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病弱少年の異世界転生~やれなかったことをやるための物語~  作者: ◆smf.0Bn91U
プロローグ:世界に留まるキッカケを
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幻想の中で

 ──これで最後──




 いつもなら、こんな一言を聞いたらすぐに、目が覚めていた。


 だけど今は、違う。


 意識がある。


 黒くて暗い中に漂っているような、けれども同時にちゃんと寝転んでいるような、よく分からない感覚の中……その言葉にただ、耳を傾ける。




 ──あなたは、あなただけの三つの能力を得た──




 男性とも女性とも言えない声。

 いや、そもそもそれは声なのか。

 頭の中に直接文字として浮かんで、それを“誰かから聞いている”と錯覚しているだけのような気もする。




 ──あなたの望んだ形で──




 身体を起こしたり、目を開けたり、言葉を発したりした瞬間……いつものように覚めてしまう気がして、ただ話を聞いていることしか出来ない。




 ──だからもう、思い出せたはず──




 ああ……そうだ。

 思い出した。

 僕は以前、ここと同じような場所で、これと同じような声で、ちゃんと言われていた。


 こちらの手違いで、そちらの世界では治療できない病気を与えてしまったことを。

 その罪滅ぼしに、僕の願いを叶えてくれるということを。

 そのために、有利になる能力を三つ、望むものをくれるということを。


 だから、僕は願った。

 前の世界でやりたいと思っていたことを、別の世界で叶えさせて欲しいと。


 そのために、僕は望んだ。

 一つは、その行くことになる世界の知識の自動適応。

 そして残りの二つを、向こうの世界に着いてから決めさせて欲しい、と。


 ただ、世界に行ってしまえば、ここでの記憶はなくなると、注意を受けていた。

 だから覚えていなかった。

 多分、今思い出したこの内容も、またすぐに忘れてしまうのだろう。




 ──あとはあなたが、あなたの世界でしたかったことを、この世界で行ってくれればいい──




 僕が、この世界でしたかったこと。

 元々の世界で、やりたくても出来なかったこと。


 病弱じゃなくなったこの身体で……やりたいこと。




 ──例えそこには、自己満足しかないとしても──




 そう……自己満足だ。

 だってここで、やりたかったことを満たしたところで、僕が死んだことには、変わりないのだから。




 ──あなたが望んで向かう世界で、あなたがしたかったことをすればいい──




 それでも……僕はやりたかったんだ。

 ただ、死んでしまっただけみたいな人生を……少しでも、無駄じゃなかったと、思いたかったから。


 例えそれが、別の世界であってでも。




 ──頑張って。




 最後に聞こえたその声は、感情が乗っている。

 そう思うのは、僕の勘違いだろうか。

 先に主人公の主目的を明かしておく方が良いかなぁ、ということでこんな流れに。

 次からは本編戻る感じでいきたいね、うん。

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