エクレア
数多くある世界には、共通するものが多数ある。その中の代表的なものが、言葉であろう。人が話す言語というのは、どの世界も概ね似たようなものとなり、世界は異なっていても、やはり同じ星なのだと言うことが理解できた。
神凪は、そんな共通する言葉の中で、どの世界のものが一番なのかを決めたいと思う時がある。主に、食事をしている時に思うことだ。
自他共に認める肉食な彼女であるが、可愛らしいところもあり、スイーツなどの甘いものが大好きだ。
肉、パフェ、肉、パフェ、肉パフェ肉肉。そんなループをすることもある。
今日の神凪は、特定のスイーツに限定して、世界を回って食べ比べをしていた。
「スイーツ、いっぱい」
ショーケースに並んだ数々の、色とりどりの甘味を見て、神凪の語彙が消滅した。
「いらっしゃいませー。ただいまシュークリーム焼きたてです」
「クリームも焼いたの?」
「焼いたのは皮だけです」
「ガングロだぁ」
「違います」
神凪の知識は少し偏っている。
「うちはクレープも名物なんですよ。生地に拘っていて、モッチモチですよ」
「餅とどっちがモッチモチ?」
「餅よりモッチモチなものはありません」
餅よりモッチモチなものは、もっと別の表現をしたほうが適切なのかもしれない。
「あとお勧めしているのは――」
「私、買いたい物があるの」
「エクレアです」
「え、くれや。早く」
倒置法?
「畏まりましたー。ガングロエクレア、一丁!」
「あ、そういう違う、なのね」
焼くよりメイクなスイーツである。




