死神のシド
シドという男は昔から死神に愛されていた。両親や兄弟は物心つく前に他界していて養子として育てられた。普通の家庭や貴族などのたくさんの人が養子として迎えてくれたがどこへ行ってもすぐにシド以外が皆殺しにされ、1人だけ生き残った。
15才になることには周りは気味悪がって誰も近づいて来なくなり、1人で冒険者として働くようになっていた。簡単な依頼から丁寧にこなし、シルバーランクになった頃から周りとの差が表れはじめた。今までの経験で血を見ることやモンスターを殺すことに一切の躊躇をしないため成長速度が早く、25才を過ぎることにはゴールドランクとして名が知れ渡っていた。
そしてその数十年後、とうとうプラチナランクと呼ばれるようになり、年齢も40才程度で止まっていた。その時にシドを慕ってくれていた新人のギルド職員の少女が冒険者に拉致されたことを知り、助けたがその日を境にシドは変わってしまった。
助け出したとき少女は冒険者達によってボロボロにされており、シドは吐いた。心も壊れていてなにも話せなくなっていたが、少女が唯一身に付けていた首飾りをそっと差し出してきた。それを受け取り人の想いが籠もった品を始めて手に入れた。
当時のギルマスや他の冒険者がやってきた時には犯人は皆殺しにされており、机に大量の金貨と紙が置かれ、紙には書かれていた。
「ここへ最初へ来た人へ。オレは人の大切な物を奪う奴は絶対に許さない。だから冒険者を辞め、人々の大切な品を守る。金貨は少女へ、首飾りのお礼に。」
そして数か月後、当時の一番大きな盗賊のアジトが壊滅し、全員特殊な鎌で皆殺しにされていたことから犯人はシドに断定。死人と恐れられるようになる。それから月日が経ち、死人から死神へ呼ばれ方が変わっていった。
シドが奪ったものは、持ち主や家族が生きていた場合は返却され残りは全て行方不明になっている。
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「って話がギルドでは伝わっているな。本物なら恐らくリョウマクラスに強いぞ?」
石頭が知っている事を話した。
「そのシドさんって悪い人しか襲ってないんですか?だったら話し合いで解決できるかと?」
命が悲しそうに話す。2人は葵の判断を待つ。葵は不思議に思っていた。
「なあ、どうしてあの踊り子は殺されていないんだ?それに指輪を返してくれていない。本当にシドだと思うか?」
3人は考えても結論がでないため会いに行くことにした。




