マジカルゴルフ #6
その日、とある更衣室にウミコとナミカという二人の少女達がいました。
「いやー、今日もお疲れ様でした。」ナミカが言いました。
「今日も頑張った!」ウミコが言いました。
「そうだね。今日も一日頑張りましたよ私達。」ナミカが言いました。
「よし!頑張った自分達へのご褒美としてこれから一緒になんかしようよ!?」ウミコが言いました。
「え……?良いケド……。お財布厳しいんじゃないの?」ナミカが言いました。
「ちょっと遊ぶくらい問題無いっしょ!?それにここで立ち止まってた方がよっぽど損だと私は思うよ?」ウミコが言いました。
「全く……ウミコらしいというか何と言うか……。」ナミカが言いました。
「へへ……。」ウミコが言いました。
「それで、今日は何をする?」ナミカが言いました。
「今から考える!」ウミコが言いました。
「それじゃ、無難にカラオケにでもいきますか?」ナミカが言いました。「私歌うのニガテだけど……。」
「無難じゃ面白くない!今夜は冒険しよう!」ウミコが言いました。
「冒険……例えば……?」ナミカが言いました。
「えーっと……冒険って言ったらやっぱ……キケンな感じの……?」ウミコが言いました。
「キケンな娯楽なんてあるワケ無いじゃないですか。そもそも危ない段階でそれもう娯楽じゃないし……。」ナミカが言いました。
「あくまで感じだよ!ジェットコースターとか危険な感じの娯楽じゃん!」ウミコが言いました。
「確かに……。」ナミカが言いました。
「でも、今やりたいのはそういうのともちょっと違うんだよな。」ウミコが言いました。
「それじゃあウミコさんはどんな感じのキケンをお求めなんですか?」ナミカが言いました。
「えー……そう言われるとな……。なんかこう……紐無しバンジーみたいな……?」ウミコが言いました。
「死ぬから……それ。」ナミカが言いました。
「でも、感じは何となく分かるっしょ!?」ウミコが言いました。
「感じね……。要するにウミコは保険無しでちょっと危険なことに挑戦してみたいワケね。」ナミカが言いました。
「そんな感じ!さすがはナミカ、私のことよく分かってる!」ウミコが言いました。
「まあね。でも、そんなに都合の良い遊びなんて無いでしょ。」ナミカが言いました。
「まあ、そうだよね。」ウミコが言いました。
「ところで、保険と言えばゴルフにはホールインワン保険なるものがあるらしいよ。」ナミカが言いました。
「聞いたことあるかも!ホールインワンした際に行うパーティの費用を出してくれる保険っしょ?」ウミコが言いました。
「そうそう。ミラクルプレイをしたのに周りに祝って貰うんじゃなくて自分で祝わなくちゃいけないなんて酷なハナシですよね。」ナミカが言いました。
「言えてる!」ウミコが言いました。
「実際にホールインワンがどれくらいの頻度で起きるのかは知らないけど……。」ナミカが言いました。
「そうだ!せっかくだからゴルフにしない、今夜の遊び?」ウミコが言いました。
「ゴルフですか……。やったことある?」ナミカが言いました。
「無い!」ウミコが言いました。「ナミカは……?」
「無いな。」ナミカが言いました。
「それじゃあフェアだね!」ウミコが言いました。
「確かにそうだけど……。でも、ゴルフをするには色々な保険に入らないといけないんじゃない?ホールインワン保険以外にも……。」ナミカが言いました。
「そこはホラ、冒険だ!」ウミコが言いました。
「冒険ね。まあ、私は別にウミコがホールインワンを達成したからと言って何かして貰おうなんて考えてないし、その分の保険は要らないと思うけど……。」ナミカが言いました。
「それでも木を植えなきゃいけないんじゃなんないんじゃない?」ウミコが言いました。
「あー……記念樹ね。」ナミカが言いました。
「どうせならフルーツの生る木が良いな!」ウミコが言いました。
「わざわざゴルフ場までフルーツを食べに行く気……?」ナミカが言いました。
「それは面倒か!ハハハ!」ウミコが言いました。
「まあ、とりあえず、行ってみる、ゴルフ場?」ナミカが言いました。
「おう!」ウミコが言いました。
ウミコとナミカはとあるゴルフ場へとやって来ました。
「ファー!」ウミコが言いました。
「それいつでも言って良いヤツじゃないと思う。」ナミカが言いました。
「え!?マジ……!?」ウミコが言いました。
「うん。それにしても、プレイ料金高かったけど、ホントに大丈夫?」ナミカが言いました。
「ナミカったらさっきっからそればっかり……!平気平気!と言うかここまで来たらもう楽しむしかないっしょ!?」ウミコが言いました。
「まあ……それもそっか。」ナミカが言いました。
「それじゃあ始めよっか?」ウミコが言いました。
「うん!」ナミカが言いました。
「先攻は貰った!」そう言ってウミコがドライバーを構えました。
「どうぞ。」ナミカが言いました。
「ハアッ!」ウミコがボールを打ちました。
