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マジカルゴルフ #12

 その日、ハルナとサクラはとあるゴルフ練習場を訪れ、ゴルフの練習という名目で会話を満喫していました。

「チャー、シュー、メーン!」サクラがドライバーでボールを打ちました。

「ナイスチャーシュー!」ハルナが言いました。

「ぶっとビングだぜ!」サクラが言いました。

「てか何でチャーシュー……?」ハルナが言いました。「ゴルフ始めた頃はダサくてやってらんないとか言ってなかったっけ?」

「ある程度上達してくると、こういうオーソドックスなやり方も悪くないと思えてくるもんで……。」サクラが言いました。

「そんなやり込んでんの?」ハルナが言いました。

「いや……。ゴルフ自体ご無沙汰です。」サクラが言いました。

「じゃあ上達も何も無いじゃん。」ハルナが言いました。

「いやあ、最近何もかも値上がりし過ぎてて、ラーメン屋でチャーシュー麵を頼むのも何だか憚られるようになってきてるんですよね。」サクラが言いました。

「それ分かる。ネギまでトッピングしたらいよいよ高級料理と化すよね。」ハルナが言いました。

「値段見て食欲下がるのイヤなんで、結局カップ麺になっちゃったり……。」サクラが言いました。

「それ体に悪いんじゃない?」ハルナが言いました。「ポテチ主食の私が言うのもアレだけどね。」

「ポテチ主食なんですか、ハルナさん?」サクラが言いました。

「ちょっと盛ったかも……。ポテチはたくさん食べるけど、主食にしようとするとすぐに飽きちゃう。」ハルナが言いました。「袋開けてすぐ食べられるからラクではあるんだけどね。」

「じゃあやっぱりカップ麺ですか?」サクラが言いました。

「牛丼屋で定食かなー?」ハルナが言いました。

「丼屋で定食なんですね。」サクラが言いました。「丼じゃなくて。」

「丼の値段そこそこするから、もういっそ定食の方が良いんじゃないか説あるよ。」ハルナが言いました。「それこそ並のラーメンよりは安いしね。」

「なるほど。」サクラが言いました。

「週に一度でも良いから六千円使って焼肉食べ放行きたい。」ハルナが言いました。

「それはヤバ過ぎですよ。六千円とか和牛食べられるコースじゃないですか。」サクラが言いました。

「それやるくらいなら三千円の一番安いヤツ二回……それよりもW定食ってなっちゃうよね。」ハルナが言いました。

「そうですねー。」サクラが言いました。

「てかサクラちゃん高給取りのイメージあるけど、違うの?」ハルナが言いました。

「魔法庁は隠された機関ですから、他の機関と違って低予算なんですよ。」サクラが言いました。

「それで職員の給料も安いと……?」ハルナが言いました。

「特に魔法少女は……。」サクラが言いました。

「国民の生活を守っているのに大変だねー。」ハルナが言いました。

「やらなかったらやらなかったで、誰も生活していけなくなっちゃうから、多少不自由があっても頑張りますよ。」サクラが言いました。

「さすがサクラちゃん。偉い!」ハルナが言いました。

「ハルナさんも好い加減泥棒なんて辞めてこっちに来ません?きっと歓迎されますよ。」サクラが言いました。

「今の政府だって泥棒みたいなもんじゃん。泥棒辞めて泥棒になるっておかしくない?」ハルナが言いました。

「魔法庁は違います。」サクラが言いました。

「そうだとしても、泥棒組織の一員であることに変わりはないね。」ハルナが言いました。

「そこを突かれると痛いです。」サクラが言いました。

「まあ、応援はしてるよ。私はただの悪党だけど、政府は悪事を働く一方で国民を生かす仕事もこなしてる。要するに、()()()()()じゃなくて、()()()()()()()()()()()()だね。」ハルナが言いました。

「そんなに褒められてる感じがしない。」サクラが言いました。

「それはアレだよ。あまり他人を褒め過ぎると、ただでさえ低い自己肯定感が無くなっちゃうから仕方が無いんだよ。悪党は財布だけじゃなくて心も貧しいってことだね。」ハルナが言いました。「てなワケでジュースおかわり!」

「自分のお金で買ってくださいよ!」サクラが言いました。「そもそもハルナさんそんなに貧乏じゃないでしょ?」

「いや、どう見ても貧乏でしょ。」ハルナが言いました。

「私達が、自分達でもみ消したXの事件の数を把握していないとでも……?」サクラが言いました。

「Xの事件なんて殆どあの子一人でやってることだから、私に声がかかることなんて滅多に無いよ。それに、盗んだ品物は換金してるワケじゃなくてあの子の妖精のコレクションになってるみたいだしね。」ハルナが言いました。

