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初めての殺し

ブォンブォン

剣が空気を斬る音は好きだ。

二の腕が軋む。

「998、999、1000」

剣を握ったまま、汗を拭う。


心地よい風がサァっと森を通り抜けた。

空を見上げると木の葉の間から青空が見えた。


山菜の入った籠背負い、山道を歩き、村へ帰った。


村の入口にはザエルさんが剣を持って立っている。

ザエルさんは村で一番の戦士だ、そして俺の師匠でもある。


「ザエルさんお疲れ様です。」

「おう!」

と言いながら素晴らしい笑顔を見せてくれる。


この村は家屋が二十ほどあるだけの小さな村だ。

なので村には鍛冶屋も薬屋もないので、物を買うには歩いて三日ほどの街まで行かなければならない。


その後山菜と物々交換して、村の畑を手伝って家に帰る頃には昼になっていた。


昼飯を作り、昼飯を手土産にザエルさんのもとへ向かった。


ザエルさんはまだ村の入口にいる。


「ザエルさん、昼飯です。」

「おう!ありがとうな。」

と言いながら、昼飯を食い始めた。

「じゃあ、素振りしてみろ。」


腰の剣を引き抜き、剣を振り上げ、全体重をこめ、

一気に振り下ろす。

ブォンと空気を斬る音がした。


「芯もしっかり通ってるな。そのまま素振りだ。」


ブォンブォンブォンブォンブォンブォン…


「美味かったぜ!じゃあ、次は俺に打ち込んでこい!」


ザエルさんは木刀を手にしている。

それに対して俺は真剣だ。


剣を振り上げ、走り寄り、振り下ろす。

ザエルさんは木刀で受け止めた。全体重を込めているのにザエルさんはビクともしない。

腹を蹴りあげるが、ザエルさんは片手を離し受け止める。

「強くなったなぁ。」

とニヤッと笑い、木刀で剣を押す。

飛び退くと目の前にはザエルさんがいた。上から振り下ろされる木刀を剣で受け止める。

ガッと剣が軋む。

ザエルさんは木刀を振り上げ、振り下ろす。

上に剣を構えるが当たる直前で止まり、横から木刀が迫ってくる。

早すぎて避けられない。

何とか剣を横に構え防いだ。

ガッ

踏ん張り土がえぐれた。

ガッ、ガッガッ、ガッ、

クソ、早すぎて反撃の隙がない。


「おら!防ぐんじゃねえ!いなせ!」

そんなこと言われても防ぐので精一杯だ。


ガッ、ガッガッ、ガッガッガッガッ


「違う!違う!当たる瞬間にいなしたい方に力を抜くんだよ!」


当たる瞬間、、力を抜く、


上から木刀が迫る。上に剣を構え、木刀が剣に当たった瞬間、力を抜いた。剣に沿って木刀が流れていく。


出来た!


「やっとかよ!まぁ合格点だ。」

そう言ってザエルさんがニヤッと笑った。


その後も日が暮れるまで打ち合った。

ザエルさんにお礼を言って家に帰った。


椅子に座り一息つく。

全身痣だらけで痛い。腕が青あざだらけだ。

あっ、剣の手入れしないと。

腰から剣を引き抜く。

普段通り丁寧に手入れして寝た。


ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛、ギャァァァア…


なんだか騒がしい。毛布をどかし、ベットから降りた。剣を持ち、戸を開けて外に出た。


今夜は新月なのか真っ暗だ。何も見えない。

血の匂いと土の香りがする。


ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛


これは襲撃だ。


「おい!」


びっくりした。声のした方を見ると、よくおすそ分けをしてくれるおじさんがいた。


「何があったんですか」

「ゴブリンがきやがった。お前戦えるよな入り口の方行って戦ってこいよ!」

おじさんは周りを見渡しながらそういった。

「えっ、ザエルさんは…」

「死んだよ!ゴブリン十匹くらいに囲まれて嬲り殺されたよ!なぁお前戦えるだろ!日頃の恩かえせよ!行けよ!」

ザエルさんが死んだ…そんなん俺が勝てるわけない。

「そんなん無理です。俺じゃ勝てません。」

グッと胸ぐらを掴まれた。

「知るかよ!行けよ!」

無理だ…


グギャグギャ

鳴き声?

「くそ来やがった。」

見ると暗闇の中にゴブリンがいた。

おじさんは俺をゴブリンの方に突き飛ばし、走って行った。

えっ、俺囮にされた?

胸の中にあった何かが沈んでいくのを感じた。

そしてサァーッと心が落ち着いた。とても冷静になれた。

あいつ殺す。

ゴブリンが棍棒を振り下ろしてくる。剣を上に構え、当たった瞬間、力を抜いた。

バランスを崩したゴブリンの首を叩き切る。

力が溢れて来るのを感じた。

何も見えない中、躓きながらも何とか村の裏口を過ぎ森に入った。

このまま森を抜ければ、街道に出る。

街道に出る前に殺らなければいけない。


急いで歩いていると前に人影が見えた。

走り寄り、剣を振り下ろす。

頭がかち分けれ、血が吹き出す。

殺った!殺ったぞ!

「おい、お前何やってんだ。」

声のした方を見ると

唖然とした顔の村人がいた。村でよく働くライムさんだ。

見られた…

瞬時に体が動き、ライムさんの首に剣を叩き込む。

彼の首はちぎれ飛び血が吹き出す。

力が溢れて来るのを感じた。


クソ野郎の死体とライムの死体を漁ったが、小銭袋しかなかった。


そのまま歩いていると、街道に出た。


とりあえず街目指すか。




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