8、やっぱ植物人間だった
「んで、そちは誰じゃ?見た目は人間のようだが、人間がここに入れる訳もないし、というより纏ってるオーラが人間には出せそうにないものじゃし。そもそもナーラが連れてくるはずもないはずじゃしなぁ」
ふむ、じゃあこれで言っちゃっていいのかな?フィーを伺うとフィーはコクリと頷く。おーけー、じゃあ自己紹介しよう。
「初めましてフォルメイアさん。私の名前はメイリア。なんやかんやあって、世界樹です。こんな風に人間みたいな感じだけど、一応世界樹だからよろしくね?」
私が自己紹介をすると、フォルメイアさんが何も飲んでないのに吹き出すという器用なことを成した。あらあらばっちいですわよ?美人の飛沫と書けばいいものに見えるかもだけどね。
連れてきてくれたエルフ少女はびっくりしすぎて完全に止まったかのようにカチッとしてるし。時が止まったかのような感じになっとるよ。
「は、へ、せ、世界樹?世界樹だと?そ、それは真か?」
「ええ、妖精王の名にかけて、真実ですよ」
「残念ながら事実なんだなー。頑張って受け入れて?」
「いやいやいやいや」
めっちゃ手を振られる。まあ、そりゃあ混乱しますよね。自分達の後ろにいつでもいて自分達を守護してくれてた存在が、いきなり軽いノリで挨拶してくるんだもん。受け入れろっていう方が無茶振りですよねー。ごめんな私で、諦めて。
「な、何故世界樹が人間の姿になっておる?!」
「ドライアードのような肉体を出して、んで、全身欲しいなー歩きたいなー可愛い娘達を愛でたいなー、と思いながら下半身も出したら出来ました」
「色々と意味不明じゃし無茶苦茶すぎじゃろ?!」
「でも出来ちゃったんだなー」
「だなー」
「残念だが事実」
頭の上でティナは私のやったことを理解してるのかしてないのかノリで笑い、アルは肩を竦めた。
二人も同調するもんだから、フォルメイアさんはますます開いた口が塞がらなくなる。顎外れちゃうよ。落ち着こうぜ、ちょっと植物が完全な肉体を持っちゃっただけだよ。いや大分異常だが。
「んなこといわれてものぉ、どうやっても上手いこと実感わかんぞ」
「じゃー、なんか植物っぽいこと出来ないかなー」
何気にまだこの体で検証実験してないな。植物から生まれたんだから、花をリアルに咲かせることが出来たりして。
んー、でろーでろー、なんか花でろー。え?念じ方が適当すぎる?だってこんな感じなんだからしょうがないでしょ。
私がそうやって雑に念じていると、手の辺りに違和感を感じる。違和感を感じたところを強くするために、左手に意識を集中させる。
「おーおー?にょきにょきー?」
「……手からなんか出てる」
「うー!」
そして、気合を入れると左手から綺麗な一輪のヒナギクみたいな花がニョキッと咲く。それをドヤ顔でフォルメイアさんに見せる。
「ほい」
「ほい、じゃないじゃろ?!なんで花が?!」
「リアル植物人間なので生やしました」
「ほ、本物みたいです!触ってもいいですか?」
「どうぞどうぞー」
エルフ少女が恐る恐るその花を触る。花はちゃんと咲いており、僅かに植物らしい香りがする。一輪だけどちゃんと生えたわ。
これ木の枝を生やすことも出来るのかな?世界樹だったら植物関連でなんでも出来そう。謎の本能的な考えだけどな。
それにしても、痛みも不快感も何もなしで割と簡単に出来たな。もう世界樹であることに慣れちゃったのか?私順応性高すぎー!
「す、凄い、本当に花が咲いてますね…」
「正直自分でもびっくりだよ。これで信じてもらえる?この花上げるよ」
「あ、ありがとうございます!」
「……これで信じるなという方が無理あるな、失礼した」
「まあ固くならなくていいよー。ご近所さん的な感じでいいさー」
「……ナーラ、世界樹ってこんなにおちゃらけた奴じゃったか?もう少しこう、普通じゃったような……」
「気にしたら負けですよ。これくらいでもいいじゃありませんか」
「いいんかなぁー」
いいんですよ別に、残念美人でもいいじゃない!気にしたら負けだ!
つーわけで自己紹介終了。あとはエルフ達に紹介するんだっけ?前代未聞だろうなー。人型世界樹とかそれなんてファンタジー?まあここがファンタジーか。
「ではエルフ達にも新しい世界樹を紹介したいので、皆を広場に集めてくれませんか?あと、見栄えが良くなるように綺麗な服も。年の功でいいの選んであげて下さいよ」
「お主面倒くさいから全部わしに任せようとしてないか?」
「気の所為ですよ」
「はぁー、まあ良い、奥に来るといい。服を選んでやる。わしので合うのがいいと思うのだが」
「美人の着てる服が合ったなら嬉しいなー。よろしくー」
「世界樹は良い奴じゃなー」
美人に美人といって何が悪いか!私は事実しか言わぬ!
服かー、まあそこまで派手じゃなくていいかなー。世界樹ってイメージに合わないし。
私はフォルメイアさんに、部屋の奥まで連れられた。残った四人の中で、フィーが指示を出す。
「では、貴女はエルフを広場に集めてくれますか?」
「了解です、妖精王様!」
「ティナたちはー?」
「その場で待機」
「「りょー」」
- 8、後書き -
メイ「てか、ババアとか言われるのは嫌なのに、なんでその口調?」
フォル「見た目や年齢についての歳を言われるのが嫌なだけじゃ。口調はノーカン」
メイ「ノーカンなのか」
単にこんなキャラ作りたかっただけ。