身の手元にマジカルジャベリンを再び召喚し直すと、その地面には穴だけが残りました。

「お見事!」パワーコードが言いました。

「さすがね。」エンコードが言いました。

「よし、これでゴルフが出来るね。」デコードが言いました。

「待った!」パワーコードが言いました。

「ん……?」トランスコードが言いました。

「ボール……。」エンコードが言いました。

「あ……。」デコードが言いました。

「そう言えば……ボール……無い。」トランスコードが言いました。

「ボールの代わりになるものがこの中にあるかも……。」エンコードがスクラップの山を見つめながら言いました。

「探すの……?」パワーコードが言いました。

 四人はスクラップの山の中からゴルフボールの代わりとなる物を探し始めました。

「これどう……?」デコードが健身球を手にして言いました。

「何それ……?」エンコードが言いました。

「鉄球……?」トランスコードが言いました。

「アレじゃない?ミュージシャンが指を鍛えるのに使うヤツ!」パワーコードが言いました。

「知らないんだケド……。」トランスコードが言いました。

「でも、ボールの代わりにはなりそう。」エンコードが言いました。

「これでゴルフが始められるね。」デコードが言いました。

 デコードが地面に置かれた健身球の前に立ち、ドライバーを構えました。

「ハアッ!」デコードがトライバーで健身球を打ちました。

「あ……!」トランスコードが言いました。

「ファー!」パワーコードが言いました。

 飛んでいった健身球がスクラップの山の中に紛れました。

「OBね。」エンコードが言いました。

「失敗したか。」デコードが言いました。

「ボールが……。」トランスコードが言いました。

「また探す?」エンコードが言いました。

「いや……。」パワーコードが言いました。

 四人は帰ることにしました。


 おわり

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