表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザ☆旅行記Ⅹ 神と神々の都  作者: 小宮登志子
第11章 再び教団本部
91/185

積荷は何か

 わたしはプチドラを抱き上げ、小さい声で、

「どう? 何か分かった??」

 すると、プチドラは、わたしの耳元に口を近づけて、

「うん、かなり怪しいよ。一応、教団の『違法行為の証拠』に当たるかもね」

 話によれば、荷馬車の行列は(「御都合主義的に」と言うべきか、「やはり」と言うべきか)唯一神教の本部に向かって一列につながっていて、(これは余談だけど)通行人は非常に迷惑している様子とのこと。荷馬車の台数は、数え始めたが途中で面倒になってやめるくらいだという。ということは、何十台といったところだろうか。教団本部に運び込まれる荷物の量は、かなりのものになるだろう。

 肝心の荷物の中身については、プチドラは声を低くして、

「ズバリ、武器。黒っぽいシートの下には、トゲのついたメイスとか、シールドやアーマーがいっぱい積み込まれていたよ。大量の武器が運び込まれるみたいだけど、教団の人たち、どこかで合戦でも始めるつもりなのかな」

 プチドラの見立てによれば、政府の警察力があまり当てにならないファンタジーの世界だから、自衛のための武装は許容限度内だとしても、この武器の量は尋常ではないとのこと。唯一神教は、帝都の宗教界や武装盗賊団との抗争を抱え込んでいるので、「備えあれば憂いなし」の精神により、武器を大量に保有しようとしているのだろうか。でも、この武器の量は、単なる防衛のためには過剰に過ぎると思う。であれば、教団側から積極的に攻勢に出るとか、それよりも、もっとすごいことを(なんだか分からないけど)考えているのだろうか。もし、本当にそうなら、これは立派な「違法行為の証拠」ではないか。

 武器の量、それはそれとして、ここで、もう一つの問題は……

「プチドラ、その武器がどこから運ばれているか、つまり、武器の調達先がどこだか分かる?」

「残念、それは分からなかったよ。マスターは、もしかして……、いや、もしかしなくても、『金貨の山に頭蓋骨』のマーチャント商会のマークを期待してた?」

 この前に教団の会計帳簿で見かけた「M商会」がマーチャント商会だとすれば、この大量の武器の調達先もマーチャント商会という可能性が高い(マーチャント商会会長には、教団で講演の際、わたしの正体をコーブ事務局次長にバラされたということもある)。武器の調達先がマーチャント商会という仮定での話になるが、唯一神教は、マーチャント商会と適切あるいは健全とは言えない(場合によっては違法な)関係を構築しているのだろうか。


 それにつけても……、おなかがすいた……

 馬車が、4階建ての堅牢な石造りの教団本部に到着した時には、お昼を過ぎ、午後3時近くになっていた。朝食抜きに加え、昼食抜きとは、人権蹂躙もいいところだ。馬車を降り、ガックリと肩を落として歩くわたしの傍らには、

「ああ~、もう、こんな時間…… え~っと、え~っと、どうしましょう……」

 アメリアはアメリアで困っているようだ。どうでもいいけど……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