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マジカルゴルフ #1

 その日、サクラはシオンに呼び出されました。

「お呼びですか、シオンさん。」サクラが言いました。

「ああ。上の決定によりこの度警察庁とゴルフ対決をすることになった。」シオンが言いました。

「ゴルフ対決……魔法庁と警察庁とでですか?」サクラが言いました。

「そうだ。」シオンが言いました。

「ふむ……。」サクラが言いました。

「お互いに代表を一人選出してその代表同士でゴルフ対決をすることになっている。」シオンが言いました。

「ひょっとしてその代表を私に押し付けるつもりじゃ……?」サクラが言いました。

「不満か……?」シオンが言いました。

「いえ……そういうワケじゃ無いんですけど……。」サクラが言いました。

「表向きには両機関の親睦を深める為の企画ということになっているが、これは実際にはお互いの威信をかけた対決となるだろう。その勝敗は来年度の予算にも影響を及ぼしかねないぞ。」シオンが言いました。

「そんなに……?」サクラが言いました。「どうして……?」

「ゴルフだからだ。」シオンが言いました。

「はい?」サクラが言いました。

「わが国の国技は野球でも駅伝でも、ましてや相撲でもありはしない。」シオンが言いました。「ゴルフだ。」

「スモーだと思ってました。」サクラが言いました。

「そのゴルフで敗北したとなれば我々の存続にも関わり得る事態となる。この勝負を任せられるのはサクラ、お前を置いて他にいない。」シオンが言いました。

「そこまで言うならやりますけど、私ゴルフやったことありませんよ。」サクラが言いました。「まあ、スモーもやったことありませんけど……。」

「大丈夫だ。お前の実力なら何でもすぐにマスター出来る。」シオンが言いました。「ただし相撲をマスターする必要は無いぞ。」

「はい。」サクラが言いました。

「対決は半年後だ。それまでに準備を整えて置いて欲しい。」シオンが言いました。

「分かりました。」サクラが言いました。


 後日、サクラはゴルフ練習場を訪れ、ゴルフの練習を行いました。

 サクラが一人で黙々とティーショットの練習をしていると、ハルナが姿を現しました。

「やあ、サクラちゃん。」ハルナが言いました。

「ハルナさん……!?」サクラが言いました。「どうしてここに……?」

「ランちゃんに教えて貰ったんだ。」ハルナが言いました。

「ランさんが……?」サクラが言いました。

「ゴルフやるんだって?」ハルナが言いました。

「そうなんですよ。練習をしたいんですけど、半年しか無くて……。」サクラが言いました。

「半年もあるじゃん。」ハルナが言いました。

「半年なんてあっという間ですよ。」サクラが言いました。「この町では……。」

「確かに……ここ最近になって急に時間が経つのが早くなった気がするよ。」ハルナが言いました。

「それはそうと、ハルナさんゴルフ得意なんですか?」サクラが言いました。

「そんなワケ無いじゃん!」ハルナが言いました。

「じゃあ何しに来たんです?」サクラが言いました。

「見学だよ、見学。ヒマだからさ。」ハルナが言いました。

「見て楽しいもんじゃありませんよ?」サクラが言いました。

「でも、座り心地の良さそうなイスがあるよ?」ハルナが言いました。

「そのイスに座りたいならどうぞご自由に……。」サクラが言いました。

「あそこに自販機もある!サクラちゃんおごって!」ハルナが言いました。

「ええっ……!?何でですか!?」サクラが言いました。

「だって、サクラちゃん上からも期待されててお金持ってそうじゃん。私なんて今は干されてるし……。」ハルナが言いました。

「しょうがないですね。」サクラが言いました。

「ありがと、サクラちゃん!」そう言うとハルナはサクラの財布を取って自動販売機で飲み物を買い、いすに腰掛けました。

「このサイフは私によく懐いてるね。そう思わない?」ハルナが言いました。

「飲み物買うくらいなら別に良いですけど、ちゃんと返して下さいよ?」サクラが言いました。

「分かってるって。それより早く打ってみせてよ。」ハルナが言いました。

「じゃあ、見てて下さいよ?」サクラが言いました。

 サクラがドライバーでボールを打ちました。

「ファーッ!」ハルナが言いました。

「いや……!普通にナイショでしょ!?どこがファーなんですか!?」サクラが言いました。

「今のは精々インフィールドフライだよ。」ハルナが言いました。

「インフィールドフライ……!?それって何です?」サクラが言いました。

「知らない。」ハルナが言いました。

「何かそういうルールあるんですか?」サクラが言いました。

「ゴルフのルールには詳しく無いけど、とにかく今のじゃダメだよ。」ハルナが言いました。

「ええ……?」サクラが言いました。

「そもそもさ、掛け声が無いじゃん。」ハルナが言いました。

「掛け声……?」サクラが言いました。

「サクラちゃん、イギリスで暮らしてたのに中華料理好きでしょ?なんかゴルフする人ってチャーシューメンって叫ばない?」ハルナが言いました。

「そんなのダサくてやれませんよ。」サクラが言いました。

「まあ、確かにチャーシュー麺ってのはツウっぽく無いよね。」ハルナが言いました。「サクラちゃんならラーメンはどうする?」

「醤油ですかね。」サクラが言いました。

「普通だね。でも日本人ならやっぱり豚骨でしょ?それで、麺の固さとか油の多さとか味の濃さとか選ぶの。」ハルナが言いました。

「確かに、それこそなんか日本の国技っぽい。」サクラが言いました。

