助っ人投入 後編
日本に住む青年の家は、両親とともに暮らす一軒家であるが、父親の単身赴任に母親が付いていったので、現在は青年だけの一人暮らしであった。
ペットの猫は青年には素っ気ない態度を示していたが、ご飯の時には大人しいし、トイレもきちんと指定された場所でしてくれる。それはすべて、神凪が躾けたものだった。
そんな猫も、満腹になって陣地としている部屋へ戻っていき、食卓には今、青年と神凪、そして多数の妖精が鍋の準備を待っているばかりであった。
「妖精って、何食べるの?」
「肉以外は何でも食べるよ。最近はグミがお気に入り」
「鍋にグミは入れないからな」
色めきだった妖精たちに、さっそく釘が刺された。
「……あれ、ゼラチンって?」
「それは言わないお約束」
骨や皮は肉ではない。それが彼女たちの認識だ。
「さて、さっそく鍋を作っていこう。とは言え、具材を入れて煮込むだけなんだけどな」
「お肉はどこの部位を買ってきたの?」
「バラ肉」
「と?」
「だけ」
せめてつくねも欲しかった。神凪は落胆した。
そこからは、本当に煮込むだけだった。ガスコンロの火を眺めてみたり、蓋をいじろうとして怒られたり。神凪は落ち着きがない。
業を煮やした青年は、奥の手を繰り出すことにした。
「そこの棚の上に、バスケットがあるだろ?」
「うん」
「中を見てみろよ」
椅子から腰を上げ、トテトテと言われた通りにバスケットを覗きに行く。そこにあったのは……。
「ビーフジャーキーだ!」
因みに鍋は豆乳鍋。




