軍学校2
俺たちは訓練施設まで行き、そこで戦うことになった。
それを聞きつけた生徒たちも、ざわざわと動揺している。
レギウスは軍学校では一目置かれている存在なのだろう。
「ルールは、剣のみを使う。勝利方法は、相手を場外に出すか相手の首筋とかの急所に刃を当てる。
それだけだ。どんな形の剣でも構わねぇ。おまえ、剣は使えるよな?」
レギウスは俺の常に抜身の剣を指して言った。
「当たり前だ。早く剣を抜け。」
実力のあるやつと対戦すればポイントなんかは付くのだろうか...そんなことを思っていると、レギウスはその背中に携えていた刀を抜いた。剣身は70cmほどあり、だいぶ長かった。
「にしてもお前の服、ぼろ布みたいだな、やっぱり怪しい出のもんなのか?」
「...金が足りないだけだ。それとお前の剣だが、俺が勝ったら、そいつ、よこせ。」
「構わねえよ、作り直す気だったからな。審判はマルフ先生、お願いしますよ~」
剣の技量も磨いておきたい。新しいタイプの剣は欲しいところなのだ。
「だから私はマルフィスで...あぁ、もういいです。では、両者位置につき、構えを。」
レギウスと俺は、両者が剣を構える。相手がどう出るかは全くわからない...とにかく勝たねばならない。
「勝負ッ!」
先生の掛け声と同時に、レギウスの姿が目の前から消え去る。
どこに行った!?さっきまで確かにいたはずなのに...
「ここだ。」
後ろから聞こえた声と同時にすさまじい殺気が俺を襲う。
「っ...!」
ギリギリと刀と剣がぶつかり合う。俺は殺気の圧で鳥肌が立ってしまった。
「こいつを抑えたか、だが次はこうはいかないぜ?」
こいつの覇気と殺気...マジで俺を殺ろうとしていた。
レギウスはまた俺の前に現れた。
「その速さ...魔法か?」
「これは俺が編み出した歩方、《死歩》だ。人のまばたき、その一瞬に合わせて瞬時に後ろへと行くのだ。」
「なに...!?そんなのどうすることだってできないじゃないか!」
俺は理不尽さに怒り、地面に剣を打つ。
「ククク...強さを図る必要もなかったな...」
「くっ、来るな!」
俺は地面に何度も剣を叩きつける。
「心がくじけてしまえば剣を手放したのと同じだ...剣士失格だぜ?」
俺は後ずさりしながらレギウスから離れていく。その間も地面に叩きつける、いや、地面を盛り上げている。
観客席からは声援が聞こえる。今はまさにレギウスの独壇場だ。
「これでお前との戦いは、終了だ!」
そうしてレギウスが死歩を繰り出す。俺の首には刃が当てられ、試合は終わる。
誰もがそう思っていた。俺を抜いて。
レギウスはそこに、地面に転んでいた。
「な...何故...?」
「俺が逃げ惑ったのは、お前が怖くなったからじゃない、お前を油断させるためだ。お前は勝ちを確信して、注意なんかしなくなるからな。気付かなかったか?俺はお前が地面につまずくのを待っていたんだ。レギウス。」
俺が剣を突き刺そうとすると、さすがといったところか、レギウスはそれをよける。
「まだ終わったわけじゃねえ!もういちど死歩を繰り出してや___」
「俺はもう一つ罠を作っていた。お前、自分の立っているところを見てみろ。」
レギウスはそれを聞き、下を見る、そう、レギウスは場外に出てしまっていたのだ。
「レギウス、俺の勝利だ。お前ごとき、剣を当てる必要もないんだよ。」