マジカルゴルフ #3
その日、サクラはゴルフ対決の為にシオンと共にとあるゴルフ場を訪れていました。
「分かっていると思うが、今日のゴルフ対決は魔法庁と警察庁の威信と予算を掛けた真剣勝負だ。心して挑んで欲しい。」シオンが言いました。
「分かっていますよ。この日の為に練習を積んできましたから……。それにしても警察庁の代表、遅いですね。」サクラが言いました。
「さては我々に恐れをなして逃げ出したか……?」シオンが言いました。
「魔法局は人手不足みたいですからね。」サクラが言いました。
「つまりは我々の不戦勝という訳か……。」シオンが言いました。
「いや、最後まで油断は出来ませんよ。勝ったと思わせてこちらを油断させる狡猾な作戦かも知れません。」サクラが言いました。
「確かに……。これは政府組織同士の勝負……どんな駆け引きが行われても不思議では無い。」シオンが言いました。
「ところでシオンさん、応援に来てくれるのは嬉しいんですけど、ヒマなんですか?」サクラが言いました。
「まあ、今は一昔前程私自身が動かなければならない事態にはなっていないからな……。」シオンが言いました。
「闇の力も随分と大人しくなってますしね。」サクラが言いました。
「それでも闇の力の脅威が完全に去ったワケでは無いし、それ以外の脅威も存在する。この勝負を制して無事に来年度の予算を確保出来たらお前にも通常の任務に戻って貰うぞ。」シオンが言いました。
「分かっていますよ。」サクラが言いました。
「とは言っても、もしこの勝負に勝てたら多少の休暇くらいは考えても良いと思っている。」シオンが言いました。
「それは嬉しいですね。」サクラが言いました。
「もうすぐ時間か……。」シオンがマジカルテックモバイルを見ながら言いました。
「来るならそろそろですね。」サクラが言いました。
そこへ二足歩行のトラのような容姿を持つ妖精がポリーと共に姿を現しました。
「何……?」シオンが言いました。
「妖精……?」サクラが言いました。
「お待たせして悪かったわ。」ポリーが言いました。
「いや……。」シオンが言いました。
「そのトラみたいな妖精が警察庁の代表……?」サクラが言いました。
「彼はタイガ。私の知り合いなの。」ポリーが言いました。
「タイガだ。よろしく。」タイガが言いました。
「知り合いと言ったが、その妖精は警察庁に所属しているのか?それにそもそも妖精が参加して良いのか?」シオンが言いました。
「警察庁の人間で手の空いてる人はいなかったの。だから知り合いのアスリートに声を掛けることにしたのよ。」ポリーが言いました。
「アスリート……?」シオンが言いました。
「なんかアンフェアな感じしますね。」サクラが言いました。
「両機関の親睦を深める為のイベントでしょ?細かいことは言わないで欲しいわ。」ポリーが言いました。
「そう来たか……。」シオンが言いました。
「確かに……少なくとも表向きは親睦を深める為のイベントですから、細かいことは言えませんね。」サクラが言いました。
「くっ……!」シオンが言いました。
「さすがに手馴れてますね。」サクラが言いました。
「さあ、今日は楽しもう!」タイガが言いました。
「このままでは相手に楽しませるだけで終わってしまう。」シオンが言いました。
「いや、たとえプロが相手でも私は負けませんよ!その為にこれまで練習を積んできたんですから!」サクラが言いました。
「おお……!」シオンが言いました。
「さあ、勝負だ!」サクラが言いました。
「変身!」サクラが変身してドライバーを構えました。
「ところで、まずはゴルフとやらのルールを説明してくれないか?」タイガが言いました。
「えっ……?」サクラが言いました。
「プロじゃ無いのか?」シオンが言いました。
「アスリートとは言ったけど、プロゴルファーだとは言って無いわ。」ポリーが言いました。「尤も、タイガが何のスポーツをやってるのかは私も知らないけど……。」
「石膏叩きだ。」タイガが言いました。
「石膏叩き……?」サクラが言いました。
「何だそれは?」シオンが言いました。
「妖精達の間で流行ってるスポーツ……?」サクラが言いました。
「私も知らないんだけど……。」ポリーが言いました。
「石膏ボードを壊さないように拳で叩く競技だ。俺が考えた。競技者は俺しかいないから、当然俺が世界のトッププレイヤーだ。」タイガが言いました。
「何……?」シオンが言いました。
「なんかよく分かりませんけど、スモーみたいなもんですかね。」サクラが言いました。
「多分違うわ。」ポリーが言いました。
「それはともかくゴルフのルールを説明してくれないか?」タイガが言いました。
「あなたも妖精なら魔法で調べなさいよ。」ポリーが言いました。
「俺はアスリートだ、そういう魔法は得意じゃない。」タイガが言いました。
「そういうのはアスリートじゃなくて脳筋って言うんじゃないの?」サクラが言いました。
「何だと……!?お前……対戦相手を愚弄するとは、スポーツマンシップの欠片も無いヤツだな!」タイガが言いました。
「それはどうかな?」サクラが言いました。
「何……!?」タイガが言いました。
「自分が参加する競技のルールも把握して無いなんて、それこそアスリート失格だぜ!」サクラが言いました。
「くっ……!」タイガが言いました。
「決まった!」サクラが言いました。
「油断するな、サクラ!」シオンが言いました。
「えっ……?」サクラが言いました。
