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マジカルゴルフ #13

 その日、ミチコは部屋でマーシャと話していました。

「今夜、この町に大量の宝玉が輸送されるという情報を手に入れましたわ。」マーシャが言いました。

「大量って、どれくらい……?」ミチコが言いました。

「それはもう、たくさんですわ!」マーシャが言いました。

「ちょっと怪しい感じもするわね。」ミチコが言いました。「警察の仕掛けたトラップなんじゃないの?」

「その可能性も考えられますけど、本当に宝玉が運ばれてくる可能性も否定出来ませんわ。」マーシャが言いました。

「ま、何もしないのも退屈だし、手を出してみるのも悪くないかも知れないわね。」ミチコが言いました。

「それでこそ私のパートナーですわ!」マーシャが言いました。

「それじゃ、早速行ってくるわね。」そう言ってミチコは部屋を出ました。


 その後、ミチコが袋を抱えて部屋に戻ってきました。

「戻ってきましたわね!」マーシャが言いました。「その袋の中に宝玉が……?」

 ミチコがその袋の中身をマーシャに見せました。

「これは……!」マーシャが言いました。

「見ての通り、ゴルフボールよ。宝玉なんかじゃ無かったわ。」ミチコが言いました。「一応玉ではあるけどね。」

「どうやら情報の一部に誤りがあったみたいですわね。」マーシャが言いました。

「せっかく手に入れてきたんだし、一応コレクションに加えとく?」ミチコが言いました。

「うーん……。私、ゴルフボールにはあまり興味がありませんの。」マーシャが言いました。

「そうよね。」ミチコが言いました。

「申し訳ありませんわ。」マーシャが言いました。

「それにしても、わざわざ大量のゴルフボールを買い込むなんて、金持ちの考えることはよく分からないわ。」ミチコが言いました。

「そうですわね。」マーシャが言いました。

「とりあえず、このまま部屋に置いといても仕方が無いし、捨てちゃおうかしら。」ミチコが言いました。

「少々勿体無い気もしますけど、仕方がありませんわね。」マーシャが言いました。

「えっと……ゴミ出しの日は……。」そう言ってミチコはカレンダーに目を向けました。

「あ……。」ミチコが言いました。

「どうしましたの?年末年始もゴミ収集は行われているのではありませんこと?」マーシャが言いました。

「そう言えばクリスマスよね。」ミチコが言いました。

「そうですわね。」マーシャが言いました。

「せっかくだし、この大量のゴルフボール、町の子供達にプレゼントしちゃうってのはどうかしら?」ミチコが言いました。

「面白そうな考えではありますけど……。」マーシャが言いました。「無駄手間ではありませんこと?」

「義賊ってのがどんな気持ちなのか、味わってみるのも一興よ。経験こそ宝だわ。」ミチコが言いました。

「あなたらしいですわね。」マーシャが言いました。

「それじゃ、ちょっと行ってくるわ。」ミチコが言いました。

「行ってらっしゃいませ、サンタクロース。」マーシャが言いました。


 そしてミチコは各家庭に侵入して一個ずつゴルフボールを置いて回りました。


 次の日、ミチコは部屋でマーシャと話していました。

「昨日のサンタクロースの件、SNSでちょっとした話題になっていますわよ。」マーシャが言いました。

「本当ね。普段起こすような事件の場合はすぐに情報が消されちゃうけど、今回はいつもと趣が違うからか情報操作が追いついていないみたいね。」ミチコが言いました。

「義賊になった気分はどうでしたの?」マーシャが言いました。

「疲れるだけで大して面白くは無かったわね。」ミチコが言いました。

「それは残念でしたわね。」マーシャが言いました。

「まあ、それを知ることが出来ただけでも十分な成果よ。」ミチコが言いました。

「そうでしたわね。」マーシャが言いました。


 その頃、大企業の一つであるゴーフ・コーポレーションの幹部陣であるトップ・オブ・ペンタゴンが緊急会議を開いていました。

「何者かが子供達にゴルフボールを配布して回ったことで、ゴルフが子供達の間で広がり始めているようだな。」ゴーフ1が言いました。

「しかも小学生達は独自のルールを勝手に作ってゴルフをプレイしているみたいだな。」ゴーフ2が言いました。

「ゴルフは大人の娯楽だ。それを子供達が勝手に嗜むなど、本来あってはならないことだ。」ゴーフ3が言いました。

「いかにも!政府は一刻も早く未成年ゴルフを違法にするべきだ!」ゴーフ4が言いました。

「今となってはそれも難しいだろうな。」ゴーフ5が言いました。

「くっ……!」ゴーフ1が言いました。

「そもそも一体誰がゴルフボールを子供達に……?」ゴーフ2が言いました。

「それなら調べがついている。ある筋からの情報によると、Xとかいう魔法少女が昨夜大量のゴルフボールを盗んだらしい。」ゴーフ3が言いました。

「魔法少女だと……!?」ゴーフ4が言いました。

「少女……つまり子供の仕業だったというワケか。」ゴーフ5が言いました。

