今できることを
昨日はいつかと同じで、ゲームに夢中で更新出来ませんでした。
申し訳ありません。
意識を手放す直前、このまま殺されるのだろうと、どこかで考えていたと思う。
「…………」
それでも僕は、普通に目を覚ました。
さっきまでいた、あのテントの中で。
「……いやなんで?」
思わず誰もいない空間でツッコんでしまう。
――そう。
誰もいないのだ。
俺を気絶させたコハクも……キリーさんが背負ってきたあの女の子も。
僕だけが一人で、気絶させられたテントの中に放置されていた。
……なんで殺されなかったのか。
その疑問が浮かぶ。
本当に弱いから生きていても邪魔にならないと判断された……という可能性が一番高いけど……それなら今度は、わざわざ睡眠薬を入れたのが自分と明かした理由の説明がつかなくなる。
結局水の中に入れられたのは、毒ではなく睡眠薬だった。
あの見せられた瓶が本物なら、そういうことになる。
「……って、だからなんでだよ……」
丁寧なことに。
あの時渡された瓶は、僕の手の中に在るままだった。
見せて、回収もせず、そのまま。
……やっぱり睡眠薬というのも嘘で、これはただの泥水のようなもの……?
それとも……実はコレこそが、純度の高い水……?
水の属性が強い液体ならどれでも良いということが、あの程度の短いやり取りで分かっていた……??
もう、何もかもが分からない。
「……いや……」
でも、だからといって……考えないわけにはいかない。
昔はそこで思考を止めても良かっただろうが、今はダメだ。
戦う力が全く無い上に、生きる力もほとんど無い。
そんな僕が出来る数少ないことを放棄しては、キリーさんに顔向けできなくなる。
だから、分かる範囲で良い。
考えなければ。
「…………」
まず、この睡眠薬と言って渡された瓶だ。
これを水属性として純度の高い水と考えるのは、あまりにも早計すぎる。
それにこれを渡すのに、わざわざ一度気絶させる理由も分からない。
妹さんを治すのに必要だということは知っているから、仲が良かった以上はコッソリと渡す理由なんて無い。
……いや、気絶させて渡したままにするのを“コッソリ”と表現すること自体間違えているかもしれないが……。
となると、ココはまだ、分かっていないことがあるということ。
「…………」
次に、僕がここに放置されていた理由。
これも想像することしか出来ない。
ただ気絶させて放置したということは、僕に知られてはまずい何かがあったのは確かなのだろう。
殺さなかったのはさっきも考えたとおり、殺そうと思えばいつでも殺せるから。
このまま邪魔をしないなら見逃してやろうとか、そういうのかもしれない。
「……そうか……」
連れて行かれた、コハクにとって同族の女の子。
その子をどこに連れて行くのか僕に知られたくなかった。
だから僕を気絶させ、あの子を連れてどこかに行ったのか。