姉の帰宅と妹との対面
三段ほどの階段を登れば玄関への扉があるところなんて、特にフィクション感がある。
絵本やマンガでよく見る、ザ・別荘のイメージそのもの感というか。
……個人的には、丸太を重ねたような外観だったら完璧だと思うのだけれど。
まあ、さすがにそれはリアルに住み辛くなるのだろう。極々普通に木材ベースの建築だった。
「ちょっと待ってて」
階段の下で僕を待たせて、先に家の中へと入っていくキリーさん。
扉を開ける時に聞こえた「ただいま」という声はどこか柔らかくて、中にいる妹さんと再会できた安堵感があった。
その間に、家をぐるりと回る。
全体的な大きさはそこまでではない。
中は本当に一部屋か二部屋ぐらいしかないように見える。
……と、裏口側にもう一軒、同じような建物が建っていた。
しかしこちらはさらに一回りほど小さく、木材ではなくレンガ積みとなっている。
キリーさんが入っていった、妹さんがいる建物の裏口と道線になるよう入口があり、家からすぐに移動できるよう工夫されている。
……この建物二つ、元々あった建物を二人が使っているのか、それともわざわざ建てたのか……割りと気になるな。
なんて思いながら回り込んで玄関口まで戻ってくると、中での話を終えたのか、キリーさんが待っていてくれた。
「遠くに行ってなくて良かった。
妹に事情は説明したから、入ってちょうだい」
その言葉に戸惑いながらも頷きつつ、おじゃまします、と声をかけながら、先に入っていったキリーさんの後に続く。
中は広いワンルームだった。
そして妹さんは、入って右手側の奥にいた。
病気と聞いていたので、てっきり隔離された部屋にいるのかと思ったが、とんだ勘違いだったようだ。
すぐ右手側の壁──窓を挟んだ壁沿いの隅にはもう一つベッドがあり、おそらくそこがキリーさんの場所なのだろう。
左手側の壁際にはタンスやテーブルといった日用品に加え、剣や鎧にローブといった冒険の時に身につけるものがまとめられている。
玄関から真っ直ぐに進めば、先程見つけた裏口へと繋がる部屋があった。
この位置から見る限り、奥はキッチンだろうか。もしかしたら水を使う作業は全部あの部屋でするのかもしれない。
だから裏口があるし、その道線に別の建物があったのだろう。
「君が……」
ベッドに入ったまま上体を起こし、こちらを静かに見つめる女の子。
キリーさんと同じ系統の紅い髪の色。
しかしどこか薄く、キリーさんが紅なのに対し、どこか朱色がかっている。
顔立ちもまた、キリーさんは女性らしさが際立っているが、彼女はどこか子供っぽい。
ただそれも、外見だけを見れば、の話だけど。
雰囲気も含めた全体を見れば、どこか儚げ。
何度も、どこでも見ていたことがある、その雰囲気。
入院していた病院で、子供も、同年代の人も、大人の人も、お年寄りの人も……入院してきたばかりの頃は、こんな雰囲気だった。
「……あなたが、お姉ちゃんの連れてきた人、ですね」
「……はい」
静かな声。
まるで、僕を見極めるようなその声は──
「……は~! 何その冴えない顔とだっさい服っ! よくこんなの連れてこれたもんね~、ホント!」
──次の瞬間には、僕をバカにするようなものに変わった。
やっと妹さん出せた。
姉のように大人しい性格にすべきかどうかをずっと悩んでたせいで時間掛かった……まあこっちの方がキャラ分散していい感じになるかもしれない。
明日は昨日言っていた通り更新できないのでお休みします。
ついでに妹さんのキャラをもう少し固めようかと。