青年Mの日常その1
魔法、それは誰もが憧れる、ファンタジーになくてはならないもの。
それがこの世界には太古から存在していた。人間は魔法と共存し、進化を遂げた。
しかし、進化の中である存在が誕生した。科学だ。
科学はみるみる人間の生活に入っていった。それを進歩という者もいれば、侵略という者もいる。
かくして、科学は魔法を自在に操れるようになるまで進歩した。___
___と、この「魔法科学今昔一章」には書いているが・・・なんとなく胡散臭い。というかまるで魔法がない世界があるみたいな言い方だ。そんなことを思いながら、俺は図書館から出る。こんなものを調べても、腹の足しにはならない。俺はいわゆる貧乏だ。というか貧乏なんてものじゃなくて、一文無しだ。
それもこれも、この国が戦争中でまともな仕事が見当たらないのだ。ここ、アルバキュリオ帝国は月宮軍事国家、通称月宮と戦争を半年前から続けている。じゃ、そんな状態の国で一文無しの俺がどう生活しているか、簡単である。
そんなことを考えながら、俺は図書館のすぐ横の裏路地へ入っていく。
「さて・・・今日のお客は、っと」
ここは、仕事の理由で近道をする奴らがよく通る場所で、脅して金を盗むのにはうってつけなのだ。
自慢の剣を脅しに使うのは多少気が引けるが、生きるためだ、仕方がない。
「おい、そこのお前!」
俺が大声で声をかけると、多少おびえた様子でそいつは返事をした。すかさず俺は
「命が惜しけりゃ金出しな!」
こう言った。典型的だがこれがまた効果が強いのだ。剣もちらつかせるので、効果は倍増である。
「ひ、ひぃぃぃッ!こ、これで勘弁してください!」
そういってその仕事人は5000オウル札を出した。
5000オウルか・・悪くはない。2日は生活できるだろうな。
「よし、行ってよし」「ひえぇぇ!」
ま、上々だな。牛丼食いに行くか。






