表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザ☆旅行記Ⅹ 神と神々の都  作者: 小宮登志子
第2章 文武百官の任命
5/185

帝国宰相の難解な手紙

 唯一神教なる集団を目にしてから、2、3日後、

「お姉様、おはようございます」

 アンジェラがわたしの朝昼兼用食をもって部屋を訪れた。

 わたしは寝ぼけ眼をこすりつつ体を起こし、

「おはよう、アンジェラ…… 本当に、もう朝なの?」

「もう朝……いえ、もうすぐお昼ですよ」

 お昼ならば仕方がない。おなかもすいてきたことだし、そろそろ起きて仕事を……すなわち、このところのルーチンワーク、帝都大図書館まで書写に出向くことにしよう。


 ところが、今日はいつもと様相が少し違うらしく、

「お姉様、実は、パターソンさんから言付かったのですが、これをお姉様に渡してほしいと」

 そう言ってアンジェラが取り出したのは、厳重な封印が施された手紙。差出人として、大きな字でハッキリ「帝国宰相」と記載されている。

「今朝方、帝国宰相の使者がお見えになりました。パターソンさんは使者と少し言葉を交わし、うれしそうな顔をされてましたが、これは、なんなのでしょう」

 アンジェラはしげしげと手紙を見つめた。

 わたしは手紙の封印を(何を思ってか、三重に施されているが)解き、中身を確認してみた。帝国宰相独特の装飾過剰かつ持って回った言い回しのため、何を言いたいのかイマイチよく分からないが、大意は「リチャード皇帝陛下即位に伴い、新たに文武百官の任命が行われることになったので、いつでもいいから宮殿まで来い」ということのようだ。

「本当に、あの爺さん、いつもわけの分からない理由で人を呼びつけるんだから……」

 わたしは「ふう」と小さく息を吐き出すと、とりあえずはプチドラを抱き、アンジェラを伴って、パターソンがいるであろう応接室に向かう。


 応接室では、パターソンがニコニコとして待ち構えていて、

「カトリーナ様、手紙を読まれましたか。いかがでしたか? 今までは無官でしたが、今度はどのような官職に就くことになったのですか?」

 パターソンは、手紙を受け取る際の使者との立ち話で、近々文武百官の任命が行われるという情報を得たらしい。

「任免の話らしいけど、具体的なことは何も書いてなかったわ。読んでみる?」

 わたしは帝国宰相の手紙をパターソンに手渡した。パターソンは苦笑しつつ手紙を広げ、「うーん」とうなり声を上げながら、難解なその文面と格闘している。

「どう? 分からないでしょ」

 パターソンは、「ははは」と苦笑するばかり。彼にも分からないということは、この手紙、誰が読んでも理解できないのではないか。

 でも、それはそれとして、文武百官とは、つまり、爵位とは別の、帝国政府内での役職のこと。パターソンは喜んでいるが、「高い官職がもらえる」ということは、帝国政府の仕事をしなければならないということであり……

 なんだか、気が重くなってきた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