戦い
ねぐらに帰ると、仲間たちと話し合い、半分は村へと続く街道のここで待機。
もう半分の仲間たちは村へ待避状況の確認をしに帰ることになった。
「まぁ、ここにたどり着くにもいたるところにしかけはしてあるからね。
あいつらが村から戻るまでの時間稼ぎくらいははできるだろ。」
フェイは飄々と弓矢の手入れをしている。
俺も剣を振りかぶって体を慣らしている。
村では俺達はそれなりに強い方だ。
ただ今まで村に引きこもって生活していた。
外の人間達がどのくらい強いのかは想定がつかない。
騎馬がけっこういたな。
どんな風に足止めさせようか
そう考えていたときだった。
「……うわ
…まずったかも……???」
フェイがポツリと呟いた。
残った全員がゆっくり立ち上がって街道の先を見る。
俺達は狩りをしているせいか、耳だけは自信がある。
聞こえたのは、馬の嘶き。
…来た。
「おいフェイ!もう少し持つんじゃなかったのか?!」
「はっはは~!誰しも失敗はあるってね!!
いくぜザイラス!!」
街道の上の木の影に隠れ、真下の街道をみる。
黒い鎧をまとった騎馬隊が駆けてくるのが見えた。
人数の少ない今の状況でははっきり言って自殺行為。
わかってる。
わかってるけど、この先に守りたいものがあるなら、わかっててもやらなきゃいけない。
「俺が上から飛び降りて気を引く。その後は…よろしく頼む」
「イエッサー、ボス!」
「…頭の次はボスかよ」
「健闘祈る!」
騎馬隊およそ30~に対して俺達は15人だ。
まともに言って勝てる確率はほぼない。
…まともにいけば、な。
騎馬隊が街道を駆けてくる。
今だ!
俺はギリギリのところでジャンプして、街道の中央に躍り出た。
「!!
全隊止まれぇ!!」
気づいた前方の騎馬が止まるよう指示をかけるが、遅い。
間に合わずに一部の騎兵が前の馬にぶつかり、兵が落馬する。
「放て!!!!」
フェイの指示で弓隊の猛攻が始まる。
めがけるのは馬の足元。
パンパンパン!!!
弓と同時に投げ込んだ爆竹が激しい音と煙幕をあげる。
馬は驚き、兵は更に相継いで落馬。
暴れた馬はその場から逃げ出す。
「くそっ……誰だおまえら…!」
兵は煙幕の切れてきた合間から、目の前の人物に目を凝らした。
漆黒の黒髪に、燃える血の紅色の瞳。
それは、自分達の目的の敵。
「…出たな、魔族……!!!!!」
俺を見て、そう呟いた。