助っ人投入 前編
日本に住む友達の青年の家に遊びに行った神凪は、ロールプレイングゲームのレベル上げを頼まれた。
「リクエストの鍋を作るには、材料を買ってこなきゃならない。その間に、レベル上げをやっておいてくれ」
簡単なレクチャーを受け、神凪は初めてのテレビゲームに挑戦をした。
コントローラーを操作して、画面に映るキャラクターを操作する。画面が暗転し、モンスターとエンカウント。ひたすら攻撃をするコマンドを入力していればいいと、教わった。
「なんでこの人は、命令されなきゃ動けないんだろう」
答えてくれる人は、今は居ない。
「平社員なのかな?」
そういう知識はある。
「つまり、レベルが上がれば課長になるのでは?」
暇つぶしに独り言を呟きながら、神凪はひたすら画面に向き合っている。SNSでもやっていれば、投稿しまくりでタイムラインを占拠していたところだろう。
しかし、勇者は出世も転職もしない。
おまけに青年はついでにツーリングをするつもりなので、当分は帰ってこない。
「飽きてきた。なんか、飽きてきた。レベルが上がっても、同じことの繰り返し。なんかこう、詠唱を破棄して魔法を発動したいとか、下級魔法使いがいうようなことを理解する気が来るなんて」
天才は、スキップがデフォルトだった。
「……ボタンを押すだけなら、妖精にでも出来るのでは?」
ここに来て、天才の頭脳が冴え渡る。
神凪の家に住む、総勢三十名の妖精は、楽しいことしかしたくはないお気楽な種族であった。このゲームのレベル上げも、最初は楽しんだところですぐに飽きてしまうだろう。
しかし、三十人もいる。独り十分は持ったとしても三百分は持つ計算だ。それくらいなら、流石に青年も戻ってくるだろう。
妖精への要請は、今回は成功した。