「子供達め。」ゴーフ1が言いました。

「かくなる上は一刻も早くゴルフを我々大人達の手に取り戻さねばなるまい。」ゴーフ2が言いました。

「いや。まずはそのXとかいう魔法少女に大人達の恐ろしさを思い知らせることが先決だ。」ゴーフ3が言いました。

「ああ。そうだな。大人達の威信にかけて、Xを始末するぞ。」ゴーフ4が言いました。

「その為の策を練るとしよう。」ゴーフ5が言いました。


 ミチコとマーシャは再び部屋で話をしました。

「どうやら今夜、ゴーフ・コーポレーションが黄金のゴルフクラブを運び込むみたいですわ。」マーシャが言いました。

「ゴルフボールの次はゴルフクラブを盗むワケ……?」ミチコが言いました。

「私、実のところ宝石は好きですけど金には然程興味はありませんの。それでも、あなたが興味を抱くのであればと思いまして……。」マーシャが言いました。

「確かに……ボールを盗んだならクラブも盗まないといけない感じはするわよね。」ミチコが言いました。

「ちなみに、ドライバーからパターまで一式揃っているとのことですわよ。」マーシャが言いました。

「また……お金のかかっていること……。」ミチコが言いました。

「ゴーフ・コーポレーションでは伝統的に接待でゴルフが行われていたらしいですわ。ゴルフは会社にとって特別な競技なのかも知れませんわね。」マーシャが言いました。

「何でも良いわ。」ミチコが言いました。

「とりあえずせっかくだから、行ってくるわね。」そう言ってミチコは部屋を出ました。


 ミチコがとある建物の屋上からとある保管庫を眺めていました。

「あそこに黄金のクラブが……。」ミチコが言いました。

「変身!」ミチコが変身しました。


 ミチコはその保管庫から黄金のクラブの入ったゴルフバッグを手に入れ、塀を乗り越えました。

 その瞬間、無数のライトによってミチコの姿が照らし出されました。

「うっ……!」ミチコが怯みました。

「何……?」ミチコが言いました。

「ハハハハハッ!かかったな!」ゴーフ1が言いました。

「誰……あなた達……?」ミチコが言いました。

「我らこそゴーフ・コーポレーションの幹部、トップ・オブ・ペンタゴンだ!」ゴーフ2が言いました。

「トップ・オブ……ペンタゴン……?」ミチコが言いました。

「魔法少女X、聖なる夜に神聖なるゴルフを穢したその罪に対し、我らはこの場で罰を与えることに決定した!」ゴーフ3が言いました。

「そしてその処刑場こそがここだ!」ゴーフ4が言いました。

「こ……ここは……!」ミチコが言いました。

「そう!これこそ我らが貴様を処刑する為に用意した、死の打ちっぱなしだ!」ゴーフ5が言いました。

「死の……打ちっぱなし……?」ミチコが言いました。

「そうだ!」ゴーフ1が言いました。

「これより我らが貴様にティーショットをお見舞いする!」ゴーフ2が言いました。

「貴様は次々飛んでくるゴルフボールの雨に打たれ、命乞いをする間も無くその命を落とすのだ!」ゴーフ3が言いました。

「くっ……!」ミチコが言いました。

「さあ、覚悟は良いか?」ゴーフ4が言いました。

「食らうが良い!」ゴーフ5が言いました。

 次の瞬間、トップ・オブ・ペンタゴンの面々がミチコに向けて一斉にゴルフボールを打ち始めました。

「甘いわね!」そう言ってミチコは次々飛んでくるゴルフボールをかわしました。

「バカな!」ゴーフ1が言いました。

「ゴルフボールが当たらないだと!?」ゴーフ2が言いました。

「そんな簡単に当てられるワケ無いじゃない。ましてやこっちは魔法少女よ。」ミチコが言いました。「そしてそっちは……。」

「くっ……!息が……!」ゴーフ3が言いました。「これ以上はもう打てん!」

「大企業の幹部なんて言っても、所詮は体力の無いオッサンね!」ミチコが言いました。

「お……おのれ……!」ゴーフ4が言いました。

「かくなる上は……!」そう言ってゴーフ5がゴルフボールを発射する機械を取り出しました。

「死ね!」ゴーフ5がその装置を使ってゴルフボールを高速で打ち出しました。

 ミチコはライトに照らされたままその塀の前を横に走って飛んでくるゴルフボールをかわしました。

「何……!?」ゴーフ1が言いました。

「この攻撃すらもかわすだと……!?」ゴーフ2が言いました。

「これが若者の体力か……!」ゴーフ3が言いました。

「我らの……負け……?」ゴーフ4が言いました。

「子供……恐るべし!」ゴーフ5が言いました。

 ミチコはそのまま走ってその場を去りました。


 ミチコはそのゴルフバッグを抱えて部屋に戻りました。

「今度の体験はいかがでした?」マーシャが言いました。

「まあ……多少の学びはあったかしらね。」ミチコが言いました。

「どのような学びがありましたの?」マーシャが言いました。

「えっと……。まあ、無駄な手間をかけて物事が上手くいくのは体力がある内だけってことね。」ミチコが言いました。「精々私も気をつけることにするわ。」


 おわり

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