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その婚約、誰が許したと言いました?  作者: 空月そらら


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第14話 華やかな舞踏会の裏側で――動き出す破局の伏線

運命の大舞踏会の日は、あっという間に訪れた。


 王太子サーシス殿下と、形式上の婚約者である私、エヴェリーナ・クラール。


さらに“事実上の恋人”シルヴィア・バラティエ侯爵令嬢。


 この三角関係(実質は私がハブられているだけだが)が、同じ空間に集うとなれば、周囲の貴族たちもただ事ではない雰囲気を察している。


 会場は豪華絢爛に飾られ、フロア中央では貴族たちが優雅に踊る。


壁際のテーブルには高級酒や料理が所狭しと並び、噴水のように流れるシャンパンの泉まで用意されていた。


 私はドレス姿で入場したが、初めから“王太子の隣”にいる予定などない。


殿下はシルヴィアと連れ立って堂々と振る舞い、まるで正式なカップルのように注目を浴びていた。


 (……ここまで来ると逆に感心するわね。よくもまあ、私の存在を無視しきれること)


 それでも、国王陛下が出席される正式行事の場で、王太子が婚約者を放っておくのは異例中の異例。


 周囲の人々は当然、この傲慢な振る舞いを眉をひそめて眺めている。それにもかかわらず、サーシス殿下は気にしない。


 「シルヴィア、今宵の君は一段と美しい……」


 などと囁きながら、満更でもなさそうにしている。


 (ここまであからさまなら、王太子としての威厳が危ぶまれると思うけど……)


 ただ、当の本人は国王陛下の代理として王弟ランドル殿下が今回も場を仕切るため、「父上の耳に届かなきゃ何をやってもいい」と甘く考えているのだろう。


 私は「さあ、ここからが本番」と思い、会場を一望する。


 なぜなら、本日“私が仕掛けた罠”がついに稼働するタイミングなのだ。


 事前に準備した魔石は、シルヴィア派閥が密会するサロンへ密かに仕込んでおいた。


そこから得た情報によれば――


シルヴィア令嬢は今日の舞踏会の中で“とある不正工作”を行うつもりらしい。


具体的には、私が“災厄の魔力を暴走させる”ように見せかけるための細工をする。


もし計画が上手くいけば、私は**「恐ろしい魔術で周囲を傷つける危険人物」**として糾弾され、婚約破棄どころか死罪になる可能性すらある。


 (随分と穏やかじゃない手を使ってくるわね。でも、大丈夫。私は既にその“証拠”を抑えているから)


 奴らはおそらく、この舞踏会の最中、私の飲み物や衣服に紛れて“魔力を捏造する毒”か何かを仕込み、私が制御不能になる演出をするのだろう。


 しかし、今や私の手元には彼らの密談の記録と、使用予定の道具の情報がすべて「影写しの魔術」で保存されている。必要であれば、この場で公表すればいい。


 (とはいえ、まずは“確保”してからね。あっちが罠を仕掛けた瞬間を見極めて――私はまとめて暴き出す)


 そう心に決め、私はさりげなく会場内を動き回る。

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