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ザ☆旅行記Ⅹ 神と神々の都  作者: 小宮登志子
第7章 唯一神教本部にて
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新しいユニフォーム

 わたしとアメリアはコーブ事務局次長に案内され、教団本部の長い廊下をトコトコと歩いていった。その間、何人かの(一般)信徒とすれ違ったが、すれ違う度に信徒は深々と頭を下げ、事務局次長は「ごくろうさま」と軽くうなずく。ちなみに、わたしは既に迷子、すなわち、今自分が教団本部のどこにいるのか分からないという状態。

 やがて、わたしたちは、廊下の両側にドアが幾つも並んだ区画に出た。

 コーブ事務局次長はふところから鍵を取り出して、そのドアのひとつを開け、

「ここがあなたたちの部屋よ」

 部屋は8畳ほどのスペースで、ベッドがふたつ置かれていた。全体的に小綺麗でこざっぱりとして、なかなかよさげ。蒲団も高級品とは言えないが、フカフカとして、よく眠れそうだ。

 わたしとアメリアが、とりあえずベッドに腰を下ろすと、コーブ事務局次長は、おもむろに咳払いをして、アメリアに顔を向け、

「くつろごうというところ、悪いんだけど、お世話係さん、あなた……」

 すると、アメリアは緊張した面持ちながら、すっくと立ち上がり、

「はい、アメリア・ベイカーです。お世話係、誠心誠意がんばります!」

「へえ、気合いが入ってるのね、気に入ったわ。アメリア、あなただけでいいから、ちょっと来てくれる?」

 アメリアは、コーブ事務局次長に連れられ、喜び勇んで部屋を出た。


 わたしはベッドに横になり、いつもの調子でなんとなく、「ふぅ」とため息。

 プチドラは、わたしの胸の上によじ登り、

「アメリアだけが呼ばれるなんて、一体、なんだろう?」

「さあ、わたしに言われても、分からないわ。事務手続の確認じゃない? 大した話じゃないわよ、多分……」

 しばらくベッドの上で寝転がっていると、アメリアが大きな袋を抱えて戻ってきて、

「ただいま戻りました、カトリーナさん」

 そして、袋の中から銀の刺繍の施されたアイボリー色の衣服を取り出し、わたしに手渡した。

「コーブ事務局次長がおっしゃいました。今日からカトリーナさんはエリート信徒。ですから、その自覚を持って、他の信徒の模範となる銀の刺繍が、え~っと、え~っと……、なんだったっけ……」

 アメリアは両手を頭に当て、「え~っと」と、うなっている。事務局次長から言いつけられた「台詞」を忘れたのだろうか。どうでもいいけど……

「とにかく、今日から、今までよりも一層力を入れて、頑張りましょう」

 と、結局、そういうところで落ち着いたようだ。

「え~っと、それと、もう一つ、これはとっても重要なことですが、わたしがカトリーナさんのことを……」

 ここまで言うと、アメリアは、ハッとしたように口に手を当てた。そして、照れ隠しのように「アハハ」と笑い、

「え~っと、なんでもないです、本当に。失礼しました。」

 なんでもないことはないと思うけど…… まあ、いいか。

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