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民宿"みのじ"

__________午前5時40分。



「…おい!こっち!こっちは出来たぞ!」

低い声が厨房に響く。いや、民宿中に響く。


お客さんはうるさいと思ったことだろう。起きた人もいるだろう。

しかし、彼はそんな事は気にしない。


「しーーーー!もっと静かにコミュニケーションとれないの?このゴリラ‼‼」


口に人差し指を当てながら、一人の女性が罵倒する。


「んだとぉ⁉誰がゴリラだこのチビが‼」

「そうやってすぐ感情的になる所よ‼」


「まぁまぁまぁ…大樹、優子、落ち着いて…」

抑えめに二人をなだめるバイトの私…(- -;)


大樹__民宿を経営している家族の長男。スポーツマンで結構カッコいいけど、かなり雑な性格。


優子__同じく長女。いつも笑顔なんだけど、背が小さいことを気にしてるみたい。


この二人は、一日一回はどこかで口論になる。それも、すべてくだらない事で。

ちなみに二人とも大学生。私も大学生で、同級生の優子がバイト先でここを紹介してくれたの。


「まーたもめてるの?別にいいけど手は止めないでよ、お客さんがもうすぐ来るんだから」


そう言いながら奥から出てきたのはこの民宿の女将、芽衣さん。


「ごめんね〜美沙ちゃん、二人が迷惑かけて」


とんでもないです!と両手を振りながら答えて、再度二人を見る。

何も無かったように作業する二人を見る限り、芽衣さんは怒ると相当怖いらしい…


芽衣さんの旦那さんは既に出掛けてるようで、裏口に止めてあったトラックが無い。


「旦那ね、多分、畑に行ったのよ。うちで使う野菜はほとんど自家菜園だから!」


ちなみに、ここの民宿の裏口にも小さな畑があって、そこではトマトやいんげんを栽培している。

民宿が畑を一つ二つ持っているというのは珍しい事ではない。野菜を自家栽培する分、買わなくてすむから、宿を安く提供する事ができるのだ。


ええと…これで民宿の紹介はほとんど終わったかな…

民宿のっていっても、ここで働いてる人を紹介したくらいだけどね。




あ、もう一人


いや、もう一匹いたのを忘れてた。


私は駆け足で裏口からすぐそこの乾燥室へ行った。

隅っこに段ボール。その中には丸まって毛玉状態の猫がいる。


「志野!」


耳がピクリと動く。そして、のっそりと顔をあげた。目つきが悪い。寝起きで怒っているのかな…


この猫が看板息子←の志野。普段はこうやってグータラしてる。

芽衣さんいわく、ふらっと家にやって来て勝手に居座っているんだって。


「おい、美沙!どこだぁ⁉」

厨房から聞き慣れた大きな声。ふと我に帰る。


…朝ご飯の準備してたんだぁ…!

何やってんだ私!

もう一度、「美沙!」と聞こえたので今いくと返事し、画面のあなたへ一言。


まぁ、私の時間がない時は志野に何でも聞いてみて!

この子、人間の言葉が分かるらしいの。






______さてさて、ここら辺で一度、区切りをつけよう。

志野が喋り出す。

どう、うちの従業員。なかなか個性的だろ。


また今度、機会があればお話したいな。

おいらも今は寝るのに忙しいゆえ、それじゃ。



_______只今、午前6時15分。

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