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眼鏡に首ったけ
とある世界でアイドル活動をしている女性の下を訪ねた神凪は、テーブルを敷き詰めるあるものを見て感嘆の声を上げた。
「うわー、眼鏡がいっぱい」
「でしょ? 私のアイデンティティなのです」
その世界でのアイドルには戦闘能力があり、確固たるアイデンティティを獲得できれば、その歌声は魔物を屠ることが出来るようになるのだ。
神凪も挑戦してみようと思ったこともあったが、結局は魔法でぶっ飛ばした方が早いことに気が付き、アイドルを諦めた経緯がある。
「でも、この眼鏡とこの眼鏡は一緒だよね?」
「つるを繋ぐネジが違います」
……。
「この眼鏡とこの眼鏡も一緒」
「レンズの加工が違います」
……。
「これとこれも――」
「デザインは一緒でも、フレームの素材が違います」
「眼鏡に目がねえ」
「首ったけと言ってください。駄洒落系アイドルは、もう居ます」
アイデンティティ、恐るべし。




