5、やりたい事、やるべき事
はぁー、まあうん、今こうして私がここにいる結果はいいけど、過程に難ありですなぁ。
『まあ、あまり憤慨しないでほしい。時代が経つにつれて、世界樹自体の力も上げていかなければ、自然界のバランスが崩れてしまう可能性があった。生命も進化する故な。なので、ある程度力の強い、記憶や力のリセットがまだである転生者で試せないか実験をしてみたかったのだ』
うーん、まあそれは分かるけど、実験という言い方がちょいと不愉快かなー?まあ神様にとって人間の魂はそんな扱いなのかもしれん。種族的な問題だな。諦めよう。
『だが、世界樹の力はとても強い。強い器には強い魂が最適だ。力としても精神としても。しかし、若い転生直前の魂の中でそれに相応しいのがいなかった。合ったとしても、魂の意思が薄弱すぎて消えかけたりなどな』
結構面倒くさそうですね。なんてこったい。
『しかし、そんな時君が現れた。君は芯も強く、何より妖精達のような可愛らしいものにたいして人一倍強い執着があると見えた。だから、君の願いを聞き届ける代わりに、世界樹として生まれ変わってもらおうと思ったわけだ。奇跡的にも魂の具合としても適合したからな』
成程私の欲望丸聞こえだった訳ですか。ちょい恥ずかしいですね。でも死ぬ前に願望さらけ出して良かった!お陰でここにこれたもの!うん、許したろうじゃねえか。
今までの魂については、まあそもそも運悪く抽選に当たったようなもんだろうし、そこまで酷いことにはなってなかったっぽいから、まあいいや。私可愛いもの以外への慈悲薄いし。白状者とか言わない。起こされたことはどうしようもないし、相手神だし、もう私で成功したし。つまりはい終了、だ。
『説明としては以上だ。その他のことは妖精やエルフに聞くといい。最後に、世界樹である君に「メイリア」という名前を送ろう。新しい体と新しい世界で、どうぞ好きに生きてくれ』
メイリア、うん、おっけー。中々可愛い名前じゃないか。そして最後の文章を見て私は吹き出した。
『PS.まさか完全に肉体を作り出してしまうなんて思わなかったよ。その肉体は過度な気温の変化には絶対耐性があるだろうけど、とりあえず服は来た方がいいと思うよ
世界の傍観者、神より』
なにゅ?のぉおお?!本当だ!私服着てなかったわ!
肌寒いとか全く感じなかったからうっかりしてたわ!乙女としてどうなんだ!一生の恥じゃね?!神も忘れろ馬鹿!
そこで私は、池に映った自分の顔を初めて見た。
……え、誰だしこの美少女。やばい世の中のありとあらゆる尊きものや美しいものを全て詰め込んで作り上げたかのような絶世の美女がいるんですけど。ものすごく私の好みにクリーンヒットなんですが。え、なにこれ。
水に映った私の顔は、そりゃあもう線対称のような整った顔立ちで、若草色の長い髪は櫛を通す必要も無さそうなくらいサラサラのツヤツヤで、翡翠の瞳は見たものを引き込みそうな魅力を持っていた。一言で表すと、控えめに言っても美少女であった。
もしかしてこの転生、前世の私の平凡に平凡過ぎる顔とか反映されてない系ですか。やばい最高じゃん!軽くナルシストになりそうなレベルの美少女だよ?!最高だね!……まあ中身が私だから残念美人になりそうなのは致し方なし。
「どうかなさいましたか?」
「あまりの自分の美しさに発狂しそうになってましたごめんなさい」
「世界樹様の美しさは正直世界一と言っても過言ではないと思いますよ」
「くっ、今この姿だとそれも納得してしまう自分が怖い!」
前世だったらそんな褒め言葉聞く耳持たなかったけど、今世は正直お世辞とか言われても喜びそうだわ。だって私だけど私じゃないようなもんだし。
……もしかしてこれも私の願望の影響か?だとしたら神様ありがとう。こんな美少女をいつでも見られて私幸せだよ。確信した、やっぱここ天国だわ。生き天国や。
私は手紙を丁寧に畳んで封筒に入れ直す。すると、封筒に白い火がついた。私が驚いて手を離すと、封筒はあっという間に灰すら残さずに燃え尽きた。
「……燃えてしまいましたね」
「神様からの直筆だからね。証拠隠滅みたいなものかも。とりあえず、世界樹についてとかやることは教えて貰ったし、別にいいかな」
「知らない言語でしたし、解析して見たかったのですが……」
「私が教えてあげようか?そっちがこの世界の言語を教えてくれる代わりに、ね。私まだなんにも分かんないからさ」
「成程、それは良い話ですね。ありがとうございます」
もしかしてこの女王様知識渇望者なんだろうか。さっきまでも読めないながら読もうとしてたのかな?結構可愛いな。
「あ、そうそう、手紙に書いてあったけど、私の名前メイリアだって。気軽に呼んでいいからね?」
「ではメイリア様、とお呼びしましょう」
「様は外さないのかー。じゃあ私はフィーって呼んでいい?」
「いいですよ」
「ティナはエルティナだよー!」
「……アルティス」
双子妖精も自己紹介をしてくれた。ルティ兄妹か。可愛いですねどっちも大好きだよ。片方一人称あだ名ですかいいですね、ロリショタ万歳。
「うんうん、二人もよろしくねー。ティナとアルでいいかなー」
「りょー!メイ大好きー!」
「……よろしく」
ティナが私に初めましてのチューをほっぺにくれる。ロリの可愛い唇が、ぐっじょぶ。なんかアルがむぅーと言いたげな顔をしているけど、なんでや?まあいいか。
「じゃー、とりあえず服を貰いたいかなー」
「では、エルフの里に下りましょうか」
「「おー!」」
「おー」
という訳で、エルフに会いに行くどー!レッツラゴー!
メイ「ねーねー、アルのテンションが低くて悲しいなあ…」
ティナ「へーじょーうんてんー」
アル「別に…普通…」
メイ「(なんか人見知りってだけじゃない予感…)」