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魔法研究会

「魔法研究会に入ったはいいものの、何をすればいいのかな」

 茜が首を傾げて言った。

 部室がないので、多目的教室を借りた。メンバーは茜と明のみ。

「さあ。私はずっと幽霊部員だから」

「ひゅー、どろどろどろ、ひゅー」

 茜は両手を垂れ、変顔をした。

「いつの時代の幽霊よ」

 明は苦笑した。

「いまでしょ!」

 茜は両手を広げた。

「……あなたと会話していると、疲れる。話を戻そう」

「うん」

「まずは、メンバー五人を集めることを目標にしよう。そのためには、サークル活動のちゃんとした中身と具体的なメリットがないと」

「うんうん」

「そう思って、先生から、借りてきた」

 明はカバンから本を取り出した。

「これに、このサークルの歴史や活動が書いてあった。昔は十数名も在籍した時代があったみたいね」

「どんな活動してたの!」

「えっとね、魔法はどのようにして生まれるか、過去に魔法を使用した歴史上の人物はいたか、などなどを研究していたみたい」

「へー」

「あと、海外に行って、研究発表をしたこともあるみたい」

「すごい!」

「あと、あれ」

 明が素っ頓狂な声をあげた。

「なに?」

「ここのページ、破られている……。しかも複数」

「見せて」

 茜が本を奪い取った。

「本当だ。先輩、食べたりしていない?」

「私はヤギか!」


「前後関係を読む限り、魔法戦士の正体について探っているページかな」

 明はペラペラと何度も同じ個所のページをめくり、確認した。

「魔法が使える人間について書かれていると不都合があるから破り消したのか、それとも核心に迫る何かが書かれていたのか……」

「カプサイシン、ダイエット効果あるみたいだよ」

「そうそう唐辛子に入っている成分ね。でも、食べすぎわ……って、なんでそんな言葉は知っているんだ。カプサイシンじゃなくてか・く・し・ん」

「日曜日にやっている情報番組で学んだ!」

「やっぱり、あなたの相手は疲れるわ。――ところで、今日、麗ちゃんは合流しないの?」

「茶道部の何かするって言っていたけど、LINEで聞いてみる!」

 茜はスマートフォンを操作し始めた。


茜:ねえねえ

麗:なにかしら

  なにかしら

  なにかしら

麗:ごめんなさい。くしゃみして連投してしまったわ

茜:茶道部で何しているの?

麗:いま、T野高校で、茶道部の交流イベント中ですわ

茜:へー。あ、スマフォみてて大丈夫なの?

麗:ポケットの中で操作しているから問題ないわ

茜:え、すごい! 画面見てないのに!

麗:文字を音声に変換する方法があるのよ。音はブルートゥースのイヤホンで聞いているわ

茜:へえ!でも見ないで文字打てるのすごい

麗:ゴイゴイスー

茜:?

麗:ごめんなさい。またくしゃみで誤爆してしまって

茜:もんだい、ないさー

麗:GWの予定はいかが?

茜:うーん、特に決まってないよ

麗:じゃあ、明さんを誘って、三人でどこか行こうかしら

茜:いいね!

麗:いいですわ

茜:ですですです、デスマスク

麗:不謹慎

茜:ごめんなさい。ですですですめたる

麗:昔、いとこのお兄さんがよく聴いてましたわ。デスメタル

茜:へー

麗:ずっと会っていないけど、彼は元気かしらん

茜:元気!

麗:なんで茜ちゃんが知っているの(笑)

麗:GW、計画練っておくので、今度また話ましょ。

茜:よろー

麗:サークル活動

茜:うん

麗:頑張ってね

茜:ガンガンで頑張りまっすー

麗:はい

茜:先輩とのサークル、頑張るよ! あとで詳しいこと教える

麗:了解

茜:じゃあ、股根

麗:アディオス


「麗ちゃんは、他校で茶道部のイベント、真っ最中みたい」

「ずいぶん長い間やりとりしていたね」

「あ、ごめんなさい。つい、ツインテール」

 茜は後ろ髪をぎゅっと持ち、即席のツインテールにした。

「はいはい。面白い」

「えー、もうちょっと笑ってほしい」

「あなたの相手は本当に疲れる」

 その時、窓外から女性の悲鳴が聞こえた。

「もっと疲れる相手が現れたみたいね」

 二人は多目的教室を出た。


 今回の化け物は、ドーナッツのような円形をしていた。輪のまわりには、複数の元人間と思われるような顔が張りついていて、怪しい黒煙をだしていた。

「ぎぎぎぎ」

 妖しい声をだしていた。

 変身後、

「先輩の仲間?」

 と茜が言うと、明が憤慨した。

「あんなのと一緒にしない。私はちょっと影のある可愛い魔法少女だから」

 明は両手を前に突き出した。

「ファイ〇ルフラッシュ!」

 化け物の左右に直径一メートルほどの黒い空間がでて、雷のようなものがスパークした。

「ぎゃえ」

 黒ドーナッツは悲鳴をあげ、輪は半円に別れ、左右に吸い込まれていった。

「そういえば先輩」

 変身を解きながら言った。

「ずっと言おうと思っていたんですけど」

「なに?」

「LINE教えて!」

「それ、いま、聞くこと? 労いの言葉ないの?」

 明は苦笑した。

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