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自重しない世界樹の愉快な日常  作者: 空の宙
1章・植物転生を果たした少女
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4、ちょっと一発殴りたい

 

『拝啓、世界樹になってしまった転生者の君へ』


 おい宛先、宛先に異議あり。なんだその宛先は。もうちょいいい書き方なかったのか。


「おや、どこの言語でしょうか」


「読めなーい」


「……つまんね」


 ああ、日本語で書かれてるから、この子達には読めないんだ。まあしょうがないね。多分私こっちの世界の言語読めないし。これから覚えないとだなー。まあ続きを読もう。


『突然世界樹になっていて、混乱もあるだろうが、これから君はこの世界で世界樹として生きていくことになる。それをまずは受けとめてほしい』


 はい、それはもう了解ですわ。もう大木転生でいいよ大木転生。前代未聞だな!


『で、君に何をして欲しいかというと、特にして欲しいことは無い』


 ガクッ!私が呆れにより頭を揺らしたせいで、双子妖精が「あーれー」と落ちる。でも読めないと分かったからか戻って来ず、二人で池で水遊びを始める。

 いや、いやいや、じゃあなんで私世界樹なんかに転生させられてんの?!なんかして欲しいから転生させたんじゃないん?!まさか娯楽目的か?!


『して欲しいことはないが、世界樹としての役割は果たしてほしい。まあ一応簡単なことだから、すぐに分かるだろう』


 ああ、命令はないけど使命はあるみたいな。違いが地味に分かんないけど。最初からそう書いとけや。で、肝心の世界樹のやることは?


『まずその一、その辺一帯の結界維持』


 へ?結界?そんなんあんの?私が空を見ると、確かに若干、私という世界樹を中心として存在する透明の壁みたいなものが見える。あー、あれのこと?目を凝らさないと見えないなー。あれで結界なんだ。


『その結界は、世界樹の魔力や存在を隠すためにある。もし破られれば、強欲な人間達に侵攻略奪支配される恐れがあるため、絶対に破かれないようにすること』


 めっちゃ責任重大だった!人間怖っ!

 おーけー、命をかけても守り抜く。ここの尊き娘息子達は私が守るぜ!

 んで、どうやって維持するん?


『まあ基本的に自動で結界は維持されるため、君が健康に生きていさえすれば良い』


 重大なくせにめっちゃ簡単だな!いいのか結界!

 いや、でも私がいつでも健康でないといけないのか。私の力が弱まると、必然的に結界も弱くなって、ここの存在が感知されるってことなんかな?健康第一だね!


『それに、君は世界樹だから、病気になることは極めてないに等しいし、怪我をしてもいつでもその生命力で回復もする。完全とはいえないが、ほぼ不老不死だ』


 転生したら不老不死になってた、まじか。

 じゃあ自分の力が弱まる時は、例外中の例外の、異常ななにかが起こった時か。うーん、原因の予測が出来ないとちょっと不安だけど、上手くやっていくしかないかなー。


『その二、これから生まれてくる妖精やドライアード達の名付け。君の好きに付けていい。君が念じなくても、定期的に自然に生まれるから、新しい妖精達を待つといい』


 お母さん張り切っちゃうよ!まじかー、みんなの名付けかー。その子にあった可愛い名前付けてあげないとね。


『ちなみに、この世界の妖精は世界樹の花から生まれ、ドライアードは世界樹の落ちた枝から生まれる。ドライアードは世界樹が朽ちた時に新しい世界樹になる役割を持ち、妖精達はそれに養分を与えてやる役目を持つ』


 お、おう……。この子達、世界樹が枯れたら代わりの世界樹になるんか……。ちょっと残酷だね。


『まあ君が生きている間は普通に生きられるから、特に背負う必要はない。君が朽ちるのも何百年も先になるだろうしね』


 うん、そうだね、明るく今を生きてやろうじゃないか!明るく楽しくをモットーに!


『世界樹のすることとしては以上である』


 早いわっ?!本当にほぼすることないですね?!


『それと君の前世と、何故世界樹になってるかについてだが』


 あ、ようやくそこに入るんですか。そういやそれも大事だった。


『君は交通事故により不幸にも若くして亡くなった。今はもう君のお葬式も終わっている。あっちの時間だと一ヶ月は経っている』


 割と経ってた。そんなに寝てたん?

 にしても、やっぱ死んだのかー。すまんなおとんおかんよ、親孝行もたいして出来ずに死んで。その代わりこっちでこの子達の親として精一杯生きてくぜ!


『そして君が亡くなる三年前に、こちらの世界の世界樹の一本、君が転生した世界樹、それに宿る世界樹の意思の魂が摩耗し、朽ち果てていた』


 え、まってまって、三年前?三年前て、それ結界は大丈夫だったの?


『朽ちる直前に、先代の世界樹の意思は、最後の力を振り絞って、数年は持つ結界を張った。だが、意思の宿らぬ世界樹の結界は、段々と効力を失っていった。ドライアード達が代わりに世界樹となり、妖精達がそれを支えたが、それでも力の衰えは止めることが出来なかった』


 ダメじゃん!ていうか、ここのドライアードと妖精達は、もう既に数を減らしているのね。うう、悲しくなってきた。


『結界があったとしても、この一年は何度か感知され、一度侵攻されかけたが、幸いにも麓のエルフ達だけで防ぐことが出来た』


 エルフもいるん?!初めて出てきたね?!ここには一人もいないから気が付かなかったよ。


『ちなみにエルフとは、昔人間だった者達が世界樹の生命力溢れる湧き水を大量に飲んだことにより、長寿で魔力を多く持つ種族へと特殊進化した者たちを指す。今では生命の水を飲まなくても、生まれてから百までは普通に生きる種族だ』


 おっふ、丁寧な解説ありがとうございます。結構丁寧に説明してくれますね神様。


『話を戻すが、三年間世界樹の意思がなぜいなかったのかというと、適合する魂がなかったからである』


 え、何、世界樹の意思って自然に発生したものじゃなくて魂吹き込まれてたん?それとも私がイレギュラー?


『今までは普通に精霊が宿っていた。原因としては、此方の実験のせいだろう。地球の若くして死んだ人間の魂を使えないのか試みた。結果を言うと、君以外の転生者は、みな魂が世界樹の力に耐えられず、崩壊していった』


 おいこら神様、なんちゅー実験してるんや。

 お前が原因かよ畜生!一発殴らせろやあんぽんたん!


 結論、神が原因でここらは人間の脅威に脅かされていたようです。ちょっと殺意湧いてきますな。可愛いを脅威に晒すのは良くないですなぁ。



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