境界線
線を引く。
あなたとの間に。
一本、また一本と。
入れないように線を増やしていく。
同じ女子グループの中。友達の振りをして近付いてくる、あなた。
いい人の仮面を張り付けてる。
だけど残念。見抜いているんだ。
あなたは私を蔑む敵。仲良しなんかじゃない。
関わるたびに苛立ってくる。
大切な人を横から奪う図々しさも。
被害者ぶって周りを味方につけるあざとさも。
自分が正しいと疑わず、それを押し付けてくる態度も。
壊したいほど嫌いなんだ。
消えてくれ、と何度心に願っただろう。
けれど幾度となく線を引き離れようとしても。
あなたは愉しげに私の内側を踏み荒らす。
私を引き立て役にする。
水と油。
相容れないもの。
あなたとは、住む世界が違う。
たぶん一生分かり合えないし、分かり合いたくもない。
ぶつかることすら億劫なんだ。
あなたは私の苦しみなど考えない。
興味すら持たない。
あなたはただ、自分を輝かせたいだけの、薄汚い人間なのだから。
私みたいにはなれないでしょ、と。
あなたはまたも見下した笑顔をこちらに向ける。
煮詰めた怒り。狂おしいほどの憎悪。
教えてやるほど親切ではない。
目に見えぬ胸の奥底で。
一本、また一本と。
真っ黒になるまで魂を塗り潰す。
破裂しそうな悪意。
飲み込んでそっと距離を取る。
言葉という凶器は、まだあなたの首筋を捉えていない。
私が示すせめてもの優しさに。
気付かずもう一度それを踏み越えたなら。
その刹那、あなたの息の根を容赦なくとめるだろう。
この拒絶という冷たい刃によって。
純然たる悪意をぶつけられた時、あなたならどうしますか?