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盗賊は聖女に愛される  作者: ton
1章
5/53

まさかの

鳥の声や森のざわめきだけが周りから聞こえる。


俺達の誰からも言葉が出なかった。




自分達の反対の白銀の髪は、そこにいるだけで木漏れ日を受けてキラキラと瞬いている。

まるで小さい頃に読んだおとぎ話に出てくる妖精のよう。


とてもキレイだ。




多分みんな、そう思っていたと思う。



「ん……」


身じろぎして、腕の中の妖精がうっすらと瞳を開いた。


その瞳は光るスミレの紫。

こちらもキラキラと光が瞬いている。


ふと、顔を上げた妖精は、俺の顔をみて固まった。



怖がらせてしまう……。



小さい頃から村の奴等でさえ見た目を怖がられてたこの俺だ。

こんな女の子、泣かせてしまうに決まってる…!


ふと顔をそむけた。


「わ…悪い、今どこか寝せられるところに…」

怖がる前にどこかに移動しなくてはと、彼女をそのまま持ち上げて、立ち上がった時だった。


ぐいっ


気がつけば、妖精は俺の顔を両手で自分の方向に向かせていた。


また合った、スミレ色の瞳。

すこし上気する、ピンク色の頬。

その瞳は先程より、ランランと輝いて、口を丸く開け、俺の顔をまじまじと見ている。


な…なんだ?

驚いたのか??




「あたしの旦那になってくれ!!!」



ぎゅう

と、両腕で首元をホールドされた次には

柔らかい感触。



ふわりと香った、柔らかいピンクの唇が、俺の唇に重ねられていた。


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