遺跡発掘見学
この日、神凪はとある世界で遺跡発掘調査の見学をしていた。
遥か昔(そんなに昔ではない)に滅んだ王朝の遺跡だと聞いていたが、神凪が覚えていないだけで、彼女はかつてその王朝に遊びに行ったことがあった。
名物は豆を煮込んだスープでもあり、肉食であることを自負する神凪は、大した興味を持てずに、片手で数えられる程度しか訪れなかった。
それ故、大して記憶に残らなかったのだろう。新鮮な気持ちで、その発掘作業を眺めていた。
「墓らしきものが出ました!」
張り上げられた声に、作業員は色めき立つ。責任者に連れられて、神凪もそれを見に行くことにした。
「なんか、綺麗な石だね」
「ええ、宝石かなにかなのでしょうか。しかし、大きい」
墓らしい、と思われた理由は、人一人は優に入れるほどの巨大な石の棺桶があり、その石が宝石のように煌めいていたからだ。
これほどの石が使われるということは、そこに納められているのは、とても身分の高い人物なのではないか。
周囲の期待は高まるが、神凪の頭には、どこか違和感が湧いていた。
(なんか、見覚えがあるなぁ)
神凪が、戯れに埋めたタイムカプセルである。それを発掘した王朝の人が、ありがたいものだと祀り上げたものだ。
多くの作業員が、固唾をのんで見守る中、石の棺桶が蓋が開けられる。そこに入っていたのは……。
「これは、……石、でしょうか? しかしどことなく、肉に似ているような?」
神凪が集めた、バラ肉に似た石の数々だった。
「美味しそうなお肉。……お腹が減って、なんだか気持ちが悪くなった、ような?」
「遺跡で胃液を出さないでください」
最後まで思い出さない神凪だった。




