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自重しない世界樹の愉快な日常  作者: 空の宙
1章・植物転生を果たした少女
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7、エルフの長って……

 

「ど、どうでしょうか…?」


 んー、ちょっと大きめだけど、まあいっか。別に着れさえすればよかったし。


「問題ないよ、ありがとう。持ってこさせちゃって悪いね」


「いえいえ!お気になさらず!」


 エルフ少女から貰ったのはシンプルな丈の長いワンピースだった。清楚な感じで悪くないね。とりあえず服をゲット出来て良かった。真っ裸のまま里に入るなんて明らかに変態だからね。中身がそうかもしれないが、気にしない気にしない。


「ところで、妖精王さま、結局この方は誰なのでしょうか?」


「そのことを今からエルフ達全員に説明したいので、まずは長老のいる場所へと連れて行ってくれませんか?なるべく人目につかないように」


 長老、ってことは長寿のエルフの中でもさらに長く生きてる人かな?エルフが長寿だから、この少女も実際は見た目よりも歳をとっていたりして。うん、ありえるなぁ。そして長く美しいままとは、目の保養の美が長く保たれる。最高だね。


「は、はい!分かりました!ババ様の家の裏口へと案内しますね!」


「よろしくお願いします」


「よろしくー」


 ババ様、女性ですか。結構なお婆さんなのかな?歳をとっても美人なんだろうか。長寿っていうのはあんまり見た目の歳も取らないのかなぁ。まあ私なんて半不老不死らしいし、人のこと言えないね。


 私達は里には入らずに、外側をぐるりと回るようにして歩いて行き、一つの大きな木の屋敷にたどり着く。


 てか、エルフ達の住宅って、全部大木で出来てるんだなぁ。リアル木造建築だよ?木の中くり抜いてる感じだよ?世界樹の周り大木しかないのに、その中でさらに大きい世界樹って、マジ世界樹だわ。


「こちらです、……今なら誰も近くにいませんね」


「では突撃しましょう」


「よっしゃとつるぞー」


「とちゅげきー!」


「とつー」


 ティナに突撃したくなりますね可愛いなあうん。アルは凄く怠そうな突撃だけどショタで可愛いからおけ。

 私達はパタパタと足早に家に入る。入った途端、とてもいい香りがすることにびっくりする。


「え、なにこれ凄くいい匂い。強調する訳でもなく、程よく落ち着かせてくれるような凄くいい香りがするんだけど」


「そこらの草花を調合して作り上げた、美を探求する彼女のオリジナルの香水ですね。全くまた妙にいいものを作り上げます。結構な老婆のくせに」


「ふぇ?」


 え、なんか今フィーから凄い暴言聞こえた気がするんだけど気のせいですよね?なんか口調強くなったけど気のせいだよね?うん、気のせいだ。


「ババ様ー!妖精王様ですよー!ババ様ー?」


 エルフ少女が家の中を見渡しながら呼ぶ。すると、上の階からズドドドドドと足音が響いてきて、



「だあれがババアかおんどりゃあー!わしゃまだ現役ぴっちぴちの美女なんじゃぁあー!」



 妙にババくさいけど、美人のエルフが現れた。

 うー、えー、んー、なんだあれ?


「誰?」


「残念ながらあれがエルフの長です、残念ながら」


 二回言ったなフィーさんや。なに、仲悪いんかい?いや逆か?

 フィーのあからさまな挑発にエルフの美人は憤慨する。


「誰が残念娘じゃ妖精メガネババアめ!」


「うるさいです一辺全身しわくちゃになる毒でもかけられないと大人しくなりませんか?大体娘なんて言ってません。貴女はただの老婆です」


「わしとあんまり歳変わらんくせして好き放題言うなや!」


「私の方が数歳年下ですー。まだ若いですー」


「くっそう妖精畜生!」


 仲、良さそうだね?意外と良さそうに見えるね?


「なかよしー」


「……いいのかこれ?」


「アル君や、喧嘩するほど仲がいいという言葉が世の中にはあってだな、つまりそういうことだ」


「どういうことだ」


 三歳児には難しかったようです、仕方ないね。

 とりあえず自己紹介させてあげなよ。


「フィー、からかうのはもうやめてあげてさ、とりあえずこの美人の姉さんの自己紹介させて上げてよ」


「そこの娘褒めて遣わす!よく言った!」


「メイリア様、この美にやたら無意味無駄に執着する老婆を調子づけないで上げてください。哀れじゃありませんか」


「おうこらそこの妖精王、ちょっと表でるか」


「フルボッコされたいのですか?」


「年の功なめんなよ?」


「自分でさりげなく認めてるじゃありませんか…」


「それはそれ、これはこれじゃ」


 仲の良いコントを終わらせると、エルフの美人さんは咳払いをして豊満な胸を張る。


「わしの名前はフォルメイア、このエルフの里の長じゃ。歳はまだ二十代とまだまだ育ち盛りの素敵な美人じゃ」


「はい嘘ー、どんだけ年齢偽装してるんですか、流石に見苦しいですよ。本当は三百代のしぶとく生きてる老害じゃありませんか」


「おいこらそれをいうんじゃないよ」


「うんごめん、私の耳にもきちんと嘘として伝わってるから諦めて?」


「うそーん」


 年齢偽装もきっちり嘘として聞こえてます。多分この能力って嘘をつかれると自動的に発動するのかも。


 自動嘘感知器の効力が妙なところで証明された瞬間である。気にしないでおこう。美しければいいのよ。たとえキャラ的にアレだったとしても!


 私は美人好きだしおけ!



2話での妖精王の台詞を少し変えました。設定的に何故あんなふうに言ってたのやら…。


歳をとっても、外見美しければいいと思うんです。美しいは正義。

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