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マジカルゴルフ #5

 アオイ産業の社員達がオフィスに集まって会議を行っていました。

「親睦会を開くわよ!」アオイが言いました。

「親睦会っすか!?良いっすね!」ナタネが言いました。「パーティ!」

「どこでやるんですか?ファミレスですか?」リラが言いました。

「ファミレスだなんて……ウチは一流企業よ?」アオイが言いました。

「一流……ですか。」リラが言いました。

「じゃあどこかのホールでも借りてパーッとやりますかー。」ネムが言いました。

「そうね。良い場所があるわ。」アオイが言いました。

「良い場所……?」リラが言いました。

「ええ。政府の人間も利用している場所よ。」アオイが言いました。

「良いっすね、それ!」ナタネが言いました。

「イヤな予感がする。」リラが言いました。

「早速出発よ!」アオイが言いました。


 アオイとリラとネムとナタネはとあるゴルフ場へとやって来ました。

「ゴルフか……。」リラが言いました。

「ここはこの時期手頃な価格で利用出来るのよ。」アオイが言いました。

「それはそうでしょうけど……。」リラが言いました。

「一流の経営者たるものコスト削減を常に念頭に置いておくものよ。」アオイが言いました。

「まあ……。」リラが言いました。

「それに、会社と言えばゴルフよね?」アオイが言いました。

「そうですね。」リラが言いました。

「でも、やるからには手抜きはしないっすよ?わざと負けるのも失礼っすからね!」ナタネが言いました。

「良い心掛けね。でも、本気を出しても私には勝てないってことを教えてあげるわ!」アオイが言いました。

「ところで……ゴルフのルール知らないんですけど……?」リラが言いました。

「えっ……?そんなことも知らないのか?ゴルフなんてクラブでボールを打ってホールに入れれば良いんだろ?」ナタネが言いました。

「いや……それくらいは知ってるけど……。細かいルールとかもあるでしょ?」リラが言いました。

「そうなんすか?少ない打数でホールに入れられればそれで良いと思ってましたけど……。」ナタネが言いました。

「私に聞かないでよ。」アオイが言いました。

「社長……ひょっとして……ルール知らないんですか?」リラが言いました。

「経営者たるものルールに囚われていてはいけないのよ。」アオイが言いました。

「でもそれじゃあ……。」リラが言いました。

「ルールを知らないならルールを作れば良いじゃないー。」ネムが言いました。

「ルールを……作る……?」リラが言いました。

「そう、それよ。ルール通りに行動すれば良いなんて何年前の価値観よ?人生において必要なのはどうすれば良いのか自分で考える力よ。我が社ではそういう能力が求められるの。」アオイが言いました。

