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マジカルゴルフ #2

 その日、ハルナはアジトでミチコと話をしていました。

「そう言えばさ……。」ハルナが言いました。

「何……?」ミチコが言いました。

「ふと思ったんだけど、ミチコちゃんってゴルフ得意……?」ハルナが言いました。

「いきなりどうしたワケ……?」ミチコが言いました。

「いや……魔法庁に協力してた頃の知り合いが三ケ月後にあるゴルフのイベントに出るって話を思い出して……。」ハルナが言いました。

「三ケ月後……?それって真冬じゃない?」ミチコが言いました。「どうせやるなら駅伝にすれば良いのに……。」

「冬だとゴルフ場が安く使えそうだし、だから冬なんじゃないかな?」ハルナが言いました。「政府主催のイベントだし……。」

「ケチ臭い理由ね。尤も、私達への仕事の報酬さえしっかり払って貰えれば、後のことはどうだって良いけど……。」ミチコが言いました。

「それはそうと、ミチコちゃんはゴルフ得意なの?」ハルナが言いました。

「得意どころか、ルールすら知らないわ。」ミチコが言いました。

「そっか……。」ハルナが言いました。「ミチコちゃん世俗に疎いもんね。」

「いや……そこまで疎く無いから……!」ミチコが言いました。「と言うか、ハルナだってゴルフはやったことないんじゃない?」

「確かにやったことは無いけれど、ルールくらいは知ってるよ。」ハルナが言いました。

「例えば……?」ミチコが言いました。

「変な方向にボールを打ったらファーって言うの。」ハルナが言いました。

「それくらいなら私だって知ってるわ。」ミチコが言いました。

「えっ……?知ってたの?」ハルナが言いました。

「ええ。」ミチコが言いました。

「意外……。」ハルナが言いました。

「どんだけ私を無知だと思ってたの……?」ミチコが言いました。

「スポーツや音楽にも疎くて、さらにはポケモンのタイプを全部言えないレベル。」ハルナが言いました。

「ポケモンのタイプくらい全部言えるわよ。」ミチコが言いました。「それに、実際ハルナだってスポーツは疎いでしょ?」

「うん……。」ハルナが言いました。

「音楽だって、ハルナが知ってるのはオタクソングばかりじゃない?」ミチコが言いました。

「アニソンはクールなのが多いから正義だよ。」ハルナが言いました。

「まあ音楽に関してはいちいち口を挟むつもりは無いけど……。」ミチコが言いました。

「とりあえずゴルフに関しては最低限のルールくらいは知ってると……。」ハルナが言いました。

「ファーって言うのが最低限のルールなのかは知らないけど……バンカーやウォーターハザードくらいまでなら知ってるわ。」ミチコが言いました。

「その自慢は要らないね。」ハルナが言いました。

「自慢して無いわよ。」ミチコが言いました。

「まあ、せっかくだし、今から練習場にでも行ってみる?」ハルナが言いました。

「えっ……?面倒臭いんだけど……。」ミチコが言いました。

「おっ?ひょっとして負けるのが怖いの?」ハルナが言いました。

「負けるも何も……打ちっぱなしでしょ?」ミチコが言いました。

「打ちっぱなしで負けるのが怖いんだ?」ハルナが言いました。

「えっ……。そこまで言うなら打ちっぱなしで勝負してあげるわよ!」ミチコが言いました。


 ハルナとミチコはゴルフ練習場へとやって来ました。

「覚悟は出来てる?」ハルナが言いました。

「ええ。」ミチコが言いました。

「これが命を懸けた闇の打ちっぱなし対決でも……?」ハルナが言いました。

「そんな対決存在しないでしょ。」ミチコが言いました。

「あるかも知れないよ?」ハルナが言いました。

「あるとしたら普通の対決とどう違うの?」ミチコが言いました。

「対決中にプレイヤーにリアルダメージが発生する上、敗者には命を落とす罰ゲームが待ってるの。」ハルナが言いました。

「リアルダメージって何……?どのタイミングで発生するの?」ミチコが言いました。

「そりゃあ……相手に攻撃された時だよ。」ハルナが言いました。

「打ちっぱなしに相手を攻撃するルールなんて無いから……。」ミチコが言いました。

「闇の打ちっぱなし対決にはあるんだよ!」ハルナが言いました。

「まあどっちにしてもこれは普通の打ちっぱなし対決よ。」ミチコが言いました。

「それはどうかな?」ハルナが言いました。

「命を懸ける?一応言っとくけど、その場合死ぬのはあなたよ。」ミチコが言いました。

「この私が勝負する以上、命を失う以上の苦しみが敗者には待ってるんだよ。」ハルナが言いました。

「どんな苦しみ……?」ミチコが言いました。

「想像出来ないみたいだね。知らないの、この練習場には飲み物を売ってる自動販売機があることを?」ミチコが言いました。

「自動販売機……?まさか……!」ミチコが言いました。

「そのまさかだよ!この対決に負けた者は勝った者に飲み物をおごる!」ハルナが言いました。

「なるほど。ジュースを賭けた打ちっぱなし対決ってワケね。」ミチコが言いました。

「逃げ出すなら今の内だよ?」ハルナが言いました。

