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病弱少年の異世界転生~やれなかったことをやるための物語~  作者: ◆smf.0Bn91U
プロローグ:世界に留まるキッカケを
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逃走本能

 ヒロイン出したいがために一時間制限を超えて書いちゃったな……いつもより遅くなってしまって申し訳ないです。

 温泉の中へと入るように後ずさる。視界は『骨』を捉えたままだ。


 助かったのは、『骨』が温泉の中に入ってこないことだろう。

 ずっとこちらを見て──というか顔を向けてきているため、ここから抜け出して逃げるなんてことはできそうにないけれど。

 なんせこのまま反対側に向かおうとしたら、あのガッチョガッチョという足音を鳴らしながら、外周に沿うよう歩いてきてるし。


 これは……ヤバいのでは……?


 そりゃああして外側を周って追いかけてくる習性を活かせば、ちょうど反対側からこの温泉を出て距離を稼いでから走って逃げることも出来るだろうけど……この温泉、縁が坂道じゃなくて段差になっている。だから落ちてしまった訳だけど。


 つまり、ここから出て逃げるためには、ちょっとした段差をよじ登らないといけないということになる。


 入院生活が長いこの僕が、ここを登りきれるとは思えない。

 よしんば登りきれたとしても、『骨』がかなり追いついてきていることは間違いない。


 ……それでも……するしかないか……!


 なんせ今、スゴい勢いで自分の身体に熱が籠もってきているのが分かる……!

 頭もボーッとしてきてる気がするし、逆上せるちょっと前感がヤバい。

 最早語彙力もヤバい。


 という訳で即実行。


 このままお湯の中で倒れて溺れ死ぬぐらいなら、足掻くだけ足掻いてやるほうが良いに決まってる。


「…………」


 温泉の中央を通って反対側に向かっていると、そのまま周り込んできた。

 ある程度こちらに近づいたのを見計らって、そのまま遠ざかるように歩いてさらに誘き寄せた後……駆けるようにして中央を突っ切って、真正面──ちょうど落ちてきたところの近くまで向かう。

 間に挟んだ誘い込みが功を奏したのか、温泉を一周する形にすることが出来た。

 これでより時間を稼げる……!


「ふんっ……!」


 イメージでは、プールサイドから上がる時のように勢いよく上体を持ち上げていたんだけど……さすが体力皆無の僕。そうはいかない。

 縁に両手をつけ思いっきり身体を持ち上げるように力を入れたのに、全然身体が上がらない。

 水の浮力もあるはずなのにここまでか……!


「ぐぅ……!」


 それでも、『骨』が迫る前に何とか這い出でないと……!

 外周をガッチョガッチョと歩いてくるのを視界の端に収めつつ、何とか右足を外に出すことに成功。


「ふんっ!」


 そのまま両手と右足に力を入れ、残りの左足を外へと出す。

 勢い余って転がってしまったが、何とか脱出成功!


「っ!」


 慌てて『骨』を確認すると、まだ結構距離がある。

 このまま下り坂なのを利用すれば、逃げ切れるかも……!


「いや無理だろ!」


 自分の体力を考えればそう自分の思考にツッコミを入れてしまうのは当たり前。

 だからといって、再び温泉に戻ることも、このまま立ち止まったままでいるはずもない……! 足掻くだけ足掻いてやるっ!


 立ち上がり、山を降るように走り出す。




 その拍子に入院着が脱げてしまったが気にしない!




 今は生き残ることが先決だ。

 服なんて二の次だ。


「っ!」


 と、下り坂に差し掛かってすぐ、下から誰かが登ってきていたのが見えた。

 この異世界に来て初の人間だ。


「お~い!」


 その人に向かって叫ぶ。


「上からヤバい奴が来てます! 逃げないとっ!」


 駆け下りながらそう叫ぶ僕を見上げて──


「きゃあああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーー!!!」


 ──悲鳴を上げた。


 しまった! やはり僕の足じゃあすぐに追いつかれたかっ! もう追いついてきてるのかも!


 どれぐらい距離を詰められたのか確認しようと振り返った……その動作で、運動慣れしていない身体のバランスが崩れたのか、それとも逆上せかけた影響なのか、足がもつれて転がってしまう。


「っ!」


 痛みが全身を襲う。

 岩肌の坂道を転がるように落ちるというのは、本当表現のしようがない鈍い痛みが連続で襲ってくる。


 視界もグルグルと動いて、次第にただただ痛いということしか分からなくなる。




 そして、最終的に……後頭部により強い痛みが襲ったかと思うと、僕の意識は途切れた。

 という訳でやっとヒロイン出せた……!

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