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制御なきオブザーバー  作者: ひろすけ
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1.仲間の自殺

「向井が自殺した!」

いつもと変わらない平凡な日曜日。

いつも通り自分の部屋にいる。

僕が友達と呼べる人は休日もよく一緒に遊んでるらしいが、僕はそうはしない。

遊び方がわからないからだ。無理はしない。今は友達がいるって思うだけで幸せな休日になっている。

その事はみんなも理解してくれている。

だからこそ日曜日にはあり得ない河原からの電話は少し期待を込めてでた。しかし飛び込んできた言葉はあまりにも衝撃的なものだった。

友達の自殺だ。


「ど、どうして?」

「詳しくはわからないが、片瀬が最初に発見したらしいけど自分の部屋で首を吊っていたらしい。○○病院だ!大野にも連絡した。早く来い!」


僕の返答を待たずに電話は切られた。全く頭が整理されていない。僕の許容範囲をとてつもない情報が超えてきた。


向井が自殺って…

向井が自殺?

首を吊って?

そんな事高校生にできるのか?


どうすればいいんだろう。河原の言葉が頭の中をぐるぐると回っている。とにかくこのままで頭の中が整理されるわけがない。病院に行かないと。


まずは着替えて、それから…、

病院にはどうやって行くんだっけ…

お母さんにはなんて言えば…。

着替えてる手が震えている。とにかく落ち着くんだ!

バスに乗って、みんなに会って、話をして、

大丈夫、大丈夫。


 バスの揺れと自分の鼓動が全く合わずに気持ちが悪い。

それでも乗っている時間は長いため慣れていくしかない。

しかしそれ以上にやらなければならない事は

気持ちの整理だ。

頭が真っ白だったが、バスに揺れていると少しずつ向井の自殺について考えられるようになってきた。


どうして自殺なんて。いつもみんなで楽しくしてたのに。首を吊ったって、それって命にかかわることなのか!病院って事はまだ息があるってことなのか?今の時点では解決できない事ばかり浮かんでくる。


しかしそんな中でまた別の考えが浮かんできた。

 〇〇病院はおそらく僕が一番遠いところにいる。たどり着くには一番時間がかかるはずだ。

着いた頃にはもう向井は大丈夫になっていて、病室のベッドの上で笑ってみんなと話してるんじゃないか?もっとゆっくり行って全てが解決してる頃に顔をだそうかな。どうせ僕なんか誰も待ってないだろうし。


でもそれと同時にすごく不快な気持ちが込み上げてきた。

また逃げてる。

友達として一刻も早く行かなければならないのに…。

いつもそうだ。嫌な事からすぐ逃げる。

やっとできた友達なのに…

今は自分の事なんかどうでもいい。

自殺した向井の事だ!


僕らは気の弱い人間の集まりで、周りにびくびくして学校生活を送っているが、僕ら5人は本当に仲がいい。

僕だけでなく向井だってやっと出来た友達に喜んでたはずだ。

病院に行けばわかるのだろうか。

病室のベッドの上で笑ってくれてればいいけど。


バスは〇〇病院をコールした。心臓が大きく弾んでいるのがわかる。ボタンを押す指が震えている。落ち着くんだ。とにかく落ち着こう。

病院に行けば全てが解決するはずだ…

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