「そうだったんですね。」サクラが言いました。

「まあ、私の稼ぎなんてたまにXから貰える協力費と同じくたまにツバキさんから貰える汚れ仕事代くらいで、バイト程度のもんだよ。」ハルナが言いました。

「家賃と光熱費は私達が負担してますけどね。」サクラが言いました。

「正当な報酬だよ。」ハルナが言いました。

「まあ……。」サクラが言いました。

「ジュース奢って?」ハルナが言いました。

「しょうがないですね。」そう言ってサクラはジュースを買いました。

「いやー、この場所で飲むジュースは最高だね。」ハルナが言いました。「開放感があって良い!」

「それに懐も痛んでませんしね。」サクラが言いました。

「ところで何の話してたっけ?」ハルナが言いました。

「私が貧乏な話です。」サクラが言いました。

「あーそっか。我が国の貧困問題についてか。せっかく私達が闇の力とかから平和を守ってるってのに、それとは無関係にこの国滅びそうだよね。」ハルナが言いました。

「話が暗い。こんな話は止めて、たまにはハルナさんも打ってみません?全然打たないじゃないですか。」サクラが言いました。

「私はこの椅子に座りに来てるんだから……。」ハルナが言いました。

「ここゴルフする場所ですよ?座ってジュース飲むだけなら公園でも出来るじゃないですか。」サクラが言いました。

「この一個人に与えられた絶妙なスペースが良いんだよ。」ハルナが言いました。

「それはそれとして、せっかくですし少しは打ちません?」サクラが言いました。

「今日はゴルフ中止!」ハルナが言いました。

「ええっ……?」サクラが言いました。「何でですか!?」

「万博。」ハルナが言いました。

「えっ……?」サクラが言いました。

「今万博やってるじゃん。」ハルナが言いました。

「はい。」サクラが言いました。

「万博の話しようよ。」ハルナが言いました。

「何で……?」サクラが言いました。

「ゴルフと万博が戦ったらどっちが勝つと思う?」ハルナが言いました。

「何ですかその怪獣映画みたいなノリ……!?」サクラが言いました。

「どっちが勝つと思う?」ハルナが言いました。「ゴルフと、万博。」

「そりゃあ……万博じゃないですか?」サクラが言いました。

「どうして?」ハルナが言いました。

「だって万博ですよ?超歴史的イベントじゃないですか。」サクラが言いました。

「そう言いながら万博に行かずにここで打ちっぱやってんじゃん。」ハルナが言いました。

「そりゃあ、万博とかビッグイベント過ぎて私なんかには……。」サクラが言いました。

「そんなこと言って、ホントは興味無いだけだよね?」ハルナが言いました。

「そ……それは……。」サクラが言いました。

「少なくとも、私は興味無い。」ハルナが言いました。

「ま……まあ……。」サクラが言いました。

「興味は無いとは言ったものの、否定するつもりも無いよ。いくらネットのご時世とはいえ、ネットだけでは十分な体験が出来るとは言えないし、それに、お祭りごとは概してはまれば楽しめる。」ハルナが言いました。

「じゃあ問題点はどこにあるんです?やっぱり予算のかけ過ぎですか?」サクラが言いました。

「問題点……?」ハルナが言いました。

「はい。問題点ありきの論調になってるじゃないですか。」サクラが言いました。

「問題点があるとするなら、戦う相手がゴルフであることだね。」ハルナが言いました。

「な……!」サクラが言いました。

「私的な尺度から言って、ゴルフと万博の攻撃力って同じだと思うんだ。」ハルナが言いました。

「そ……そんなワケ無くないですか?ゴルフと万博だったら万博の方が攻撃力が上でしょう!?」サクラが言いました。

「それはサクラちゃん的な尺度だよね。」ハルナが言いました。「私のは違う。」

「おおおお……!エビデンスが全くない!最早一周回って斬新まである!」サクラが言いました。

「エビデンスか……。万博もテレビで放送されるけど、ゴルフだってテレビで放送されるじゃん?」ハルナが言いました。「よって互角。」

「ヤバい。完全に番組の内容に興味が無い人の視点だ。」サクラが言いました。

「サクラちゃんは内容に興味あるの?」ハルナが言いました。

「そう言われると……。」サクラが言いました。

「じゃあ良いじゃん。」ハルナが言いました。

「なるほど。確かにその視点だと瞬間火力は互角と言えるのかも知れません。でも、継戦能力はどうでしょうか?ゴルフツアーなんて精々四日とかその程度、それに対して万博は百八十四日ですよ?一回のゴルフツアーよりも半年も多く戦えるんですよ?これはもう万博の強さを物語っているのでは……?」サクラが言いました。

「語るに落ちたね。」ハルナが言いました。

「え……?」サクラが言いました。

「確かに一回のゴルフツアーは短いかも知れない。でも、その分開催頻度が高い!武器で例えるならアサルトライフルみたいなもんだね。頻度だけで言えば万博なんて火縄銃!」ハルナが言いました。

「いや、威力がありますから、そこはロケランでは……?」サクラが言いました。

「じゃあ考えてみよう。アサルトライフルとロケットランチャー、どっちが強いと思う?」ハルナが言いました。

「うーん……。そう言われると、比べにくいかも知れない。どっちも強いって結論に落ち着く予感が……。」サクラが言いました。

「そうだよ。だからゴルフと万博が戦ったら、決着がつかずに世界が滅びる!これが答えだね。」ハルナが言いました。

「世界……滅びちゃうんですね。」サクラが言いました。

「そりゃあもう……。」ハルナが言いました。

「で、何でこんな話してるんでしたっけ……?」サクラが言いました。

「つまり、万博開催期間中、私はゴルフボールを打つのを自重するってこと。」ハルナが言いました。

「まあ、良いでしょう。」サクラが言いました。


 おわり

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