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第三話 光の親友との再会

氷の賢者が、眠る場所。

それは、霊峰とも呼ばれる、雪山の中腹にあった。


「ここが、あいつが眠る場所……」


灰色の砦を見上げて、息を呑む。


集めた情報によれば、雹はこの砦の中で、氷の中でコールドスリープ状態で眠っているはずだ。

そして、それを守るため、彼の側近だったエルフが、砦を、引いては雹を守っているはず。


「正面から行って、ダメだったら裏技で侵入だろうな……」


よし、と呟いて、すう、と息を吸った。


「ごめんください! ここに氷の賢者、雪川雹が居ると聞いて来たのですが!」


目いっぱいの大声で叫んだ、数分後。


「……なんの用だ、人間」


暗い目で現れた、エルフ……緑色の髪の青年に、俺は笑顔を向けた。


「雹の親友です。俺なら彼の眠りを解けると思ってきました」

「親友? ヒョウ様が待っているのは「愛しい人」だ。お前は男だろう」

「えっ」


……今、なんて?


「聞こえなかったか? ヒョウ様が眠りについたのは、想われている女性と会うためだ。お前は男だろう」

「初耳なんだが!?」

「……うるさい」

「あ、すまん」


思わず謝ったが、いや、ええ……?

嘘ぉ……。


というか、雹が知っている姿の方がいいと思ってわざわざ着替えたんだが……もしかして、逆効果だっただろうか。

仕方ない、出直すか……、と思った、次の瞬間。


「待て。まあ、苗字も知っていたし、ヒョウ様の知り合いなのは確かだろう。……案内してやる」

「え、いいの?」


思わず問いかけると、ギロリと睨まれた。こわっ。


「ヒョウ様が眠りにつく前に命令されていたことだ。お前のためではない」


そう言って、彼は砦の門を開けて。


「……だが、私の主に危害を加えようなどと思うなよ? そうしようとした瞬間に私が殺してやる」

「わかった」


俺に背中を向けたまま、殺気を突き付けた。

……なんか毛を逆立てる猫みたいだなあ。

心配する気持ちは分かるが、俺があいつに危害を加えるなんてあり得ないんだが。


素直に彼の後ろをついて歩きつつ、俺はそう思った。

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