表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/25

能力

 ホワイトボードに書き込まれている能力の数々を上から目を通していく。


1『約束された勝利』『敗北する運命』

2『呪術』『無意識にスリをする』

3『月に一回願い事が叶う』『プラモデルの武器が使える』

4『滑舌が良くなって100倍の早さで喋れる』『右折しかできない』

5『永劫回帰』『喜怒哀楽の反転』

6『動物に好かれる』『触れた無生物が全て金に変わる』

7『獣化』『オカマ化』

8『分裂』『チンポジが安定しない』

9『部分的に実体化できる幽体離脱』『両手を合わせた時だけ指先強化』

10『想像具現化』『妄想周知』

11『目があった相手の本心がわかる』 『目があった相手に本心がバレる』

12『霊体化』『超低速』

13『浄化』『鼻毛が延びる』

14『とてつもなく運がいい』『触れた相手を同性愛者にする』

15『脚が長くなる』『話をすれば服がむける』

16『テレポート』『地上から5~90センチほど浮く』

17『目の前の人物一人を24時間見た目も中身も理想のヒロインに変化させる。その時の記憶はこちらの任意で消せる』『他の能力を使用するとたまに自分が24時間見た目も中身も理想のヒロインと化す。そのときの記憶はバッチリ残ります』

18『便通がよくなる』『食事をする前に厨二病チックなことを大声で叫ぶ』

19『ゼロの極点』『一生涯オムライスしか食べられない』

20『死に戻り』『死亡フラグ乱立』

21『月を見ると狼人間になる』『月を見ると着ている服に合わせて体が調整され、結果服がピチピチになる』

22『存在感を自在に操る』『吐息がめっちゃ臭くなる』

23『片道切符』『トオリャンセ』

24『良縁』『一定数以上の生物を殺す度に死にたくなるような恥ずかしい厨二病な二つ名が付く』

25『自身の体を最適な状態まで巻き戻す』『体の一部が痒くなる』

26『狂戦士』『女難の相』

27『美少女戦士にメタモルフォーゼする』『どんなおにぎりの具もシーチキンマヨネーズに変えられる』

28『万能執事またはメイド召喚』『仲間のピンチの時に限って自分の腕が動かなくなる』

29『何をしても疲労がたまらない』『1日に四時間重力が反転する』

30『吸血』『足裏の摩擦がなくなる』

31『透過能力』『封印されし左腕』

32『マルチタスク』 『心が読める能力』

33『何でも作れる手芸の能力』『相手を服従させる眼力』

34『バンプアップ (筋肉増大)』『ランダム宴会芸 (なんの役にも立たない手品ができる)』

35『言語理解』『口無し』

36『絶対に失言しない』『人の心が読める代わりに嘘がつけない』

37『どんなものでも見られる目』『どんな飲み物も口に入れた瞬間からその飲み物を飲むのに最適ではない温度になる能力』

38『空を飛べる』『野菜しか食べられなくなる(水は可)』

39『右手からちくわ』『左手からこんにゃく』

40『どんな姿にでもなれる変身能力』『相手に無意識的に嫌われる』

41『ギャンブルで絶対に負けない』『同性にだけ異様にモテる』

42『一撃必殺』『自分の身長より高いとこから落ちると死ぬ』

43『人から気にされなくなる』『常に周りの注目を集める』

44『どんな調味料も出せる能力』『料理が必殺物になる能力』

45『常に自分の周囲(体表面から5㎝以内)が自分の快適な環境(温度・湿度など)になる』『おでこが常に光続ける』

46『凄く目が良くなる』『味噌汁の味が安定しなくなる』

47『タイムリープ』『タイムリープ』

48『歌が上手くなる』『ハゲが治る』

49『走るのが誰よりも速い』『肉体的な成長が非常に遅くなる』

50『良く聞こえる耳』『お金を作り出す』

51『仲間の能力超上昇』『自身の能力超低下』

52『土生金(土から鉱物を産み出す事ができる)』『異性限定の変態から好かれる』

53『無双の力を手に入れる』『年上からモテまくる』

54『平行作業』『品質悪化』

55『あっち向いてホイ』『達磨さんが転んだ』

56『自体操作』『強奪(毛)』

57『真相看破』『通報』

58『ノーダメージ』『嘘吐き』

59『剣人つるぎびと』『裸人らじん

60『死霊の王』『中二病フィルター』

61『隷属破棄』『不変』

62『服を脱げば脱ぐほど強くなる』『自分の体臭が凶悪になる』

63『ワレモノ』『指のササクレがきれいにとれる』

64『仏→修羅→仏』『腹痛』

65『時間操作』『時間のループ』

66『壁面歩行』『生体転移』

67『肉体が常に全盛期のパフォーマンスを発揮する』『自分を含む周囲の煩悩が肥大化する』

68『抽出』『不信』

69『ノーミス』『永遠の雑用係』

70『体の大きさを自由に変えられる』『見た目が棒人間』

71『猫に好かれる体質』『猫になれる能力』

72『不死身』『死の呪い』





 あれだ、多いな。これだけあると正直目移りする。

 そして、突っ込みどころ満載だな。

 しかし、文字だけでは理解できない能力が多いようだ。個人的に気になる能力は『幸運』『一撃必殺』『ノーダメージ』とかが面白そうだが。これが組み合わされば、かなり強いのではないだろうか。

