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珍しいマグロ
神凪が異世界から持ち帰った動物の中には、魚類もいる。その中の一つが、泳がないマグロだ。
このマグロは、一切泳がない。海面に浮かんで波に逆らうことなく、まるで死んでいるかのように口を大きく開けて浮かんでいる。
神凪も、最初は死んでいるのかと思った。そうして近寄ってみると……。その驚きの生態を目撃してしまったのだ。
しかし、その世界でも個体数はかなり少なかった。何とかこの生き物を保護して、数を増やすことが出来ないものか。その一心で、彼女はオリジンに連れ帰った。
食用でもある。
その身は動かないからこそ、締まりがなく脂が乗り切っていた。口に含めば蕩けるようで、普段魚をあまり食べない神凪も、大層気に入って乱獲に目が眩みそうになったほどだ。
その美味しさも、彼らの生存戦略に他ならない。
美味しいのだから、餌にしようとする動物が多いだろう。そうして、無防備な彼らの下へ、吸い寄せられるように惹きつけられるのだ。そして、食べようとする。しかし、その時にはもう、既に術中に嵌っているのだ。
なんとこのマグロは、近付くものをその開け放たれた口で持って、……吸い込むのだ。クジラぐらいのサイズでも、簡単に吸い込む。
実にファンタジーな生態を作り出し、そうして、彼らは命を繋いできたのだ。ツナだけに。




