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教皇暗殺計画  作者: 上総海椰
8/24

2-3 闇の中へ

二回目の話し合いがもたれたのはその日の夜だった。

ヴァロたちは小さな料理店だ。店内は貸切になっており、客の姿は見られない。

どこの店も人であふれているというのに通りから外れたその店には不思議と誰もいない。

「こっちこっち」

宿の奥でイクスが手を振っている。

フィアたちはイクスのいる場所に向かう。

「ここは?」

「店主は信用の置ける者です。大丈夫ですよ」

フィアの問いにローが笑みとともに返す。

フィアは席に着くと話を話を切り出す。

「こちらが提供できる人数は私を含めて四名しかいません。この人数ではやれることには限りがあります。それでも協力してもらいたいと?」

「構わない。どうせ表の警備は聖装隊とトラードの警備隊が仕切ってる。うちらが入ってく隙はないさ。

フィアさんたちにまかせたいのは奴らの目の届かない裏方の仕事だ」

「指揮は誰が?」

「任せる。任命式の終わるまでにあんたの自由に動いてもらって構わない」

「私が?」

予想外のことだったのかフィアはイクスに聞き返す。

「カランティは元聖堂回境師、魔法のエキスパートだ。ならば現役の聖堂回境師の君が指揮をとってくれた方がいい」

「私はトラードに詳しくありません」

「残念ながらこっちも詳しい人間はいないんだ。カランティとのつながりが考えられる上に、そうでない奴はみんな警備に連れて行かれていったからね」

横からローがフィアたちに話しかける。

この地を担当していた『狩人』もカランティとのつながりを疑われ異動を余儀なくされたと聞いている。

状況はこちらが思っている以上に悪いということだろう。

「責任の所在は?」

「今回俺たちはあくまで裏方だ。存在していないのだから責任の取りようがない。もちろんそれに見合うだけの栄誉もないが」

「栄誉など初めから求めていません」

フィアの言葉にイクスは微笑む。

「それでも来てくれたということはそれなりに思うことがあってきたんだろう」

「…私の望みは式が無事終わることです」

フィアは次にトラードの聖堂回境師になるミョルフェンに対して悪い感情は抱いていない。

むしろフィアは好意すら抱いている感じである。

「私たちも一緒だ。何事もなければ私たちは動くことはない。

さて、こちらからも質問をさせてもらおう。裏の仕事しかできない者たちはどんなモノたちだと思うかな?」

イクスのいきなりの質問にフィアは目を細める。

「社会からはぐれたモノたち?」

フィアの代わりにクーナが答える。

「そうだ。そして教会の目の届かない東部にいるはぐれモノと言えば?」

「魔族」

フィアが小さくつぶやく。

「正解だ。教会の目の届きにくい大陸東部の山間部では未だに魔族が多い」

現在、北東の山岳地帯の奥地には魔族の集落が点在するという噂である

有名な話だ。第二次魔王戦争以後時間が経つにつれ異邦と人間界の線引きができてきた。

有力な魔族は三人の幻獣王の旗の元、大陸西部に移り住んだためだ。

そのために人間界にいる魔族は人間界から徐々に排斥され始めた。

魔族の中から魔王が生まれるため、人間たちは魔族を嫌い、人間界から魔族の排斥が進んでいく。

それは自然の流れでもあった。

「しっぽはつかんだものの相手の集団には魔族が関わっている可能性がある。実際に捕り物で魔族を捕縛したしな」

ヴァロたちもその捕り物に結果として参加している。最もヴァロたちは魔族とは遭遇はしなかったが。

「任命式の出席は?」

体面的にもフィアは出席しなくてはならない。そもそもそのためにこのトラードまでやってきたのだ。

「脅威が無い、もしくは無くなったと判断したのなら任命式に出席してもかまわない。こちらは欠席を強要するつもりはないよ」

「…ずいぶんとこちららに配慮してくれるのですね」

フィアはイクスを見据える。

「君たちへの信頼の証と受け取ってくれ」

にこやかにイクスは返す。

イクスと言う男はどんなことをしてもフィアを巻き込むつもりでいる。

「そちらの持っている情報はいただけるんですか?」

「こちらの情報もそちらに可能な限り流そう」

「私たちの得た情報は?」

「俺たちに教えるかはあんたの判断に任せる」

フィアはため息をついた。条件としては悪くない。

「念のために書面にしたためていただけませんか?