 後、迷惑千万な能力も多く存在しているようだ。そんな能力を引いた日には目も当てられないぞ。


「質問をして良いだろうか」


「ええ、構いませんよ」


「能力の横にある数字は何なのだろうか」


「それはランダムで能力を決める時の番号です。ここに1~72までの数字がランダムで表示される装置があります。それをお二人に押して頂き、出た数字が得られる能力となります」


「ということは、出た数字に書かれている二つの能力を一気に得るということか」


 数字ごとに異なる二つの能力が書かれているからな。普通に考えるならそういうことだと思うが。


「いえ、番号を選んでから、更にもう一度、今度は1と2しかない六面ダイスを振ってもらいます。1が出れば初めの能力。2が出れば後ろの能力となります」


 なるほど。しかし、1と2では能力の格差があり過ぎる。初めに書かれている方はかなり有益な能力らしきものが多い。後ろのは正直眉をひそめるレベルのいらないどころか、迷惑な能力ばかりだ。


「こ、これって、1が出なければ地獄じゃないですか?」


 おお、彼女もそう思っていたか。おずおずと手を上げているが、やはり気になるよな。


「そうですね。読者から応募した欲しいスキルが1で、欲しくないスキルが2ですから」


 やはりそうなのか。運よく欲しいスキルの番号で止められたとしても、ダイスで1が出なければ天国から地獄へ叩き落とされる。

 だが、よく見ると1も2も酷いものも存在するな。

 39番の『右手からちくわ』『左手からこんにゃく』というのは意味があるのだろうか。待てよ……深く考えると有意義な能力ではあるか。少なくとも飢え死にの危機からは逃れられる。異世界がどのような世界かわからぬ今、食料確保の心配がないというのは大きなメリットだと言える。

 ただし、その前にある38番の『野菜しか食べられなくなる(水は可)』を得てしまった場合、ちくわよりこんにゃくの方が、価値が出てくると言う訳か。面白い。


「外れのスキルを選んでしまったら終わりだけど……かなり強いスキルも多いわ。そのデメリットを打ち消すぐらいのメリットが……」


 寝巻きの彼女は、真剣な目で食い入るようにホワイトボードを見つめているな。

 俺としてはこのランダムに賭けても良いと思っている。死ぬべき運命を覆すという幸運を手に入れたのだ。妙な能力になったとしても、それはそれで何とかやってみればよい。


 在り来りで平凡な日常は終わりを告げたのだ。なら、異世界という摩訶不思議な世界に行くのであれば、運命に身を任せるのも面白い。

 そして、これが神の運命ではなく悪意のあるものだったとしても、それはそれで構わない。足掻くだけ足掻いて精々楽しませてやればいい。


「このランダム能力、私はやるよ」


「わ、私もやります! 上手くいけば、強力なスキルが四つも手に入るってことですよね」


 やはり、この女性は肝っ玉が据わっている。日本で出会っていれば、惹かれていたかもしれんな。出会いとはわからぬものだ。


「二人とも受けてくれるのですね。ありがとうございます。正直、奇抜すぎて拒絶されるかと思っていたので、一安心です」


 天伊子さんが、ほっと胸を撫で下ろしている。

 正直、普通の人はこんな博打をしないとは思うが……何だろうな。久しぶりに血が騒いでいる。こんなにわくわくするのは何年ぶりだ。久しく忘れていた、胸の高鳴り。

 どんな能力を選んでも後悔せずに、突き進んで見せる。


「では、どちらから選ばれますか」


 思わず彼女に視線を向けると、同様にこちらを見つめている。見つめ合う形になってしまったが、ここはレディーファーストではなく、俺から行くべきだな。

 酷い能力を選んでしまう危険性にも気づいてくれるだろう。


「私からいこう」


 そう断言すると、俺は二つの数字が回り続ける機械の前に立ち、赤く大きなボタンに手を置いた。


次回 ランダム選択の恐ろしさを知る(実際にランダムで決定しました)


皆さんもランダムで四つ選んでみてください。結構楽しいですよ。

その後小説を書かないのであればっ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