まさかの
鳥の声や森のざわめきだけが周りから聞こえる。
俺達の誰からも言葉が出なかった。
自分達の反対の白銀の髪は、そこにいるだけで木漏れ日を受けてキラキラと瞬いている。
まるで小さい頃に読んだおとぎ話に出てくる妖精のよう。
とてもキレイだ。
多分みんな、そう思っていたと思う。
「ん……」
身じろぎして、腕の中の妖精がうっすらと瞳を開いた。
その瞳は光るスミレの紫。
こちらもキラキラと光が瞬いている。
ふと、顔を上げた妖精は、俺の顔をみて固まった。
あ
怖がらせてしまう……。
小さい頃から村の奴等でさえ見た目を怖がられてたこの俺だ。
こんな女の子、泣かせてしまうに決まってる…!
ふと顔をそむけた。
「わ…悪い、今どこか寝せられるところに…」
怖がる前にどこかに移動しなくてはと、彼女をそのまま持ち上げて、立ち上がった時だった。
ぐいっ
気がつけば、妖精は俺の顔を両手で自分の方向に向かせていた。
また合った、スミレ色の瞳。
すこし上気する、ピンク色の頬。
その瞳は先程より、ランランと輝いて、口を丸く開け、俺の顔をまじまじと見ている。
な…なんだ?
驚いたのか??
「あたしの旦那になってくれ!!!」
ぎゅう
と、両腕で首元をホールドされた次には
柔らかい感触。
ふわりと香った、柔らかいピンクの唇が、俺の唇に重ねられていた。