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ザ☆旅行記Ⅹ 神と神々の都  作者: 小宮登志子
第6章 教団本部のエリート信徒
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教祖様御一行の到着

 アメリアに手を引かれ、教祖様御一行を出迎えるため、教団支部の建物の外に出てみると、そこは、なんとも言えない熱気に包まれていった。支部の前の道には、アイボリー色の衣服の教団信徒が並び、教祖様たちの到着を今か今かと待ち構えている。今日は(教団側の事情など知らず)昼前に起きて支部まで出てきたけど、タイミング的にはギリギリだったようだ。

「ああ、教祖様がいらっしゃるなんて、感無量です。え~っと、え~っと……、なんと表現していいか、え~っと……、もう、なんと言うか、なんとも言えないような……、とっても、なんだか分からなくなってきました!」

 アメリアは興奮を抑えきれない様子。何を言っているのか、本人も分かっていないだろう。ただ、一般の信徒にとって、教祖様は雲の上の存在ということだから、その熱気は推して知るべしと言えよう。

 とはいえ、心情的にアウトサイダーのわたしにとっては、教祖様御来訪といっても特段の感動はなく、

「そうですね、楽しみですね。なんだか、わくわくするなぁ……」

 と、台詞の棒読みのような、まるで気のない受け答え。

 すると、アメリアは、いぶかしげにわたしを見つめ、

「どうしたのですか、カトリーナさん。もしかすると、今日は体調が悪いですか? いけませんよ。え~っと、今日はカトリーナさんにとっても大切な日。ですから、つまり、え~っ、エリート信徒として本部に推薦してもらえるんですから。シャキッと、ビシッと、気合いを入れていかないと」

「そうですね、がんばります。」

 わたしは、特に意味もなくニッコリ。適当にその場を取り繕った。


 そのまましばらく待っていると、突如、「わぁ!」という歓声が上がった。どうやら、教祖様のお出ましらしい。

「皆さん、もっと行儀よく! そのように騒ぐものでは……」

 チャック支部長は大きな声で、信徒たちを落ち着かせようとしている。でも、その声は、興奮した信徒たちの声によってかき消されてしまった。

 教祖様は、壮年男女の二人組(エドウィン・キャンベル事務局長とレベッカ・コーブ事務局次長とのこと)を従え、愛想よく手を振りながら、ゆっくりとわたしたちの前に姿を見せた。教祖様は、この前に見た時と同じように(年齢はアンジェラとそう違わないであろう)、ストレートヘアの長い黒髪をなびかせ、信徒たちに柔和な笑顔をふりまいている。

 アメリアは大興奮で、わたしの腕にしがみつき、

「え~っと、すごいです! サイコーです!! このまま世界が終わってもいい!!!」

 信仰心に薄いわたしなどは、世界が終わったら困るだろうと思うのだが、教団的には、それでもいいのか(「終局的裁判」の日が来ることになってるから)……

 ちなみに、他の信徒も反応は同じようなもので、盆と正月ばかりではなく、誕生日とクリスマスと忘年会まで一緒に来たような調子ではしゃいでいた。

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