2.友達の死
バスを降りると目の前に病院が飛び込んできた。
夜という事もあり、薄暗く怖さを感じる。
とてもこれからいい事が起こる雰囲気ではない。
正直逃げ出したい。
逃げたあとの事なんか考えられない。
だけど…。
病院の中にはみんながいる。
行かないと…
重い足取りは病院へ向かった。
急いでいるのか、ゆっくりなのか中途半端な速度で
救急用の受付を経て集中治療室へ。
曲がり角の度に心臓が破裂しそうになる。
まだ着かないでほしい!
祈るような自問自答。
でもそれはある意味すぐに解決する事になった。
聞いた事のない泣き叫ぶ声が聞こえたからだ。
向井の母親だ…
本当に聞いた事のない声だ。
長い廊下の先では河原たちが肩を落としている。
本当に逃げ出したかった。
僕にはこの事実は重すぎる…
人とのつきあい方も分からない、
吹けば簡単に吹き飛んでしまうような僕が
この事実とどう向かいあえばいいんだ!
僕は彼らのところまで歩くのが精一杯だった。
誰も僕を見ようとしない。
僕も彼らを見る事は出来なかった…
向かいが死んだ。
よく分からない。
昨年、おじいちゃんがなくなった際に
もう二度と会えないんだって事がよく理解出来ず、
人は死ぬんだって事を深く考えて悲しんだのを
覚えている。
でもその時と全く違う感覚だ。
胸が異様に気持ち悪い。
でもそれは恐らくだけど一つの疑問があるからだ。
向井の人生が止まった。
それは本当に可愛そうで、残酷だ。
だけど…
今ここにいる4人は全員が浮かんでいると思う。
「どうして?」