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ザ☆旅行記Ⅹ 神と神々の都  作者: 小宮登志子
第10章 宮殿にて
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情報収集活動の効果

 こんな具合に、「行ってみれば、なんとかなるだろう」的に宮殿に足を運ぶこと、数日。ところが、情報収集活動の効果は、はかばかしくなく……いや、そういうより、まったく何の収穫もなかったという方が正確だろう。

 帝国宰相と顔を合わす機会は、二、三度あったけど、「とある不届きな政府高官」以上のことは教えてくれなかった。感じとしては、自分の口から名前を出したくなさそうな雰囲気。

 神祇庁にも何度か足を運んでみた(運ぼうとした)けれど、その度に、帝都の(従来型の)宗教界の代表の姿を見かけ、関わり合うのも面倒なので引き返した。神祇庁でわたしの求める情報を得る可能性は、あるとしても相当に低いと思う。唯一神教のコーブ事務局次長からは、帝都の宗教界の様子を調べるようにと言われているけど、それは「可能な範囲で」とのことだから、事務局次長には、適当に、「あること、ないこと(場合によっては、『ないこと、ないこと』)」をでっち上げて伝えておこう。


 こうして、教団本部から屋敷に戻って、約一週間が過ぎた。

 とある朝、わたしはハッキリとしない意識の中で、窓から差し込む朝日を感じながら……

「さあ、カトリーナさん、早く、早く! モタモタしていると、怒られますよ」

「なっ、何……、あなたは誰? これは……夢?? ……でしょ、夢よ、ねえ……、そうだと言って」

「起きて下さい! 遅れるとコーブ事務局次長に怒られますよ!! 早く、早く!!!」

「待って、もうちょっと…… お願いだから……」

 ドタン! アイタ! 再び世界は闇に……


 そして……

 どれくらい時間が流れただろう…… 闇の中に一筋の光が差し込み、

「マスター、しっかりして! 今日は、教団に成果を報告する日みたいだよ? ねえ、マスター!!」

「あ、あれ???」

 気がつくと、わたしは、ベッドではなく床の上で仰向けに横たわっていた。プチドラが、金貨のいっぱいに詰まった袋から頭だけ出して、心配そうにわたしを見下ろしている。

 さらに、プチドラの傍らでは、

「カトリーナさん、ようやくお目覚めになりましたか。でも、これではいけません。エリート信徒たるもの、日々の生活も常に信徒の模範となるようにしなければならないのです」

 なぜかアメリアが腰を下ろし、説教をぶっていた。なんだかよく分からないけど、今のが現実だとすると、さっきの「早く、早く」から続く一連の流れは夢だろうか。でも、あまり夢のような気もしないけど……

 アメリアは、バタバタと腕を激しく上下に動かし、

「カトリーナさん、え~っと、予定よりかなり遅れています。朝食を取っている時間はありません。今すぐに出発しないと! コーブ事務局次長に怒られます!!」

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