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亜麻色の髪の戦乙女現れる。

少し短めになります。

ー 速い。

一頭の軍馬に甲冑を纏った武者が乗り、槍を携えて疾走する姿が目に入った。

拙いのぉ……此れでは逃げ切れぬかも知れぬぞ。



エンタとタケアキの二人は、既に麦畑を抜け森に逃げ込んでおる。

……が、ハヤトは何故やら後ろをちらちらと振る向きつつ走っておる故にとても遅い。

「ハヤト!速う走らぬか!」

「え?でもヤスケが……」

チッ、何を抜かしておる?


「儂より弱っちぃ癖に何を言っておる?早う行けい!」

「え?酷い!」

酷いも糸瓜ヘチマもあるか!

向こうはまだ、単騎駆け故に何とかかるかもや知れぬが、後々囲まれてはどうにもならぬぞ!!


「ほれ!後ろを見てみぃ。騎馬が向かっておろう。」

「あ!う、馬が来てる?!」

今更、背後を見たハヤトが目を見開きそんな事を言い出した。

気付いて居らんかったのか!

視線を向けると更に悪い事に、他数頭の騎馬と多数の歩兵が屋敷から移動を始めていた。


「……鑑定!【 ※※※※※※=※※※=バシュ】 ー 『※※※※※※※※※。※※※で※※※※※※である。※※※※※※」うわぁ?!格上だぁ!」

煩い……黙っとれ。


「むっ、初動が早い。此処の兵達は余程訓練されておるな……」

下手に単騎駆けの騎馬を討ち取ろうにも、このままじゃと囲まれかねぬぞ。然も、下手に討ち取ろうものなら山狩りをしてでもしつこく追われそうじゃ……


「ハヤト!後ろは気にせずとも良い。さっさと逃げよ。」

「けど、話せば分かるんじゃないか?」

「問答無用で射かけられたら如何にする?話し合いとは立場が対等であって初めて成り立つのじゃぞ!」

ハヤトを怒鳴りつけ、先を急がせる。

ええぃ!如何にする?!


そう思っていると、騎馬は背後まで迫って来おった。

改めて近くで見れば、見た事も無い形状の金属の板鎧を纏った……女子おなこじゃった?!



兜より零れ落ちるは亜麻色の髪に、紺碧の瞳……年の頃は二十の中程であろうか?

異国の娘故に、何とも言えぬな。


異国の美醜など儂には分からんが……

中々、気の……意思の強そうな良き目付きをしておるな。


其の娘は槍の穂先を煌めかせ、儂の前に回り込み槍を手に身構え口を開いた。

『……Wo ist der verdächtige Mann hier?Wenn sie ein Bandit sind, der auf unser Territorium zielt, wird Ihnen nicht vergeben. Ansonsten ist es gut, schnell zu gehen.』



……は?





こ、此れはしたり!何を言っておるか全く解らぬぞ?!

魔人達や鮒供は普通に話しをしていただけに、此れは衝撃的な事であった。


拙い……此れは拙いぞ。

恐らくはこの娘は領主か領主家の人間であり、儂に対して誰何すいかの声を掛けておる事は、幾ら言葉が解らぬとてはっきりと予想できる。

……同じ立場であれば儂でもこの場合はそうする。


然し、言葉が全くと言っていい程解らぬ以上は如何にすれば良いのだ?!

一体全体、何と返答すれば良い?

儂がこの世界に来てより最大の窮地であった。


『Wie schließen Sie sich?Gibt es etwas, das Sie hinter Ihnen tun wollen?』

幾分声が低くなり、娘が言葉を続ける。

……あ、明らかに怒っておるな。

娘の眦が吊り上がり始め、槍を握る手にぎりぎりと力が入っておるのが、傍目に見てもはっきりとわかる程であった。


「儂らは通り掛かっただけじゃ!何もせぬ故に通してくれるだけで構わぬ。」

と言ってみたが……

『Worüber sprichst du? Sprechen Sie in den Worten, die Sie verstehen!』

拙いのぉ……

娘の形の良い眉が本格的に吊り上って来おったな。



◇◆◇◆◇



「其処におる不審な男、何処より参った?

我が領土を狙う賊であれば容赦はせぬ。

そうでなければ、さっさと立ち去るが良い。」

見た事も無い黒き甲冑を纏った賊に対して、槍を突き付け問い掛けたが……


何か衝撃的な事でもあったのか、固まったまま何も返答をして来ぬ。

もしや……私が女である故に舐めておるのか?!


「如何して押し黙る?何か後ろめたい事でもあるのか。」

と少し怒りが乗ってしまったが、極力落ち着き重ねて問い掛ける。


すると……

『侬偶然路过了那么!穿过不要的理由,什么不顾。』

などと意味不明な言葉で返しおった。


「何を言っておる?解る言葉で話せ!」

思わず怒鳴り返してしまったが、良く良く考えてみれば言葉が解らぬ以上、返事は出来ぬのであるのだが……私の知った事では無い。


何故ならば、今私が話しているのはこの地方では一般的な公用語ドルシュだ。

遠方や地方では方言や訛りが酷い場合もあるが、此の数百k m圏内では間違いなく通用する。

幾らこのバシュ領が辺境とは言えども……公用語を使えないと言う事は、隣国の間者か魔族・・。そして東の果てに住まう蛮族・・しか有り得ぬ。




バシュ領、領主代行である私、アダリーシア=フォン=バシュは、沸々と湧き上がる怒りに包まれ始めていた。




やっと女の子が出せました!

……一応はナマズも女の子だったんですけどね。

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