「まさか……!その勝負、受けて立つわ!」ミチコが言いました。

「そう来なくっちゃ!」ハルナが言いました。

「先攻は貰うわ!」そう言ってミチコがドライバーを構えました。

「一撃で決めさせて貰うわよ!」ミチコが言いました。

「ハアッ!」ミチコがドライバーでボールを打ちました。

「あっ……!」ハルナが言いました。「思ったよりも上手い。」

「フッ!決まったわね!」ミチコが言いました。「三百ヤードは行ったんじゃない?」

「いや、そんなに行ってないでしょ。」ハルナが言いました。

「いや、行ったわ。」ミチコが言いました。

「ちゃんと見てた?」ハルナが言いました。

「いや……。」ミチコが言いました。「ハルナは……?」

「いや……。」ハルナが言いました。

「じゃあ三百で決まりね!」ミチコが言いました。

「たかが三百ヤードで良い気になるのも今の内だよ!次の私のターンでミチコちゃんの敗北は確定する!」ハルナが言いました。

「な……!ただのハッタリね!私の飛距離は三百ヤード!あなたがどんなに足搔いたところで私の勝利は揺るがないわ!」ミチコが言いました。

「私のターン!」そう言ってハルナがドライバーを構えました。

「くっ……!」ミチコが言いました。

「フッ!来たよ。」ハルナが言いました。

「何が……?」ミチコが言いました。

「勝利の方程式は全て揃った!」ハルナが言いました。

「バカな!この状況を覆すことなんて出来るハズ無い!」ミチコが言いました。

「ハアアッ!」ハルナがドライバーでボールを打ちました。

「そんな……!」ミチコが言いました。

「おっ……!飛んだ。」ハルナが言いました。

「あの追い詰められた状況からロングドライブを打つなんて……!でも、飛距離は私の方が上だわ!」ミチコが言いました。

「それはどうかな!?」ハルナが言いました。

「な……!」ミチコが言いました。

「私の飛距離は三百十ヤード!だから私の方が飛距離は上だよ!」ハルナが言いました。

「そんなハズ無いわ!今の飛距離は精々二百五十ヤードよ!よってこの勝負、私の勝ちよ!」ミチコが言いました。

「そんなこと無いよ!私の勝ちだよ!」ハルナが言いました。

「こうなったら直接対決で決着をつけるしか無いようね!」そう言ってミチコがドライバーを構えました。

「これは闇の打ちっぱなし対決じゃないからそれは反則だよ!」ハルナが言いました。

「ああ。そうだったわね。」そう言ってミチコがドライバーを下ろしました。

「じゃあ、どうやって決着をつける?」ミチコが言いました。

「よし!それじゃああそこの“50”って書かれた看板!アレの近くに打った方の勝ちってことで……?」ハルナが言いました。

「所謂ニアピンね!あの距離ならボールも見失わないだろうし、良いんじゃない?」ミチコが言いました。

「今度は私が先攻で行くよ!」そう言ってハルナがドライバーを構えました。

「今度こそ私の完全勝利で終わらせる!この一撃に全てを……!」ハルナが言いました。

「サイレント・オナーズ・アーク・ショット!」ハルナがドライバーでボールを打ちました。

「どうやら全然違うところに飛んだようね。」ミチコが言いました。

「狙って打つのムズいな。」ハルナが言いました。

「ザンネンだったわね!これで私の勝利は確実となったわ。」ミチコが言いました。

「勝負は最後まで分からないよ。」ハルナが言いました。

「ハッ!何を戯言を言っているの?この状況、どう考えても私の勝ちじゃない!」ミチコが言いました。「カルピスを買ってね。」

「良いから早く打ちなよ。」ハルナが言いました。

「そうね。そろそろラクにしてあげるわ。」そう言ってミチコがドライバーを構えました。

「フッ!」ミチコがドライバーでボールを打ちました。

「あっ……!」ミチコが言いました。

「やった!大ハズレ!」ハルナが言いました。「やっぱりミチコちゃんは運動音痴だね!」

「いや……!違うわ!それでも負けてない!私の方が“50”に近いわ!」ミチコが言いました。

「それは無いよ!私の方が“50”に近いよ!」ハルナが言いました。

「それは目の錯覚よ!実際には私の方が近いわ!」ミチコが言いました。

「いや、これはもう私の方が近いでしょ?ミチコちゃんのはダボだね!」ハルナが言いました。

「ダボじゃない!」ミチコが言いました。

「じゃあ……ファーだよ!」ハルナが言いました。

「それ言ったらハルナもファーじゃない。」ミチコが言いました。

「ぐっ……!」ハルナが言いました。

「しょうがない。ここはもう引き分けとするしか無さそうね。」ミチコが言いました。

「うん。」ハルナが言いました。

 その後、ハルナとミチコは自動販売機で乳酸菌飲料を買って飲み始めました。

「いやあ、打ちっぱなし対決って奥が深いね。」ハルナが言いました。

「そうね。でも、命を懸けた闇の打ちっぱなし対決だったら私が勝ってたハズだわ。」ミチコが言いました。

「そんなこと無いよ。私はティーショットも強いけど、打ち合っても強いんだよ。」ハルナが言いました。

「言わせといてあげるわ。」ミチコが言いました。


 おわり

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