ウミコが打ったボールはコースの外へと飛んでいきました。
「ウミコ……!」ナミカが言いました。「ファ……。ファー!」
「え……?」ウミコが言いました。「ファー!」
ウミコが打ったボールはそのまま林の奥へと転がっていきました。
「ファーって言っちゃいけないんじゃないの?」ウミコが言いました。
「打ったボールがコースを外れたら言うんだよ!」ナミカが言いました。
「そっか……。その為の掛け声か……。」ウミコが言いました。
「それよりも……保険に入ってないんだから気をつけて……。」ナミカが言いました。
「うん……。でも大丈夫、他にお客さんいないし!」ウミコが言いました。
「まあ、確かに……。」ナミカが言いました。
「じゃあ次はナミカのターン。」そう言ってウミコはナミカにドライバーを渡そうとしました。
「いやいや、OBになったんだから打ち直しでしょ。」ナミカが言いました。
「そっか……。それじゃあ私の二回目の攻撃!」そう言ってウミコがドライバーを構え直しました。
「ハアッ!」ウミコがボールを打ちました。
ウミコが打ったボールはラフへと落下しました。
「あらら、残念。」ナミカが言いました。
「大丈夫!まだパーは狙えるハズ……!」ウミコが言いました。
「難しいと思うよ。」ナミカが言いました。
「じゃあ次、ナミカのターン。」そう言ってウミコがナミカにドライバーを渡しました。
「よし……!」そう言ってナミカがドライバーを構えました。
「ハアッ!」ナミカがボールを打ちました。
ナミカの打ったボールはフェアウェイのへと落下しました。
「スゲーじゃんナミカ!」ウミコが言いました。
「ヤバ……。」ナミカが言いました。
「確かにヤバい!これもう完全にゴルゴルの実の能力者じゃん!」ウミコが言いました。
「そんなバカな……。」ナミカが言いました。
ウミコとナミカはそのままプレイを続けて最初のホールを終えました。
「最初のホールは私がボギーでナミカがバーディーか……。」ウミコが言いました。
「今のところ私が有利だね。」ナミカが言いました。
「でも勝負はまだまだ分からない!」ウミコが言いました。
「受けて立ちましょう!」ナミカが言いました。
「確かゴルフって負けてる方が先攻になるんだっけ?」ウミコが言いました。
「確か……。」ナミカが言いました。
「じゃあこのホールも私が先攻か……。」そう言ってウミコがドライバーを構えました。
「このホールはパー5……長い戦いが予想されるか……。」ナミカが言いました。
「ハアッ!」ウミコがボールを打ちました。
ウミコの打ったボールはフェアウェイを外れ再びラフへと落下しました。
「あちゃー。」ナミカが言いました。
「ヤッバ……。またミスった。」ウミコが言いました。
「ドンマイ。」ナミカが言いました。
「それじゃあ次はナミカのターン。」そう言ってウミコはナミカにドライバーを渡しました。
「ハアッ!」ナミカはドライバーでボールを打ちました。
ナミカの打ったボールはフェアウェイへと落下しました。
「よし!」ナミカが言いました。
「やっぱスゲー!マジで能力者じゃん!」ウミコが言いました。
「もしそんなんだったら仕事止めてプロのゴルファーになってるって……。たまたまだよ、たまたま。」ナミカが言いました。
「しかしこの状況から逆転するとなると気合がいるよな。」ウミコが歩きながら言いました。
「さて、どうします?」ナミカがウミコについていきながら言いました。
「よし、ここは……!」そう言ってウミコは自身の打ったボールの前で足を止めました。
「勝負に出る!」そう言ってウミコはドライバーを構えました。
「おお……。」ナミカは足を止めて言いました。
「ハアッ!」ウミコがボールを打ちました。
ウミコの打ったボールはそのままカップへと入りました。
「お……お……お……お……!」ナミカが言いました。
「やった!奇跡が起きた!」ウミコが言いました。「アルバトロスだ!」
「ウミコ……ヤバい……!」ナミカが言いました。
「え?そんなにヤバくないでしょ?まだナミカにも勝機はあるでしょ?」ウミコが言いました。
「そうじゃなくて……アルバトロス……!」ナミカが言いました。
「え……?アルバトロスがどうかした?」ウミコが言いました。
「木だよ!木!」ナミカが言いました。
「木……?木ってホールインワンの……?」ウミコが言いました。
「ホールインワンだけじゃなくてアルバトロスもそうなんだよ!」ナミカが言いました。
「えっ!?マジで……!?」ウミコが言いました。
「マジ……。」ナミカが言いました。
「ヤバ……!そんなお金無い!」ウミコが言いました。「どうしよ!?」
「どうするもこうするも……。」ナミカが言いました。「逃げるしかない!」
「マジか!」ウミコが言いました。
「ゴルフ場の人が来る前に……早く……!」ナミカが言いました。
「う……うん……!」ウミコが言いました。
ウミコとナミカは走り出し、フェンスをよじ登ってそのゴルフ場から脱出しました。
おわり