第17話:〖休日の過ごし方〗
「ちょっとジャック君?なに堂々と固有魔術使ってるのかなぁ?」
微笑みながらジャックを見るアリス。でも目は笑ってない。
「あんなの固有魔術じゃないよ。やろうと思えば誰でもできる」
「ウソはついちゃだめだよ?お姉さん怒っちゃうぞ!」
軽いノリで言っているアリスだが本気っぽいので抵抗しないでおこう。
「はい、すみませんでした。はい。でも事実やろうと思えばできるって、一般化されてないだけだよ」
「ほう。私でもできない魔術が固有魔術じゃないと?」
「固有魔術に限りなく近いだけで・・・っ」
「はいはい。すごいすごいー」
「・・・・っ」
「でもそれくらいのことができるのがばれちゃったよ?」
「いいんじゃない。別に俺の固有魔術のほうはばれてなさそうだし。アリスの固有魔術あれば無双ゲーでしょ」
「ふふふっ、ありがと~」
心底嬉しそうに笑うアリスがいた。
◇◆■◆
休日。ジャックは学校近くの街を回ることにした。
この街に住んでいることは住んでいるが、職業柄(教師じゃないほう)的にあまり店などについては知らないのだ。アリスと回ろうと誘ったのだが断られてしまった。
この街は海に面していながらも広大な土地を持っているため漁業、農業、酪農が盛んにおこなわれている。
気候区分としては、地中海性気候となっているためオリーブなどが名産品となっている。
温暖な気候な気候でジャックはこの街が気に入っていた。
とりあえず気になった店に寄っていくスタイルで回っていくことにする。
あっ、ソフトクリームが売っている。
甘いものが好きなジャックが興味を示したのは、ソフトクリームの専門店だった。
「あっ、あのぉ、こっこっこれください・・・っ」
「あ、はい。大丈夫?」
「ごっ、・・・すみません。」
「えっ、なんで謝ったの?」
ジャックが何をしたかというと、ソフトクリーム屋の店員にバニラ味のソフトクリームを注文しただけだ。
しかし、ジャックにとっては他人と話すこと自体が大変勇気を必要とするものなのである。
店員は満面の笑みでジャックの注文を聞いてくれる。
ジャックは出来上がったソフトクリームを無言でもらうとその場を去った。
ジャックはソフトクリームを1口食べる。口の中がひんやりとし、濃厚な甘みを感じる。
う、うまい!こんなにおいしいのは初めてかもしれない。
そのソフトクリームはジャージ牛の乳で作るソフトクリームのような濃厚さに加え、新鮮な牛乳を使ったと思われる別のおいしさと香りがあった。程よい甘さでジャックを満たす。その味は先ほどの失敗を忘れさせてくれるようなやさしさがあった。
今度アリスにも教えてあげようっと。
気候区分とはケッペンの気候区分です。
気になる方、分からない方は調べてみて下さい。