「国技……?」ハルナが言いました。

「いや……。」サクラが言いました。

「ひょっとしてちゃんこ鍋の〆はラーメン派……?」ハルナが言いました。

「そういう訳じゃ無いんですけど……。」サクラが言いました。

「私はやっぱり雑炊だね。」ハルナが言いました。

「雑炊……。」サクラが言いました。

「卵は二つ入れたい。」ハルナが言いました。

「一つで十分ですよ。」サクラが言いました。

「二つだよ。」ハルナが言いました。「うどんも入れたいね。」

「何の話してるんですか?」サクラが言いました。

「ゴルフだよ。」ハルナが言いました。「それとも……国技の話だっけ……?」

「いや……それには深いワケがあるんですよ。」サクラが言いました。

「ラーメンが日本の国技になる理由なんてロクなもんじゃ無いよね?」ハルナが言いました。

「いやあ……国技って何でしょうね?」サクラが言いました。

「よく考えたら日本の国技って相撲というよりは野球だよね。」ハルナが言いました。

「ゴルフじゃ無いんですか?」サクラが言いました。

「まあ、ゴルフでも良いけど……。」ハルナが言いました。

「少なくとも、スモーじゃ無いってのは共通認識なんですね。」サクラが言いました。

「いや、相撲でも良いよ?サクラちゃんの大好きなカードキャプターさくらの最終回も相撲だったワケだし。」ハルナが言いました。

「いや……!何でみんな私とカードキャプターさくらとを結び付けたがるんです!?」サクラが言いました。

「宿命だよ。」ハルナが言いました。「諦めて。」

「まあ、とっくに諦めてますけど……。」サクラが言いました。

「で、何の話だったっけ?」ハルナが言いました。

「ハルナさんが私のカンペキなショットに難癖付けてきたんですよ。」サクラが言いました。

「ああ。そうだったね。」ハルナが言いました。「アレは紛れも無くファーだったね。」

「ファーじゃ無いですって!専門用語で言うところのフェアウェイですよ!」サクラが言いました。

「フェアウェイ……!?」ハルナが言いました。

「はい。」サクラが言いました。

「それはそうと、そのクラブ自分の?」ハルナが言いました。

「支給品です。」サクラが言いました。

「魔法庁も気合入ってるね。」ハルナが言いました。

「そうなんですよね。何か気合入っちゃってると言うか……。」サクラが言いました。

「やっぱり良いクラブなの?」ハルナが言いました。

「それはモチロン!」サクラが言いました。「炭素繊維で出来てるんですよ!」

「炭素繊維……!」ハルナが言いました。

「そうです!宇宙開発にも使われてるあの炭素繊維です!」サクラが言いました。

「仮面ライダーフォーゼになれるじゃん!」ハルナが言いました。

「それはどうか分からないですけど……。」サクラが言いました。

「でもまあ、道具の自慢をするあたり、サクラちゃんもまだまだ素人だね。」ハルナが言いました。

「な……!」サクラが言いました。「はめましたね!?」

「と言うか、魔法庁が用意した割にありがちなカーボンファイバーのクラブなんだね。」ハルナが言いました。

「まあ、魔法を使うのはフェアじゃ無いですから……。」サクラが言いました。

「フェアウェイからファーアウェイしちゃうね。」ハルナが言いました。

「フフフフフッ……!」サクラが噴き出しました。

「ファーラウェーイ!」ハルナが言いました。

「笑わせないで下さいよ。」サクラが言いました。

「いや、そんなんで笑わないでよ。」ハルナが言いました。

「すみません。」サクラが言いました。

「やっぱりサクラちゃんはファーアウェイのファーだったね。」ハルナが言いました。

「もう……!だったらもうファーで良いですよ。」サクラが言いました。

「拗ねなくても良いじゃん!」ハルナが言いました。

「だってハルナさんがファーじゃ無いのにファーだって言うから……。」サクラが言いました。

「ゴメンゴメン。悪かったよ。」ハルナが言いました。

「そもそもハルナさんが飲んでるそのジュース、私のお金で買ったものでしょう?」サクラが言いました。

「いやー、人のお金で買ったジュースの味はサイコーだね!」ハルナが言いました。

「良かったですね。」サクラが言いました。

「ゴメン。ちゃんと見てるから……。」ハルナが言いました。

「約束ですよ?」サクラが言いました。

 サクラがドライバーでボールを打ちました。

「あー……。ファーだね。」ハルナが言いました。

「ファーでしたね。」サクラが言いました。

「叫んで良い?」ハルナが言いました。

「ダメです。」サクラが言いました。

「何で?」ハルナが言いました。

「本番ではゴルフ場を貸し切ってプレイするんで、他のプレイヤーはいないんですよ。」サクラが言いました。

「さすがは政府……。」ハルナが言いました。

「そうなんです。」サクラが言いました。

「まあ、それにどうせ特別ルールで相手プレイヤーに当てたら一打マイナスとか発生しそうだよね。」ハルナが言いました。

「いや……それはさすがに……。」サクラが言いました。「ヘルメットとかの用意した方が良いですか?」

「宿命だよ。諦めて。」ハルナが言いました。

「イヤですよ!」サクラが言いました。

「何にせよ、半年後が楽しみだね。」ハルナが言いました。

「全然楽しみじゃ無いんですけど……。」サクラが言いました。

「まあ、頑張って。」ハルナが言いました。

「頑張ります。」サクラが言いました。


 おわり

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