「フン!俺は真のアスリートだ!ルールなんてその場で瞬時に理解出来る!」タイガが言いました。
「何だって……!?」サクラが言いました。
「まさか取り扱い説明書は読まないタイプの妖精か……!」シオンが言いました。
「その通りだ!」タイガが言いました。
「だったら何でルールを聞いた?」サクラが言いました。
「お前の度量を試しただけだ!」タイガが言いました。
「何……!?」サクラが言いました。
「これにより、お前が器の小さいゴミのような魔法少女であることが判明した!こうなればお前を叩き潰すことなど容易い!」タイガが言いました。
「ぐっ……!」サクラが言いました。
「自ら実力をさらけ出すとは、愚かなヤツめ!」タイガが言いました。
「そんなハッタリで怯むもんか!」サクラが言いました。
「何……!?」タイガが言いました。
「その場でルールを理解するなんてお前のような脳筋に出来るハズが無い!やれるものならやってみろ!」サクラが言いました。
「くっ……!」タイガが言いました。
「タイガ……!」ポリーが言いました。
「フン……!理解しているさ!要はこの棒でその球を打てば良いのだろう?」そう言ってタイガがドライバーを構えました。
「何……!?」サクラが言いました。
「まあ、状況からすれば妥当な判断だな。」シオンが言いました。
「これでお前の命運は尽きた!」そう言ってタイガがボールの前に立ち、サクラに向けてボールを打とうと構えました。
「ちょ……!いや……!」サクラが言いました。「ヘルメット持って来れば良かった!?」
「今更何を言ってももう遅い!お前は俺の実力を侮り過ぎた!それがお前の敗因だ!」タイガが言いました。
「止めてタイガ!あなたは間違ってるわ!」ポリーが言いました。
「止めるなポリー!俺はアスリートとしてこの戦いに全力で挑む!」タイガが言いました。
「逃げろ、サクラ!」シオンが言いました。
「ここで逃げるワケには……!」そう言ってサクラがドライバーを構えました。
「タイガードライブショット!」タイガがドライバーでボールを打ちました。
「ウワアアアアアアッ……!」サクラはボールを受けてふっ飛ばされました。
「サクラ……!」シオンが言いました。
「フッ!一撃で決まったな!」タイガが言いました。
「これは不祥事ね。揉み消す方法を考えないといけないわ。」ポリーが言いました。
「まあ、お互い政府の機関同士、ここは話し合いで解決を図ろう。」シオンが言いました。
「望みは何?」ポリーが言いました。
「マジカルチェンジャー数台だ。」シオンが言いました。「こちらの活動の規模を拡大する為にも基本となるアイテムは必要だ。」
「考えさせて貰うわ。」ポリーが言いました。
「そちらは人手不足なんだから、マジカルチェンジャーを渡しても問題無いだろう?」シオンが言いました。
「ええ……。」ポリーが言いました。
「ううっ……!」サクラが立ち上がりました。
「まだ立ち上がるだけの力が残っているだと……?」タイガが言いました。
「モチロン!あんな攻撃でこの私を倒せると思ったか!?」サクラが言いました。
「くっ……!」タイガが言いました。
「こうなったら直接対決で決着をつけてやる!」そう言ってサクラがドライバーを構えました。
「俗に言うデュースか?受けて立とう!」そう言ってタイガがドライバーを構えました。
サクラとタイガがドライバーで殴り合いを始めました。
「猛虎秘技、タイガードライブクラッシャー!」そう言ってタイガがドライバーをサクラに振り下ろしました。
「カーボンファイバーリフレクション!」そう言ってサクラがドライバーでタイガのドライバーを弾きました。
「もうメチャクチャね。」ポリーが言いました。
「しかしもう勝負は着いた。先程の件、くれぐれも忘れないように……。」シオンが言いました。
「分かってるわ。」ポリーが言いました。
「フフフ……!」シオンが言いました。
「タイガとはもう絶交ね。」そう言ってポリーがその場を離れました。
「よくやった、サクラ。私は先に帰る。」そう言ってシオンがその場を離れました。
サクラとタイガは戦い続けていました。
「ちゃんこ鍋!締めは雑炊!卵二個!」そう言ってサクラがドライバーでタイガを叩きました。
「グアッ……!」タイガが怯みました。
「攻撃名に川柳を用いるとは……!」タイガが言いました。
「あっ……!確かにセンリューっぽい……!いや……ちゃんこ鍋は冬の季語っぽいからこれはハイクだ!」サクラが言いました。
「だが……俳句は死ぬ前に詠むものだ!」タイガが言いました。
「しまった!」サクラが言いました。
タイガがゴルフカートに乗り込みました。
「何……!?」サクラが言いました。
「ファイナルラップ!ダイガーオーバードライブ!」そう言ってタイガがゴルフカートでサクラに突進し始めました。
「くっ……!」そう言ってサクラがドライバーを投げ捨てました。
「そっちが兵器を持ち出すなら、こっちは敢えて丸腰で勝負だ!」そう言ってサクラが拳を構えました。
「何……!?」タイガが言いました。
「ハアアアアアアアッ!」サクラが向かってくるタイガのゴルフカートに向けてパンチを繰り出しました。
「ウアアアアアアアッ……!」サクラのパンチでゴルフカートがふっ飛ばされて爆発し、タイガが倒れました。
「フェアウェイキープ……私の勝ちだ!」サクラが言いました。
サクラが周囲を見回しました。
「あれ……?誰もいない。マズい。帰ろう。」そう言ってサクラはその場を離れました。
おわり