「真の会社員たる者ルールを創造すべし、っすね!?」ナタネが言いました。

「ルールを創造するって言い方はしっくり来ないけど、確かに……そうかも。」リラが言いました。

「じゃあルールは説明しなくて良いですかー?」ネムが言いました。

「えっ……?アンタ、ゴルフのルール知ってんの……?」リラが言いました。

「さあねー?どうでしょうー?」ネムが言いました。

「どっちでも良いわ。ルールを創造するわよ。」アオイが言いました。

「とりあえず、クラブでボールを打って少ない打数でホールに入れるってのは同じで良いっすよね?それとも、なんか別のもんで打つことにします?」ナタネが言いました。

「別の物って例えば何……?」リラが言いました。

「そりゃ……アレだよ……。」ナタネが言いました。

「ペンデュラムー。」ネムが言いました。

「ペンデュラム……?何それ……?」リラが言いました。

「振り子だよー。」ネムが言いました。

「いや……それは分かるけど……それでどうやってボールを打つワケ……?」リラが言いました。

「そりゃあ……あの……ヌンチャクみたいに……?そうだよ!」ナタネが言いました。

「ヌンチャクでボールが打てるみたいな前提で話してない?無理だと思う。」リラが言いました。

「打てるっしょ、頑張れば?」ナタネが言いました。

「ムリだねーきっとー。」ネムが言いました。

「お前が否定するのかよ。」ナタネが言いました。

「まあねー。」ネムが言いました。

「ルールを創造するにしても、あまりメチャクチャなゲームにならないようにしないと……。」リラが言いました。

「そうね。もしこれからクソルールを提案する人がいたらその度にソイツの給料を減らすことにするわ。」アオイが言いました。

「あーあー。」ネムが言いました。

「でも逆に面白いルールを思いついたら給料アップっすか?なんなら私は現物支給でも良いっすよ!」ナタネが言いました。

「まあ、考えとくわ。」アオイが言いました。

「やりー!」ナタネが言いました。

「でも、いざ面白いルールを考えるとなると、なかなか思い浮かばないかも……」リラが言いました。

「確かにな。そうだ!社長が手本を見せて下さいよ!」ナタネが言いました。

「な……何で私に……!?」アオイが言いました。

「良いじゃないっすか、社長!?社長ならきっと良いアイデア出せますよ!社長!」ナタネが言いました。

「えっと……それじゃあ……。」アオイが言いました。

「はい。」リラが言いました。

「ボールに予め矢印を書いておいて、ボールが止まった時にその矢印が向いている方向にしか打てなくなるってのはどうかしら?」アオイが言いました。

「えっ……?」リラが言いました。

「クソゲーおつっす、社長!」ナタネが言いました。

「な……!確かにおかしなアイデアだったとは思うけど、独創性の評価はするべきじゃないの?」アオイが言いました。

「ペンデュラムの方がマシっすね。ヌンチャク!」ナタネが言いました。

「私からも言わせて貰うけど、ヌンチャクでボールは打てないわよ?だから私のアイデアがそれ以下になることは無いわ。」アオイが言いました。

「いずれにせよ五十歩百歩っすね。」ナタネが言いました。

「くっ……!」アオイが言いました。

「社長をフォローするワケじゃ無いけど、アンタは何か良いアイデアあるワケ?」リラが言いました。

「そんなんあるワケねえよ。私は少ない打数でホールに入れられればそれで良いと思ってるし。」ナタネが言いました。「そっちは……?」

「無い。」リラが言いました。

「二人共もっと冒険しなくちゃー一流の会社員にはなれないよー?」ネムが言いました。

「別に……今のままで良いし……。」リラが言いました。

「そういうネムはどうなんだよ?」ナタネが言いました。

「給料下げられたくないんでー……。」ネムが言いました。

「じゃあ給料は下げないから……。」アオイが言いました。

「バイクに乗ってボールを打って、打数関係無しに早くホールに入れられた人の勝ちー……!」ネムが言いました。

「やっぱ……そうなるんだ。」リラが言いました。

「ライディングゴルフ!良いね!」ナタネが言いました。

「いや……。」リラが言いました。「ポロじゃ無いんだから……。」

「ポロシャツは別名ゴルフシャツって言うんだよー?」ネムが言いました。

「関係無いから……。」リラが言いました。

「でも、思ってたよりマシなアイデアだったわね。」アオイが言いました。

「それ……感覚がマヒしてるせいです。」リラが言いました。

「バイクは無いけど、カートならあるわ。」アオイが言いました。

「じゃあ二人一組になって一人がドライバー、もう一人がゴルファーを担当すれば良いんすかね?」ナタネが言いました。

「そうなるわね。」アオイが言いました。

「今の内に言っときますけど私、それやりませんから……。」リラが言いました。

「付き合い悪いよーリラ―。」ネムが言いました。「そんなんじゃ社会でやっていけないよー?」

「余計なお世話……。」リラが言いました。

「リラ―、ゴメンー。」ネムが言いました。

「ところで、そろそろ腹減って来ませんか?」ナタネが言いました。

「そうね。」アオイが言いました。

「ここレストランありましたよね?」ナタネが言いました。

「ここのカレーは美味しいらしいですよー。」ネムが言いました。

「じゃあみんなでそれ食べる?」アオイが言いました。

「ちょっと高いんですけどねー。」ネムが言いました。

「コスト削減が大事だとは言ったけど、必要な経費はしっかり出す必要があるわ。私のおごりよ!」アオイが言いました。

「マジっすか社長!?」ナタネが言いました。

「おー!ネムが言いました。

「さすがっす社長!私らみんなこれからも社長についてきます!」ナタネが言いました。

「ええ。頼むわ。」アオイが言いました。


 アオイとリラとネムとナタネは食堂へと移動し、カレーライスを食べ始めました。

「おー!私味の違いとかよく分かんないっすけど、千円超えのカレーなんて初めて食べたっすよ!」ナタネが言いました。「感動っす!」

「これは普通のカレーですねー。」ネムが言いました。

「まあ、マズくは無いから良しとするわ。」アオイが言いました。

「リラ―、感想はー……?」ネムが言いました。

「普通に……美味しい……。」リラが言いました。

「それって普通なのか美味しいのか分かんなくない?」ナタネが言いました。

「まあ……そうだけど……。」リラが言いました。

「多分普通なんだねー。」ネムが言いました。

「味は普通でも……こうしてみんなで一緒に食べてるから……美味しい……みたいな……?」リラが言いました。

「ベタだけど悪くない回答ね。革新だけが全てでは無いってことかしら?」アオイが言いました。

「そうっすね!」ナタネが言いました。

「でも……もっと言わせて貰えば……。」リラが言いました。

「んー?」ネムが言いました。

「これなら別にここじゃなくても、やっぱりファミレスで良かったんじゃ無いですか?」リラが言いました。

「あ……。」ナタネが言いました。

「食べ終わったらボール打ちに行くわよ。」アオイが言いました。

「ルールはどうするんですかー?」ネムが言いました。

「とにかくボールを打つのよ。」アオイが言いました。

「お金払って何もせずには帰れないっすからね!」ナタネが言いました。


 おわり

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