終わった後、妙な嫌疑をかけられるのはこちらもできる限り避けたいですから」

イクスは表情を緩める。まだ聖堂回境師が任命されていない中で独自の権限で動くことになる。

その上イクス達も強引に動いているようすである。

何らかの証拠がなければすべてが済んだ後、足元をすくわれることもある。

「了承した。明日の朝にでもにそちらの宿に届けさせる。…ただし協力は今日からだ」

「明日のパレードですね」

「ああ、そうだ」

明日教皇がトラードに到着する。その時に教皇は沿道でパレードを行うことになっている。

教皇近衛兵がいるために可能性は低いが暗殺が行われる可能性がないとは言い消えない。

「パレードの時間とルートは御存じなのですか?」

「ああ」

教皇の進むルートは機密事項になる。

一般の人間は当然だが、教会の上層部でもそれを知る者はほとんどいないだろう。

その点でも彼は中枢にいる人間だとわかる。

「時間は教皇の進行状況からみておそらく昼ごろになるだろう」

イクスはそう言いながらテーブルにある食べ物をどかして地図を広げる。

その地図には三色で道が塗りつぶされている。

「ルートは三つ。どれを選ぶかは当日に決めると聞いている」

「…警備が手薄になりますね」

警備の人数は限られるし、直前に決めるためにどうしても動きが限られてくる。

フィアの言うとおり警備が手薄になるのだ。

「この三つのルートの警備を今日のうちに話し合っておきたい」

「わかりました」

そうして半刻ほどのパレードの軽い打ち合わせのあと解散となった。



「…思ったより慎重だったな」

帰り道イクスは小さくつぶやく。

トラードはとっぷりと日が暮れていた。

日付も翌日となり、通りを出歩く者は少ない。

「そうでなくては手を組む意味がないが」

「…あなたはまだ試しているのですか?」

ローの言葉にイクスは首を横に振る。

「試すほど余裕はこちらにはない。今回はカランティの他に東部の魔族も噛んでいる。

ひょっとしたら俺たちの予想よりもはるかに厄介なことになるかもしれない。

彼女たちには協力してもらわなくては困る」

イクスは小さくつぶやいた。

「そうですね」

「あの小さな聖堂回境師の手際をみせてもらうとしよう」

トラードは任命式を控えトラードは静まり返る。

二人は闇の中を進む。


次の日の朝ヴァロたちの部屋に一つの書状が届く。

そこには教皇の判が押されていた。

封神演義がアニメ化されると聞いてちょっとうれしい。

聞仲かっこよかったなぁ。十二仙との戦いは少し期待。

昔の作品のほうが波はあるけど、人に媚びてなくて好き。

そうでもなければ今は連載すら叶わないのだろうけど。

漫画と小説は近いけどそのあり方がずいぶん変わってきたと思う。

漫画は内容が限られている分、読み手を意識しなくちゃならない。

何を書きたいのかではなく、いかに読み手に寄り添えるか。

それだけ業界全体の力が衰えてきているともいえなくないと思う。

もしくはたくさん枝があり過ぎて新しい場所に栄養がいきわたらないのか。

論じたところで意味はないね。これも一つの流れだ。

自分はこの作品を完結させたいから小説と言う形を取ったのだけど。


魔王戦争編、大陸統一会議編はこの話の結びになる物語になります。

どうにかして書き上げたいなあと。

よろしければもう少しお付き合いください。

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