第二話 光の親友捜索
第一話の後、町を目指している光視点の話。
魔物を倒しつつ砂漠を歩いて1時間。
「やっと町か……」
目的の町の外壁が見えてきた。
町には門があり、門番による検閲も行っているようだ。
列が出来ていたので素直に並ぶ。
待っている間、前に並んでいたエルフの商人に少し話を聞いてみた。
国と、暦。
それから――伝説。
俺は勇者と呼ばれることが多かった。だから、俺が前に召喚された世界ならば、伝説のひとつでももしかしたら残っているじゃないか、と思って尋ねてみたのだが……。
「氷の賢者」と呼ばれた、どこからともかく現れ、一大帝国を築いた魔法使いが居たらしい。
――それを聞いた時、何故か彼だ、と思った。
エルフというのは長命だ。話を聞かせてくれた商人も、帝国が興った当時、商人としてそれに立ち会った当事者であったらしい。
流石に賢者様本人と会ったことはありませんが、と断って聞かせてくれた彼の逸話は、俺の知る雹ならやるだろうな、ということばかりで。
雹は……氷の賢者は、ずっと誰かを探して居たらしい。
見つからない「誰か」が、いつか来てくれることを願って――彼は、眠りについたのだとか。
流石に彼が眠っている詳しい場所までは聞けなかったが……。
雹は氷を操る異能持ちだ。魔法も組み合わせれば……そういう、時間を止めて眠り続けるような装置は作れるだろう。
それが、俺が居る今の、200年前。
200年も前に、彼は眠りについたのだそうだ。
「コールドスリープかっての……まったく」
迎えに行ってやらなきゃな、と小さく呟いて……門番の呼びかけで順番が回って来たことに気づき、歩を進めた。
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「すみません、氷の賢者が眠るという場所を探しているのですが……」